鉄スクラップ相場の決まり方|建値・輸出・売り時

鉄スクラップの「相場」は、電炉メーカーが日々出す建値(たてね)=炉前価格と、海外向けの輸出価格の二つで決まります。2026年5〜6月時点で、九州の電炉メーカーH2炉前価格はおおむね54,000円/トン前後(=約54円/kg)、輸出単価は約55,200円/トンで、相場は「様子見・横ばい」基調です(出典:日本鉄リサイクル工業会マーケット情報)。ただしあなたが個人・小口で持ち込む単価は、運搬・選別の手間が引かれるため炉前価格より低いのが普通です。このページは「なぜ動くのか・グレードでいくら違うのか・いつ売ると得か」を、福岡の現場目線で整理しました。数字は目安で、最終額は搬入先での計量・検収で確定します(買取保証ではありません)。

結論:鉄スクラップ相場は「2つの値段」で決まる

先に答えを出します。鉄スクラップの相場を動かす根っこは①電炉メーカーの建値(炉前価格)と②輸出価格の2つです。ニュースで「鉄スクラップ高騰/下落」と聞くとき、たいていこのどちらかが動いています。標準指標はH2(ヘビースクラップ2級)で、新聞・業界紙が公表するこのH2価格を基準に、他のグレードが上下します。あなたが受け取る単価は、この相場から運搬・選別の手間を引いた額です。

相場を決める2大要素(これが上がると買取価格も上がる)
要素 中身 これが上がると
① 電炉メーカーの建値(炉前価格) 東京製鉄などの電炉が「この値段で鉄くずを買います」と公表する仕入れ価格。国内相場の起点 問屋・買取業者の買取価格も上がる(最も直接的)
② 輸出価格 関東鉄源協同組合などの海外向け落札価格。日本の鉄くずは国際商品で、海外(ベトナム・バングラデシュ・韓国向けが上位)の需要に引っ張られる 国内に出回る量が減り、国内相場が押し上がる

※「炉前価格」は鉄くずを電炉メーカーの工場(炉の前)まで持ち込んだ渡しベースの価格で、相場の基準になります。あなたが個人で問屋ヤードに持ち込む単価は、ここから運搬・選別分が引かれてやや低くなります。出典は記事末尾。

今いくら? 2026年の水準感(炉前・輸出・持込)

2026年5月末時点で、H2炉前価格は全国でおおむね52,500〜55,500円/トン(=約52〜55円/kg)、九州は54,000円/トン前後、輸出単価は約55,200円/トンでした(出典:日本鉄リサイクル工業会)。月内は上旬に上昇、下旬は様子見で、方向感は「横ばい〜小幅高」。一方、市中の問屋ヤード持込(特級H2)は時期により32,000〜35,000円台/トンまで下がる局面もあり、炉前価格と個人の手取り単価は別物と考えるのが安全です。

2026年5〜6月のH2水準感(目安・円/トン)
区分 水準の目安 意味
電炉メーカー炉前(九州) 約54,000円/トン(≒54円/kg) 相場の基準。工場渡しの渡し値
電炉メーカー炉前(全国レンジ) 約52,500〜55,500円/トン 地区差あり。関東・関西・姫路がやや高い傾向
輸出単価 約55,200円/トン 円安・海外需要で上下。国内相場の押し上げ要因
問屋ヤード持込(市中・参考) 時期により3万円台〜の幅 運搬・選別分が引かれ炉前より低くなりやすい

※いずれも2026年5〜6月時点の目安で、買取保証ではありません。鉄スクラップは円安・海外需要・電炉生産で週・日単位で動くため、「今いくらか」は売る直前の確認が前提です。九州は2024年9月以降の円安局面で相場が反転上昇し、2025年10月には東京地区H2で4万円台前半まで戻した経緯があります(出典:日本経済新聞)。

福岡の最新スクラップ単価(自動更新カード)

「今日の福岡の鉄はいくらか」を、原本データから自動更新する下のカードで確認できます。鉄は1kgあたり数十円の単価帯で、相場が動くとこのカードの数値も更新されます。銅・真鍮など非鉄が混ざると単価が大きく変わるため、鉄と非鉄は分けて考えるのがポイントです(福岡の素材別kg単価の目安:鉄 約40〜55円/kg、銅 約1,900〜2,100円/kg、真鍮 約1,050〜1,200円/kg、ステンレス 約150〜190円/kg・2026年6月時点の目安)。

鉄スクラップ(雑鉄) のスクラップ買取イメージ

鉄スクラップ(雑鉄)

スクラップ相場(参考目安) 40〜55円/kg

相場更新日: 2026-06-07

※ 上記は目安です。最終金額は現地査定で確定し、状態・重量・分別状況・市況で変動します。

※カードの数値は当サイトの素材別kg単価マスター(LME/JX金属建値ベース)から自動取得した目安です。実際の買取単価は、量・グレード・異物の有無・搬入方法で変わり、最終額は搬入先での計量・検収で確定します。

グレード別の単価感(HS・H1・H2・H3・新断・ダライ粉)

同じ「鉄」でも、厚みと発生元で等級が分かれ、単価が変わります。等級は日本鉄源協会の「鉄スクラップ検収統一規格」で定義され、HS・H1が最も厚く(厚さ6mm以上)、H2は3〜6mm、H3は1〜3mmと、数字が大きいほど薄くなります(出典:日本鉄源協会 検収統一規格2008年改訂)。薄物ほど、また酸化・付着物が多いほど安くなる傾向です。標準のH2を100%として、おおよそ次の関係です。

主なグレードと単価感(H2=100%基準・目安)
グレード H2比の目安 どんな鉄か(厚み・発生元)
新断(しんだん) 105〜115% 鋼板加工で出た新しい切れ端・打ち抜き屑。不純物が少なく品質が安定し、最上位
HS・H1(厚物) 102〜108% 厚さ6mm以上の鋼板・H形鋼・レール等。厚く純度が高い
H2(標準) 100%(基準) 厚さ3〜6mm。形鋼・鉄筋・自動車足廻り等。相場の物差し
H3・軽量物 70〜90% 厚さ1〜3mmの薄物・軽量形鋼・ホイル等。かさばるわりに軽い
ダライ粉(切粉) 60〜80% 旋盤・切削で出る粉・螺旋状の切り屑。水分・油分で下がりやすい

※H2とH4(最も薄い区分)では1トンあたり3万円以上の差が出る例も報告されており、等級の見分けは手取りに直結します(出典:アールニーズ コラム)。たとえばH2=54円/kgのとき、新断はおよそ57〜62円/kg、ダライ粉は32〜43円/kgという関係。あくまで目安レンジで、相場変動・搬入先の検収で確定します。鉄筋・形鋼・鋼板など「何が混ざっているか」を分けておくと、薄物・厚物の評価がしやすく手取りが伸びます。

相場が伝わる流れ(海外 → 建値 → あなたの単価)

値段は「世界の鉄需要・為替 → 輸出価格&電炉の建値 → 問屋・業者の仕入れ → あなたの買取単価」の順で伝わります。だから「先週と値段が違う」は普通のこと。上流(建値・輸出)が動けば、数日〜数週でこちらの買取単価にも反映されます。自分が見ている価格が、どの段階の値段なのかを意識すると判断がぶれません。

STEP1 世界の鉄需要・為替
ベトナム・バングラデシュ等アジアの建設需要、円安・円高。ここが上流

STEP2 輸出価格 & 電炉の建値(炉前価格)
海外の落札価格と、東京製鉄などの建値が連動して動く

STEP3 問屋・買取業者の仕入れ価格
建値・輸出を見て、業者が「今日いくらで買うか」を決める

STEP4 あなたが受け取る買取単価
そこから運搬・選別の手間や利幅を引いた額が、搬入先での計量・検収で確定

2020〜2026年の相場推移と、動いた理由

過去6年の大きな流れです。背景の理由まで知っておくと、ニュースを見たとき「次どう動きそうか」の見当がつきます。要点は、脱炭素で電炉(=鉄くず需要)は構造的に底堅い一方、短期は為替と海外需要で大きく振れること。実際、2021〜2025年は炉前価格が3万5千円/トンを下回ったことが一度もない、という分析もあります(出典:日刊産業新聞系メディア)。

H2相場の推移と動いた理由(炉前ベースの水準感・目安)
時期 H2の水準感 動いた理由
2020年前半 2万円台前半 コロナで需要急減・急落
2021〜2022年前半 4〜6万円台 コロナ後の世界的な需要回復
2022年央 6万円台超の高値 ウクライナ情勢で資源高が加速
2024年秋 一時4万円割れ目前 海外需要の減退で需給が緩む
2025年秋〜2026年 5万円台で推移(炉前) 円安進行で輸出・国内相場が反転上昇、以降は様子見

※鉄スクラップは過去にリーマン期で「6万2千円/トン→2カ月後3万2千円→さらに2カ月後4千円」級の急落も起きた、振れの大きい商品です(出典:素材メディア各社)。長期の方向感(脱炭素で電炉=鉄くず需要は底堅い)と、短期の上下は分けて考えるのがコツ。表の水準は時期・地区により幅があり、目安です。

「今売る?待つ?」を決める3つの見方

相場の天井は誰にも当てられません。だからこそ、当てにいくより「自分にとっての判断ルール」を持つほうが損しません。次の3点で十分です。とくに鉄は錆びると重量・グレードが落ちるため、上振れを待つより早く現金化したほうが得なケースが多い、というのが現場の実感です。

  1. 建値の方向を1つだけ見る:東京製鉄など電炉の建値が「上げ」基調か「下げ」基調か。上げ局面なら少し待つ、下げ基調が続くなら早めに出す、が基本です。
  2. 保管のリスクと天秤にかける:屋外で錆びるくらいなら、数円/kgの上振れを待つより早く出したほうが得なことが多い。サビは「H2がH3相当に落ちる」など等級ダウンにもつながります。
  3. 量がまとまった「今」が売り時:少量を何度も運ぶより、ある程度たまったタイミングのほうが運搬効率がよく手取りが伸びます。相場の天井狙いより「まとまった時」を優先。

売却先を比べるときの判断軸

売り先を選ぶときは、提示された単価の数字だけでなく計量方法(トラックスケールか台秤か)・等級の判定基準・異物や付着物の扱い・運搬費や手数料の有無まで含めて比べると差が出ます。同じ量・同じ内訳を伝えたうえで2〜3社の単価を並べると、その時点の相場の幅が把握できます。少量なら持込、まとまってからは出張回収というように、量に応じて出し方を変えるのも一般的な進め方です。金属スクラップの買取には古物商許可や産業廃棄物の許可が関わる場合があるため、許可の有無を公表しているかどうかも業者選びの目安になります。

廃車1台に含まれる鉄の価値(試算)

「車をスクラップにするといくら?」の目安です。車重の多くは鉄なので、相場×重量でざっくり読めます。ただしこれは「鉄としての素材価値」であって、廃車買取の実際の支払額とは別物です(部品・非鉄・リサイクル料・手続きが絡みます)。あくまで相場の感覚をつかむための試算として見てください。

車種別・鉄分の概算(H2=54円/kg時の目安)
車種 鉄の重さ目安 鉄分の概算(54円/kg時)
軽自動車 0.5〜0.7t 約2.7〜3.8万円
普通乗用車 0.9〜1.2t 約4.9〜6.5万円
ミニバン・SUV 1.1〜1.6t 約5.9〜8.6万円

※これは素材としての鉄の価値の目安で、廃車・事故車の実際の買取額とは別物です(再資源化費用・リサイクル料・手続きが絡みます)。動く車・事故車・不動車をそのまま売る判断については、別ページ「事故車買取ガイド」もあわせてご確認ください。

福岡・九州で売るときの相場の特徴

同じ国内でも、立地で相場感が少し変わります。九州は鉄スクラップを使う側(電炉・製鉄)と港が近く、炉前価格が比較的しっかりしやすいのが特徴です(2026年5〜6月の九州H2炉前は54,000円/トン前後)。福岡市・近郊は北九州の動きに連動しやすく、内陸は持込先まで距離があると運搬コスト分が差し引かれることがあります。

九州・福岡エリア別の相場の特徴
エリア 特徴
北九州 製鉄・電炉関連と港湾が近く、相場が比較的しっかりしやすい
福岡市・近郊 港と需要地に近く、北九州の動きに連動しやすい
内陸部 持込先まで距離があると、運搬コスト分が差し引かれることがある

※福岡市7区+近郊(春日・大野城・那珂川・筑紫野・太宰府・糸島・久留米 ほか)では、量がまとまる場合に出張回収へ対応する業者もあり、持込との手取り差を比べて選ぶのが一般的です。エリアの詳細は福岡エリア一覧、品目別のスクラップ相場は福岡スクラップ相場一覧をご覧ください。

よくある質問

Q. 「今日の鉄の相場」は1円単位で公表されていますか?
全国一律の公式単価はありません。H2の炉前価格や輸出価格は業界紙・業界団体(日本鉄リサイクル工業会など)が出しますが、実際の買取単価は業者・地域・搬入量・グレードで変わります。最終額は搬入先での計量・検収で確定します。
Q. なぜ業者ごとに買取価格が違うのですか?
同じ建値(炉前価格)を見ていても、業者ごとに運搬距離・選別の手間・利幅が違うためです。数社の単価を比べるのは有効ですが、「異物の有無の扱い」「計量の正確さ」「グレードの判定」も含めて判断するのが安心です。
Q. 炉前価格が54円/kgなら、自分も54円/kgで売れますか?
そのままにはなりにくいです。炉前価格は電炉メーカーの工場渡しの値段で、そこから問屋・業者の運搬・選別・利幅が引かれます。個人の小口持込は炉前より低くなるのが普通で、量がまとまるほど炉前価格に近づきやすくなります。
Q. 相場が高いときを狙って待つべき?
天井は誰にも読めません。錆びによる目減り(重量減・等級ダウン)や保管の手間を考えると、まとまった量になった時点で出すほうが現実的に得なケースが多いです。
Q. 円安だと鉄の相場は上がりますか?
円安は輸出に有利になりやすく、押し上げ要因になりがちです。実際、2024〜2025年の円安局面では輸出価格が国内相場を引き上げました。ただし海外の需要そのものが弱ければ相殺されるため、為替だけで決まるわけではありません。
Q. グレードを分けずに混ぜて出すと損しますか?
分けたほうが有利なことが多いです。厚物(HS・H1)や新断は高評価、薄物(H3)やダライ粉は低めです。混ぜると全体が低いほうに寄せて評価されがちなので、可能な範囲で「鉄筋・形鋼・薄板・切粉」などを分けておくと手取りが伸びやすくなります。判別が難しい場合は、写真と量を伝えて複数社の見積もりを取ると、等級の扱いの違いが比較できます。

まとめ:相場の「仕組み」を知れば判断はぶれない

鉄スクラップの相場は①電炉の建値(炉前価格)と②輸出価格で決まり、世界の需要・為替が上流で動かしています。2026年は九州H2炉前で54円/kg前後・横ばい基調ですが、あなたの手取りは運搬・選別分を引いた額になります。グレードはH2を基準に、厚物・新断が高く、薄物・ダライ粉が安い。売り時は天井を当てにいくより、建値の方向・サビによる目減り・量がまとまったかの3点で決めるのが損しないコツです。具体的な「今の単価」は相場変動があるため、売る直前に搬入先の当日単価を確認するのが確実です。

福岡で鉄・金属スクラップの売却を検討するときは、同じ内訳・同じ量の条件で複数社の単価を並べると、その時点の相場の幅と業者ごとの評価差が見えます。品目別の相場は福岡スクラップ相場一覧、当サイトの運営方針や対応範囲は運営者情報をあわせてご確認ください。

相場・市況の参照元(出典)

  • 一般社団法人 日本鉄リサイクル工業会 マーケット情報(炉前価格・輸出単価・国内市況の出典)
  • 日刊産業新聞 鉄スクラップ【H2】相場(H2市況・建値の出典)
  • 日本鉄源協会 鉄スクラップの炉前価格推移/検収統一規格(等級・長期推移の参考)

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