古物商の行商とは【2026年最新】届出方法・ルール・注意点を完全解説





古物商の「行商」とは、古物営業法に基づき営業所以外の場所で古物の売買・交換を行う営業形態であり、自分の営業所を離れてフリーマーケットへの出店・顧客宅への出張買取・催事会場での出店などを行う際に必要な届出だ。行商を行うためには古物商許可申請時または許可取得後に「行商する」旨を申告し、古物商許可証に行商の記載を受ける必要がある。行商中は行商証(古物商許可証の写しまたは専用カード)の携帯が義務付けられており、本人確認・帳簿記載などのルールも厳格に適用される。本記事では行商の定義・届出方法・行商時のルール・出張買取との違い・注意点をテーブル形式で完全解説する。

結論:古物商の「行商」とは営業所以外で古物の取引を行う営業形態。許可申請時に「行商する」を選択すれば、出張買取・露店・委託販売・他社の古物市場参加が可能になります。
「行商する」と「行商しない」の違い
項目 行商する 行商しない
営業所外での取引 ○可能 ×不可
出張買取 ○可能 ×不可
露店・市場での販売 ○可能 ×不可
古物市場(業者オークション)参加 ○可能 ×不可
他社からの委託販売 ○可能 ×不可
必要な携行品 行商従事者証 + 古物商許可証 許可証のみ
許可申請時の費用 同じ(19,000円) 同じ
申請後の変更 変更届で可能

※ 行商従事者証の要件: 携帯義務(営業所外取引時)・記載内容(商号・氏名・生年月日・許可番号・写真)・違反時10万円以下の罰金。「行商しない」で申請後に変更する手順・行商先での本人確認・古物市場参加の実例は以下で詳しく解説します。

行商とは何か — 定義と法的根拠

行商は古物営業法第2条第2項に定義された概念で、「古物商が営業所以外の場所で古物を売買・交換する行為」を指す。具体的にはフリーマーケットへの出店・骨董市への参加・顧客宅への出張買取・催事会場での販売・インターネットオークションへの出品が行商に該当する。重要なのは「行商」は古物商許可を取得した者が行う届出制の行為であり、許可なく古物の売買を行う「無許可営業」とは根本的に異なるという点だ。2018年の古物営業法改正で「行商従業者証」の制度が整理され、従業員が行商を行う場合の手続きも明確化された。

行商に関する重要な改正点として、2018年(平成30年)の古物営業法改正により「行商をする・しない」の記載が許可証に含まれる形に変更された。旧制度では別途「行商従業者証」の発行が必要だったが、現在は許可証への記載で一元管理されている。

なお、古物の「輸送中」の取引(例: 移動販売車での販売)も行商に含まれる。営業所から移動しながら古物の売買を行う全ての行為は行商の対象となるため、移動販売を予定している場合は行商の届出が必要だ。

行商の届出テーブル — 申請時と取得後の手続き

行商の届出は古物商許可申請時に「行商をする」を選択することで申請できる。既に許可を取得していて行商の記載がない場合は、管轄警察署への「変更届出」を提出することで行商可能な状態に変更できる。変更届の手数料は無料だ。逆に「行商をする」で許可を取得したが行商をしなくなった場合は「行商をしない」への変更届が必要だ。どちらの変更も14日以内の届出義務があることを覚えておきたい。これらの情報は2026年4月時点の最新データに基づいており、制度変更により実際の手続きが異なる場合があります。最新の正確な情報は管轄警察署にご確認ください。

場面 手続き 費用 窓口 期限
新規許可申請時に行商も申請 申請書の「行商」欄に「する」を記載 申請手数料19,000円(許可全体の費用) 管轄警察署 生活安全課 許可申請時
許可取得後に行商を追加 変更届出(別記様式第6号)の提出 無料 管轄警察署 生活安全課 変更から14日以内
行商をしなくなった場合 変更届出(「行商をしない」への変更) 無料 管轄警察署 生活安全課 変更から14日以内
従業員が行商を行う場合 行商従業者証の発行(許可業者が発行) 無料(自社で作成) 許可業者自身が管理 行商開始前まで
行商従業者証について

古物商が従業員を伴って行商を行う場合、その従業員に「行商従業者証」を携帯させる義務があります。行商従業者証は古物商が自ら作成する書類で、従業員の氏名・古物商の名称・許可番号・許可年月日・営業所の所在地などを記載します。警察への提出は不要ですが、行商中は必ず所持させてください。

行商時のルール — 本人確認・帳簿記載テーブル

行商中は営業所での取引と同等またはそれ以上の本人確認・帳簿記載義務が課される。行商では対面取引が多いため、相手方の本人確認(古物営業法第15条)は特に重要だ。本人確認は1万円以上の取引で原則として義務があり、運転免許証・マイナンバーカード・旅券などで行う。帳簿(古物台帳)への記載は取引のたびに行い、取引日・品名・数量・取引相手の氏名・住所・職業・年齢・取引価格を記録する義務がある。行商中の帳簿は携帯するか、取引後速やかに営業所の帳簿に記載する方法のいずれかで対応する。

義務の内容 根拠条文 詳細 違反時の罰則
行商証の携帯 古物営業法第11条 行商をする旨が記載された古物商許可証を必ず携帯(コピーまたは原本) 10万円以下の罰金
行商証の提示義務 古物営業法第11条 警察官または相手方から求められた際に提示する義務 10万円以下の罰金
取引相手の本人確認 古物営業法第15条 1万円以上の買取等は運転免許証等で本人確認。相手方の氏名・住所・生年月日を確認 6か月以下の懲役または30万円以下の罰金
帳簿(古物台帳)への記載 古物営業法第16条 取引日・品名・数量・取引相手の情報・取引価格を記載。3年間保存義務 6か月以下の懲役または30万円以下の罰金
不正品の申告 古物営業法第17条 盗品・不正品の疑いがある場合は警察への申告義務 6か月以下の懲役または30万円以下の罰金
注意: 本人確認の例外

1万円未満の取引でも「古物が盗品等である疑いがある場合」は本人確認が義務になります(古物営業法第15条第1項但書)。また、フリーマーケットやフリマアプリ等で仕入れた古物を販売する(売る側)だけの行為であっても、古物商許可と行商の届出は必要です。「買うだけ」「売るだけ」という区別はなく、古物の売買・交換の全てが対象です。

出張買取と行商の違い

「出張買取」という言葉は古物営業法の用語ではなく、業界慣用語だ。法律上は顧客宅や指定場所に出向いて古物を買い取る行為も「行商」に含まれる。つまり「出張買取」=「行商の一形態」という関係になる。一般消費者向けに「出張買取」というサービス名で展開している買取業者は、全て古物商許可に「行商をする」旨が記載されていなければならない。無届の出張買取は古物営業法違反(行商の無届)となる。

比較項目 行商(法律上の定義) 出張買取(業界用語)
法的定義 古物営業法に規定。営業所外での古物売買・交換 法律上の用語ではない。行商の一形態
対象行為 フリマ出店・催事販売・顧客宅での買取・移動販売など全般 顧客の自宅・指定場所への訪問による買取
必要な届出 古物商許可証への「行商をする」記載 同左(出張買取も行商の届出が必要)
行商証の携帯 必要(法的義務) 必要(法的義務)
本人確認義務 1万円以上の取引で必要 1万円以上の取引で必要
ポイント

「出張買取をするから行商の届出は必要ない」という誤解が多くあります。顧客の自宅に出向いて買取を行う「出張買取」は行商の一形態であり、古物商許可に「行商をする」旨が記載されていなければ違法営業となります。出張買取サービスを提供している業者は必ず行商の届出を確認してください。

行商での古物帳簿の書き方

行商中の帳簿記載は古物営業法第16条・第17条に定められた義務であり、記載漏れや虚偽記載は罰則の対象となる。記載事項は「取引年月日」「取引した古物の品名・数量・特徴」「取引の対価(金額)」「相手方の氏名・住所・職業・年齢」の4項目が最低限必要だ。行商中は携帯型の帳簿(ノート等)に記載し、営業所に帰った後に正式な古物台帳に転記する方法が一般的だ。スマートフォンアプリへの入力で記録し帰社後にまとめて帳簿に移す方法も実務では利用されている。

記載項目 記載内容の詳細 省略可否
取引年月日 取引が行われた日付(年・月・日を記載) 省略不可
品名 古物の名称(例: ロードバイク1台、腕時計1個) 省略不可
品の特徴・数量 色・形・ブランド名・製造番号・モデル名など識別可能な特徴 省略不可
取引の対価 買取金額・売却金額(金銭以外の場合はその旨を記載) 省略不可
相手方の氏名 本人確認書類で確認した氏名 省略不可
相手方の住所 本人確認書類で確認した住所 省略不可
相手方の職業・年齢 職業(自営業・会社員等)と年齢(または生年月日) 省略不可
注意: 帳簿の保存義務

古物台帳は最後の記載から3年間の保存義務があります(古物営業法第17条)。紙の帳簿は3年間保管し、警察の立入調査(立入検査)時に提示できる状態に保ってください。電子的に記録する場合でも、印刷・提示できる状態であることが求められます。

無届行商・違反時の罰則

行商の届出なしに営業所外で古物の売買・交換を行うことは古物営業法違反であり、厳しい罰則が科される。「古物商許可は持っているから大丈夫」という認識は誤りであり、許可証に「行商をする」旨の記載がなければフリマ出店・出張買取・催事出店は全て無届行商となる。また行商証の不携帯・不提示も罰則対象だ。フリーマーケットの主催者も出店者の古物商許可・行商届出の確認義務を負っており、無届業者の出店を許可した場合は主催者も問題になるケースがある。

違反行為 根拠条文 罰則
行商の届出なしに営業所外で古物を売買 古物営業法第31条 3年以下の懲役または100万円以下の罰金(または両方)
行商証の不携帯・不提示 古物営業法第35条 10万円以下の罰金
本人確認義務の不履行 古物営業法第34条 6か月以下の懲役または30万円以下の罰金
帳簿の不記載・虚偽記載 古物営業法第34条 6か月以下の懲役または30万円以下の罰金
変更届出の遅延・未届出 古物営業法第35条 10万円以下の罰金

よくある質問

古物商の行商について、2026年4月時点の最新情報をもとに解説します。フリマ出店・出張買取・催事出店を予定している古物商の方が特に疑問に思うポイントを中心にまとめました。行商は適切な届出と行商中のルール遵守が重要であり、不明点は管轄警察署の生活安全課に確認することを推奨します。

フリーマーケットに出店する場合も行商の届出が必要ですか?

必要です。フリーマーケットへの出店は「営業所以外の場所での古物の売買」に該当するため、行商の届出(古物商許可証への「行商をする」記載)が必要です。届出なしにフリーマーケットで古物を販売した場合は古物営業法違反となります。なお、自分で使っていた私物を出品するだけであれば古物商許可そのものが不要ですが、仕入れた品を販売する場合は許可と行商届出の両方が必要です。

行商証はどこで作ってもらえますか?

行商証は古物商許可証そのもの(または写し)が行商証として機能します。警察署から交付された古物商許可証に「行商をする」旨が記載されていれば、それが行商証となります。別途作成を依頼する窓口はなく、許可証を携帯することで対応します。従業員に行商させる場合の「行商従業者証」は古物商(事業者)が自ら作成します。

行商中に警察官に声をかけられた場合はどうすればよいですか?

冷静に行商証(古物商許可証)を提示してください。警察官は古物営業法第24条に基づき、行商中の古物商に対して行商証の提示を求めることができます。提示を求められた場合はその場で提示する義務があります。提示を拒否したり行商証を携帯していなかった場合は10万円以下の罰金の対象となります。

出張買取(訪問買取)は行商と何が違いますか?

出張買取は行商の一形態です。「出張買取」という言葉は業界用語であり、法律上は顧客の自宅や指定場所に出向いて古物を買い取る行為も「行商」に分類されます。つまり出張買取を行うためには古物商許可証に「行商をする」旨の記載が必要であり、この届出なしに出張買取を行うと古物営業法違反となります。

行商中の本人確認はどのような書類で行えますか?

運転免許証・マイナンバーカード・旅券(パスポート)・住民基本台帳カード・在留カードなど、氏名・住所・生年月日が確認できる公的書類が有効です。コピーは原則として不可であり、原本の提示を求めてください。1万円以上の取引で本人確認義務があり、確認した情報は古物台帳に記載する義務があります。

行商中の帳簿はスマートフォンで記録してもよいですか?

スマートフォンへの入力は実務的な一次記録として利用できますが、最終的には紙またはPCの帳簿に転記して3年間保存することが必要です。警察の立入検査時には帳簿の提示を求められるため、スマートフォンのメモ画面だけでは対応できないケースがあります。専用の古物台帳アプリを活用し、帳簿として印刷・提示できる状態に整備することを推奨します。

行商の届出は費用がかかりますか?

行商の変更届出(既に許可を取得している場合)の手数料は無料です。古物商許可の新規申請時に「行商をする」を選択して申請した場合は、申請手数料19,000円のみです(行商の追加費用はありません)。変更届は管轄警察署の生活安全課に書類を提出するだけで完了し、費用はかかりません。

行商中に盗品を買い取ってしまった場合はどうなりますか?

盗品と知らずに買い取った場合でも、本人確認義務・帳簿記載義務を適切に履行していれば、古物商は原則として責任を免れます。一方、本人確認を怠っていた場合は古物営業法違反に加え、盗品等関与の疑いをかけられるリスクがあります。盗品の疑いがある場合は速やかに警察に申告する義務もあります(古物営業法第17条)。日頃から適切な本人確認と帳簿記載を行うことが最大のリスク管理です。

まとめ

古物商の行商は「営業所以外の場所での古物売買・交換」を合法的に行うための届出制度であり、フリマ出店・出張買取・催事出店を行う前に必ず確認すべき重要事項だ。古物商許可取得済みであっても行商の届出がなければ違法営業となるため、許可証に「行商をする」旨の記載があるかを必ず確認する。行商中は行商証の携帯・本人確認・帳簿記載の3つの義務が常に課されており、違反すれば最大で懲役3年・罰金100万円の重い罰則が科される。出張買取は行商の一形態であることも忘れずに認識しておきたい。

この記事のまとめ
  • 行商とは営業所以外の場所での古物売買・交換。フリマ出店・出張買取・催事出店が該当
  • 行商には古物商許可証への「行商をする」旨の記載が必要(申請時または変更届で対応)
  • 変更届の手数料は無料。14日以内に管轄警察署の生活安全課へ提出
  • 行商中は行商証の携帯・本人確認(1万円以上)・帳簿記載の3義務が必須
  • 出張買取(訪問買取)は行商の一形態。別途届出が必要
  • 無届行商の罰則: 3年以下の懲役または100万円以下の罰金
  • 帳簿は最後の記載から3年間保存義務があり、立入検査時に提示できる状態にする

更新ポリシー: この記事の行商に関する法令・罰則・届出手続きの情報は、古物営業法の改正や警察庁通達の変更に応じて速やかに更新します。手数料等の費用情報も変更時に修正します。

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