古物台帳の書き方|6項目と記入例・1万円未満の例外

古物台帳(帳簿)は、古物商が「買い取った・引き取った(受入れ)取引」を記録する法定の帳簿です。買取時の記載事項は①取引年月日 ②区分 ③品目・数量 ④古物の特徴 ⑤相手方の住所・氏名・職業・年齢 ⑥確認の方法の6項目。1取引の合計1万円未満は原則として記載を省略できますが、バイク・ゲームソフト・CD/DVD等・書籍、さらに2025年(令和7年)10月1日追加の室外機・ヒートポンプ・電線・金属製グレーチングは金額に関係なく記録が必須です。帳簿は紙でもパソコンでもよく、最終記載日から3年間の保存が求められます(古物営業法・同施行規則。最終判断は管轄警察へ)。

古物商の許可は取れたが「台帳(帳簿)に何をどう書けばいいのか」で手が止まる——このページは、その一点に絞って記載事項の意味・そのまま写せる記入例・少額や電子帳簿・書き忘れの罰則まで、古物営業法とその施行規則にもとづいて整理します。許可申請そのものは古物商許可申請の記事、無許可・義務違反の罰則全般は罰則の記事で扱っています。

古物台帳とは:記載義務の全体像(6項目)

古物台帳は、古物営業法が古物商に義務づける「取引の記録」です。中心は受入れ(買受け・交換で古物を取得したとき)の記録で、記載事項は取引年月日・区分・品目と数量・古物の特徴・相手方の住所氏名職業年齢・確認の方法の6項目とされています。盗品の売買防止と、被害品の早期発見(警察の追跡)が目的です。「販売だけしている」場合でも、仕入(受入れ)がある限り記録義務は生じます。様式は公的にひな形が示されていますが、6項目が漏れなく残せれば書式は自由と解されています(出典:古物営業法・同施行規則/詳細は管轄警察へ確認)。

台帳の目的は「あとから、その1品が誰からいつ入ってきたかを追える状態にしておく」ことです。だからこそ、金額の多寡より受入れの記録を漏らさないことが最優先になります。無料で引き取ったものであっても、古物として取得している以上は記録の対象と考え、迷う取引は管轄の警察(生活安全課)に確認するのが安全です。

買取時に書く6項目【記入例つき】

受入れ(買取)時は6項目すべてを書きます。下表はブランドバッグを1点買い取った場合の記入例で、そのまま自分の台帳に置き換えて使えます。特に迷いやすいのが④特徴と⑥確認の方法です。④は「後からその1点を特定できる客観情報」、⑥は「本人確認をどうやったか(免許証・非対面の措置など)」を残します。金額欄(代価)を設ける様式も多く、実務では取引価額もあわせて記録しておくと管理しやすくなります(出典:古物営業法第16条・同施行規則)。

受入れ(買取)台帳の記入例:ブランドバッグ1点を買い取った場合
No. 項目 記入例 書き方のポイント
1 取引年月日 2026年6月15日 実際に買い取った日。後日まとめて書く場合も取引日そのものを書く
2 区分 買受け 「買受け/交換/委託」など取得の態様を書く
3 品目・数量 ハンドバッグ 1点 13品目の区分を踏まえた品名+数量。13品目の考え方も参照
4 古物の特徴 ルイ・ヴィトン/型番M〇〇〇〇/茶/角スレ・内シリアル〇〇 その1点を特定できる客観情報(ブランド・型番・色・素材・傷・番号)を具体的に
5 相手方の住所・氏名・職業・年齢 福岡市〇〇区〇〇1-2-3/古物 太郎/会社員/42歳 本人確認書類の記載どおりに写す
6 確認の方法 運転免許証の提示を受けて確認 対面なら提示書類、非対面なら実施した確認措置を書く

受入れの相手方確認(本人確認)は、記載義務とセットの義務です。誰から仕入れたかがたどれなければ台帳の意味が薄れるため、確認方法まで含めて残します。相手方の身元や仕入ルートで迷う場面は古物の仕入先に関する記事もあわせてご覧ください。

つまずきやすい「特徴」の書き方

「古物の特徴」は、盗品照会などでその1点だと特定できるかを基準に書きます。「バッグ 1点」「腕時計」のような品名だけの記載では、記録として機能しません。ブランド名・型番・製造番号・シリアル・素材・色・傷やキズの位置など、他の同種品と見分けられる客観情報を残すのがコツです。特に時計・貴金属・ブランド品・車台番号のある乗り物は、識別番号を書けるかどうかで記録の質が大きく変わります。

品目別・「特徴」の良い書き方と避けたい書き方
品目 良い書き方(特定できる) 避けたい書き方(あいまい)
ブランド品 ルイ・ヴィトン/型番M〇〇〇〇/茶/角スレ有 バッグ 1点
時計・貴金属 ロレックス/型番/シリアル末尾〇〇/K18刻印 腕時計
家電・室外機 メーカー/型番/製造番号 エアコン
バイク・部品 車台番号/メーカー/排気量 原付 1台

受入れと払出し(売却・処分)の違い

古物台帳の中心は受入れ(仕入)の記録ですが、売った・処分した(払出し)ときも記録は必要とされています。ただし払出しの記載は受入れより簡素で、区分・年月日・品目や数量・代価・相手方の住所氏名などを残す形が一般的です。相手方の本人確認義務や「特徴」の詳細な記録は、原則として受入れ側に課される点が受入れとの大きな違いです。自家使用・廃棄などで手放した場合も、その事実を記録に残しておくと在庫と帳簿の突合が取りやすくなります(具体的な記載範囲は管轄警察・施行規則で確認)。

受入れ(仕入)と払出し(売却・処分)の記載の違い
  受入れ(買受け・交換) 払出し(売却・廃棄・自家使用)
区分 買受け/交換/委託 など 売却/廃棄/自家使用/返還 など
取引年月日・代価 記録する 記録する
相手方の住所・氏名 記録する(職業・年齢も) 記録する
古物の特徴 記録する 原則、受入れほど詳細は求められない
相手方の確認(本人確認) 必要 原則、受入れ側の義務

いくらから記帳?少額は省略できる?

受入れの取引額が1取引の合計で1万円未満の場合、原則として相手方の確認義務と台帳記載を省略できるとされています。ただし例外があり、盗難が多い品目は金額に関係なく本人確認と記録が必須です。従来からの例外は「自動二輪車・原付(部品含む)/家庭用ゲームソフト/CD・DVD・ブルーレイ等の光学記録媒体/書籍」。加えて2025年(令和7年)10月1日施行の施行規則改正で、エアコン室外機・電気温水機器のヒートポンプ・電線・金属製グレーチングが追加されました(出典:警察庁/警視庁「古物営業法施行規則の一部改正」、令和7年8月20日公布・10月1日施行)。金属系・空調設備系を扱う事業者は、少額でも省略不可と考えてください。

1万円未満でも金額に関係なく本人確認・記録が必須の品目
区分 対象品目
従来から 自動二輪車・原付(部品含む)/家庭用ゲームソフト/CD・DVD・ブルーレイ等の光学記録媒体/書籍
2025年10月1日 追加 エアコンディショナーの室外ユニット(室外機)/電気温水機器のヒートポンプ/電線(家庭用の延長コード・充電ケーブル等は除く)/グレーチング(金属製に限る/側溝の金属製ふた等)

追加の背景は、太陽光発電設備の銅線や側溝ふたなど金属類の盗難被害の急増です。盗品が1万円未満に小分けして持ち込まれる手口を防ぐため、少額でも本人確認と記録の対象に加えられました。たとえば廃銅線を持ち込まれ買取額が3,000円でも、品目が「電線」に該当すれば本人確認と台帳記載が必要になります。取り扱う品目が例外に当たるか判断できない場合は、迷った時点で管轄の警察に確認しておくのが確実です。

電子(パソコン)台帳でいい?その要件

台帳は紙のほか、パソコン(Excelや買取管理システム)による電磁的方法でも作成できるとされています。電子で管理する場合の要点は、営業所で直ちに書面に表示・印刷できる状態にしておくこと。プリンタや表示環境を用意し、警察の検査・盗品照会があればすぐ提示できるようにします。改ざん防止のためのバックアップや上書き管理も意識しましょう。市販フォーマットや公式様式に必ず合わせる必要はなく、6項目が漏れなく記録できれば書式は自由と解されています(具体的要件は管轄警察・施行規則で確認)。

紙の台帳とパソコン(電子)台帳の比較
  紙の台帳 パソコン(Excel・買取管理システム等)
適法性 可(電磁的方法として認められる)
条件 営業所に備え付け 営業所で直ちに書面表示・印刷できる状態にする
訂正・改ざん対策 修正は二重線+訂正印など履歴を残す バックアップ・上書き管理で改ざんを防ぐ

ネット販売やアプリ経由の非対面取引でも記録は必要です。相手方から本人確認書類の画像を受け取るなど、規定の非対面の確認措置をとり、その方法を台帳の「確認の方法」に書きます。フリマアプリ等での取引はメルカリ等での古物取引の記事URL(ホームページ)の届出の記事もあわせてご確認ください。

書き忘れ・書き間違いの罰則と保存期間

台帳は最終の記載をした日から3年間、営業所に備え付けて保存するのが原則とされています。記載義務や備付け・保存の義務に違反した場合、古物営業法では6か月以下の懲役または30万円以下の罰金が定められています。書き間違いは二重線と訂正で履歴を残し、消し込みや上書きで履歴を消さないことが大切です。警察の検査や盗品照会にいつでも応じられる状態を保つことが、記録義務を実質的に満たすことにつながります(出典:古物営業法。罰則・保存の詳細は管轄警察・条文で確認)。

  • 保存期間:最終記載日から3年間、営業所に備え付け。
  • 罰則の目安:記載・備付け・保存の義務違反は6か月以下の懲役または30万円以下の罰金(古物営業法)。
  • 訂正:書き間違いは二重線+訂正で対応し、履歴を残す(電子は改ざん防止管理)。

「うっかり書き忘れた」「様式が不安」という段階で、管轄警察の生活安全課に確認しておくと、後の検査で困りにくくなります。台帳と並ぶ実務の基本として、営業所ごとの管理者営業所の要件もあわせて整えておくと安心です。

記載事項チェックリスト

公開・運用前に、下記のチェックリストで台帳の記録もれを点検してください。受入れの6項目、特徴の具体性、少額例外品目、払出しの記録、電子台帳の印刷可否、3年保存の6点が主要ポイントです。1項目でも不安が残る場合は、取引を止めるのではなく、管轄警察に確認してから進めるのが安全です。

  • □ 受入れ(買取)は6項目(年月日・区分・品目数量・特徴・相手方・確認方法)をすべて書いたか
  • □ 「特徴」はその1点を特定できる具体性(型番・番号・傷など)があるか
  • □ 1万円未満でも、バイク・ゲーム・CD/DVD・書籍・室外機・ヒートポンプ・電線・金属製グレーチングは記録したか
  • □ 非対面取引の「確認の方法」を書いたか
  • □ 売却・処分(払出し)の記録も残したか
  • □ 電子台帳なら、その場で表示・印刷できる状態か
  • □ 最終記載日から3年間、営業所で保存しているか

台帳の様式や運用ルールで判断が割れる点は、取引を始める前に管轄警察(生活安全課)へ確認しておくと、後の検査で指摘を受けにくくなります。運用が固まるまでは「受入れは6項目すべて書く」「少額でも例外品目は必ず記録する」の2点を徹底しておけば、致命的な漏れはほぼ防げます。当サイトの編集体制は運営者情報に掲載しています。開業直後の運用は開業の記事、帳簿と関わる申告は確定申告の記事も参考になります。

よくある質問

Q. 台帳は「いくらから」書けばいいですか。
受入れの取引額が1取引の合計で1万円未満なら、原則として記載を省略できるとされています。ただしバイク・ゲームソフト・CD/DVD等・書籍、2025年10月追加の室外機・ヒートポンプ・電線・金属製グレーチングは金額に関係なく必須です。判断に迷う品目は管轄警察に確認してください。
Q. 少額なら省略していいと聞きましたが、本当に書かなくて大丈夫ですか。
省略できるのはあくまで例外品目に当たらない1万円未満の受入れです。例外品目は少額でも省略できません。金属系・空調系を扱う場合は「少額でも記録する」を基本にしておくと安全です。
Q. お客様として普通に買い物した分も書くのですか。
いりません。台帳は古物商として仕入れた(受入れた)取引を記録するものです。私的な買い物は対象外です。
Q. ネット(メルカリ等)の非対面取引は記録が必要ですか。
必要です。相手方から本人確認書類を受け取るなど規定の非対面の確認措置をとり、その方法を台帳の「確認の方法」に記載します。
Q. 手書きの字が読みにくくても大丈夫ですか。
様式や筆記具に決まりはありませんが、「後から読めて、その1点を特定できる」ことが要件です。読めない記録は記録義務を満たさないおそれがあります。
Q. 台帳はいつまで保存すればよいですか。
最終の記載をした日から3年間、営業所に備え付けて保存するのが原則とされています。詳しくは古物営業法の条文・管轄警察でご確認ください。

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