工場や町工場の片隅にたまった超硬チップ・折れたエンドミル・使い古しのドリル。「こんな屑に値が付くのか」と捨てかけている人ほど損をしています。超硬(タングステンカーバイド)スクラップは、2026年6月時点でおおむね 1kgあたり8,000〜13,000円前後。原料のタングステンが世界的に高騰し、ここ1〜2年で歴史的な水準まで上がりました。少量(数百g)でも、油やサビで汚れていても、まず査定に出す価値があります。この記事では、種別ごとの目安・自分でできる見分け方・なぜ母材付きで下がるのかを、屑金属を扱う古物商の視点で整理します。
超硬スクラップの買取相場(2026年6月・種別別の目安)
2026年6月時点の超硬(タングステンカーバイド)買取の目安は、きれいな単体で 1kgあたり8,000〜13,000円前後です。複数の専門業者の公開単価でも、超硬は約8,000〜10,000円/kg、純度の高いものや純タングステンは10,000〜13,000円台/kgで提示されています(出典:大畑商事・ヒラノヤ等の公開買取価格/2026年6月)。一方でハイス(高速度鋼)は約500〜550円/kg、サーメットは約400〜500円/kgと、見た目が似ていても桁が違います。価格はタングステン相場で日々動き、母材・混入物があるほど下振れします。
| 種別 | 状態の特徴 | 買取目安(円/kg) |
|---|---|---|
| 超硬チップ(インサート/スローアウェイ) | 母材なし・きれいな単体 | 9,000〜13,000 |
| 超硬ドリル・エンドミル | シャンク(鉄部)を含む場合は減額 | 7,000〜10,000 |
| 超硬丸棒・金型・板材 | 単体・きれいなもの | 8,000〜12,000 |
| ろう付けバイト(母材付き) | 鉄の台金が付いた状態 | 5,000〜8,000 |
| 超硬粉・研磨粉・スラッジ | 不純物・水分の混入で変動大 | 4,000〜7,000 |
| ハイス(HSS・参考/別物) | 主成分が鉄。超硬と混ぜない | 約500〜550 |
| サーメット(参考/別物) | 超硬より軽い。チタン主体 | 約400〜500 |
※2026年6月時点の目安レンジです。タングステン相場は日々動くため、最終金額は現地での計量・成分確認で確定します。混入物が多い・母材が大きいほど下振れします。買取保証ではありません。
なぜ今こんなに高いのか/売りどきか
「いくらか」の次に多い疑問が「今が売りどきか」です。結論から言うと、超硬の相場はここ1〜2年が歴史的に高い水準にあります。原料であるタングステン中間材APT(パラタングステン酸アンモニウム)の国際相場が、2026年初の約75万人民元/トンから3〜4月には約136万〜145万人民元/トンへ急騰し、年初来で2倍超の上昇となりました(出典:China Tungsten Industry Association/2026年)。コロナ前後は超硬スクラップが1,600円/kg前後だった時期もあり、現在の水準は過去10〜15年で見てもかなり高い局面です。
- 原料が高騰中:超硬の価格はAPTの国際相場に連動します。APTは2026年1月の約75万元/トンから3月時点で約136万元/トンへ上昇し、年初比100%超の値上がりとなりました(出典:China Tungsten Industry Association)。
- 供給が絞られている:タングステンは世界供給の8割超を中国が握り、2026年に輸出許可制・輸出管理が強化され輸出量が大きく減りました。これが価格を押し上げる構造的な要因です。
- つまり:数年前の「数千円/kg台前半」の感覚で見積もると、今は大きく上振れしています。古い相場表のまま安く手放すと損をします。逆に、相場が高い今は動く価値がある局面です。
あなたの超硬はどれ? 道具なしでできる見分け方
査定額は種別で桁が変わるため、超硬かどうかの当たりを自分でつけられると概算や相見積もりがスムーズです。プロはX線成分分析器(XRF)で正確に判定しますが、道具なしで最も頼りになるのは「重さ(比重)」です。超硬の比重は約14〜15(鉄の約2倍・金に近い重さ)で、同じ大きさの鉄やハイス(比重約8)と比べて明らかにずっしり重く感じます。サーメットは超硬より軽く、ここで多くが切り分けられます。
| チェック項目 | 超硬の特徴 | 違う可能性 |
|---|---|---|
| 重さ(比重)※最重要 | 比重約14〜15。同じ大きさの鉄より「ずっしり重い」 | 軽ければハイス(比重約8)やサーメット(さらに軽い) |
| 色・質感 | 濃いグレーで金属光沢、硬く傷つきにくい | 銀白色でやや軽いならサーメットの可能性 |
| 用途・形状 | 切削チップ、ドリル先端、金型、丸棒など | — |
| 磁石(参考程度) | コバルトに反応して付くことがある | ハイスも鉄主体で付く。磁石だけでは確実に分けられない |
磁石だけで判断しないでください。「磁石に付く=超硬」は誤りです。超硬はコバルトを含むため磁石に付くことがありますが、ハイス(鉄主体)も強く付き、業者の解説でも反応の出方は分かれます。確実なのは重さと成分分析です。
間違えやすいので注意:「ハイス(HSS)」「サーメット」は見た目が超硬に似ていますが別物で、単価は超硬の10〜20分の1(約400〜550円/kg)まで下がります。判断に迷う場合は無理に削ったり分けたりせず、そのまま査定に出すのが安全です。
母材付き・シャンクで価格が下がる理由と対処
競合サイトであまり明確に書かれませんが、査定額を左右する最大のポイントが「超硬以外の部分(母材・鉄部)がどれだけ混じっているか」です。買取は超硬の正味重量で評価されるため、鉄の台金やシャンクが多いほどkg単価は下がります。ろう付けバイトは先端だけが超硬で台金は鉄、超硬ドリル・エンドミルもシャンクが鉄系の場合があります。銀ろう(ろう材)が大量に付いたままだと減額対象になることもあります(出典:大畑商事ほか業者解説)。
- ろう付けバイト:先端だけが超硬で、台金(母材)は鉄です。重量に占める超硬の割合が低いほど、kg単価は下がります。
- 超硬ドリル・エンドミルのシャンク:差し込む軸(シャンク)が鉄系の場合、その分は超硬として評価されません。
- ろう材(銀ろう)の付着:銀ろうが多く残ったままだと減額の可能性があるため、状態がわかる写真を手元に用意しておくと事前の概算精度が上がります。
- 対処:素人が無理に分離すると怪我や品質低下のリスクがあります。分離は専門業者に任せるか、母材付きのまま「母材ありで査定」と伝えるのが確実です。きれいな単体チップが最も高く評価されます。
重量×単価でおおよその金額を出す
手元の量から、おおよその金額を自分で見積もる方法です。「総重量を量る → 種別から単価レンジを当てる → 掛け算する」の3ステップ。例えばきれいな超硬チップ2.0kgなら、9,000〜13,000円/kg × 2.0kg=18,000〜26,000円が目安です。母材や混入物がある場合は実効重量・単価とも下がるため、あくまで上限の概算と考えてください。確定は現地計量・成分確認です。
- 家庭用はかり等で総重量を量る(例:きれいな超硬チップ 2.0kg)
- 相場表からレンジを当てる(チップ単体 = 9,000〜13,000円/kg)
- 掛け算する(2.0kg × 9,000〜13,000 = 18,000〜26,000円が目安)
※母材・混入物がある場合は実効重量・単価とも下がります。あくまで概算で、確定は現地計量です。
手取りを減らさない準備(やること・やらないこと)
超硬は高単価だからこそ、ちょっとした出し方で手取りが変わります。基本は「種別ごとにざっくり分ける・量をまとめる・相場が高い局面で動く」。逆にやってはいけないのは「無理にろう付けを剥がす・溶剤で過度に洗浄する・ハイスやサーメットを超硬に混ぜて出す」こと。混入があると全体評価が下がり、桁の安い金属に引っ張られて損をします。
| やること | やらないこと |
|---|---|
| 種別ごとにざっくり分けておく(チップ/工具/粉など) | 無理にろう付けを剥がす・削る(怪我・減量の原因) |
| 油・切粉・水分をできる範囲で落とす | 溶剤で過度に洗浄して変質させる |
| 量をまとめてから査定に出す(量がまとまるほど有利) | サーメット・ハイスを超硬と混ぜて出す(全体評価が下がる) |
| 相場が高い局面で動く(今は高水準) | 古い相場感のまま安値で手放す |
「工具屑なんて値が付かない」と思っている人へ
超硬で最も多い見落としが「これはただの工具の屑だから値が付かない」という思い込みです。実際は逆で、折れたエンドミル・欠けたチップ・使用済みドリル・研削スラッジまで、超硬である限り再資源化の価値があります。少量(数百g)でも、油やサビで汚れていても買取対象になります。一般の金属屑(鉄・雑品)として処分してしまうと、本来1kgあたり1万円前後の資源を二束三文で手放すことになりかねません。
- 「折れた・欠けた工具屑」でも値が付く:超硬は溶かして再生される資源です。形が崩れていても成分が超硬なら評価されます。
- 少量でも出す価値がある:量がまとまるほど条件は良くなりますが、数百g単位でも超硬は高単価です。「少ないから」と一般ごみ・鉄屑に混ぜないでください。
- サビ・油は致命的ではない:表面のサビや油は大きな問題になりにくいです。ただし水分の多い研磨粉・スラッジは純度・重量の評価に影響します。
- 「断られた」「鉄屑扱いされた」場合:超硬の成分分析設備がない業者だと、適正に評価されないことがあります。超硬・特殊金属を扱える買取先に出し直すと、評価が変わることがあります。
「これは超硬か?」「鉄屑として捨てる前に確かめたい」という段階では、売却先の選び方そのものが金額を左右します。超硬は単価が高いぶん、業者間の提示差もそのまま金額差として出るためです。売却先を見るときは、次の4点を確認しておくと評価の食い違いを避けやすくなります。
- 成分分析に対応しているか:XRF等で超硬・ハイス・サーメットを判別できる設備があるか。設備がない先では鉄屑扱いになりやすく、単価が10〜20分の1まで落ちることがあります。
- 計量が確認できるか:計量の場に立ち会えるか、計量結果や種別内訳の明細が出るかを先に確かめます。
- 単価と減額条件が明示されるか:kg単価だけでなく、母材付き・混入物・水分による減額幅まで説明があるかどうか。
- 古物営業法上の許可を受けているか:許可の有無は、本人確認や取引記録の運用にも表れます。
そのうえで、同じ品目・同じ重量という条件をそろえて2〜3社の見積もりを取ると、相場の幅と自分の品の位置づけが把握できます。スクラップ全般の相場感は 福岡のスクラップ相場一覧 もあわせて確認しておくと、提示額が妥当かどうかを判断しやすくなります。
福岡での売り方(持込/出張)と本人確認
超硬スクラップの売却は、業者ごとに細部は違うものの、おおむね「①品目・おおよその量・地域を伝える→②持込か出張かを決める→③現地で計量・成分確認→④金額提示→⑤本人確認・支払い」という順に進みます。福岡市内には持込に対応する屑金属業者が複数あり、量が多い・運搬が難しい場合は出張対応を扱う先を選ぶと負担が減ります。買取時は古物営業法に基づき原則として本人確認と取引記録が義務づけられているため、運転免許証等の身分証を用意しておくと確実です。
- 品目・おおよその量・地域を伝える(状態がわかる写真があると概算が早い)
- 持込 または 出張を選ぶ(量が多い・運搬が難しい場合は出張が便利)
- 現地で計量・成分確認 → 金額提示
- 本人確認(古物営業法に基づく)→ 支払い
取引時の注意点は次のとおりです。
- 買取時は古物営業法に基づき本人確認と取引記録が必要です(運転免許証等の身分証が必要になります)。
- 盗難品・所有権の不明なものは買い取ってもらえません。
- 事業者の方は、売却益の税務上の扱いについて税理士等にご確認ください(本記事は税務助言ではありません)。スクラップ売却と確定申告の考え方は スクラップ売却の税金・確定申告 も参考にしてください。
よくある質問
- Q. 少量(数百g)でも買い取ってもらえますか?
- 種別と状態によりますが、超硬は高単価のため少量でも査定の価値があります。量がまとまるほど条件は良くなります。持ち込む前に品目と量を伝えておくと、対応可否と単価の目安を確かめやすくなります。
- Q. 折れた工具・使い古しのドリルやチップでも値が付きますか?
- 付きます。超硬は溶かして再生される資源で、形が崩れていても成分が超硬なら評価されます。鉄屑・一般ごみに混ぜず、超硬として分けて出してください。
- Q. サビや油で汚れていても大丈夫ですか?
- 表面のサビ・油は大きな問題になりにくいです。ただし水分の多い研磨粉・スラッジは重量・純度の評価に影響します。
- Q. 磁石に付いたのですが超硬ですか?
- 磁石だけでは判断できません。超硬はコバルトを含むため付くことがありますが、鉄主体のハイスも付きます。確実なのは「重さ(超硬は比重約14〜15でずっしり重い)」と成分分析です。
- Q. 提示された相場表より安く言われることはありますか?
- あります。本記事の数値は「きれいな単体」を上限とした目安です。母材付き・混入物・ハイス/サーメット混在などで下振れします。最終額は現地計量と成分確認で確定します。
- Q. 超硬かどうか自信がありません。
- 無理に判定・分離せず、そのままの状態で査定に出すのが安全です。超硬を扱う業者はX線成分分析(XRF)で材質を判定します。
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