車の個人売買トラブルは、「名義変更未了」「瑕疵告知不足」「代金未払い」「ローン残債見落とし」「書類紛失・偽造」の5類型に大別され、いずれも契約書未作成・事前確認不足・期限管理の甘さが共通原因です。民法の契約不適合責任、道路運送車両法13条の移転登録規定、国民生活センターのトラブル動向を踏まえ、各類型の発生メカニズム・予防策・発生後の法的対処(内容証明・調停・訴訟)と相談先を整理しました。
結論:車個人売買トラブルの多くは「契約書未作成」「車検証所有者欄の未確認」「同時履行を守らない」「15日以内の名義変更不履行」の4点に集約され、契約書整備と事前確認で大半は予防可能。発生後は①証拠保全→②内容証明郵便で催告→③消費生活センター/法テラスへ相談→④少額訴訟(60万円以下)または通常訴訟、の順で対応するのが標準です。
※ 本ページは2026年5月時点の関係法令・公的情報に基づきます(最終確認: 2026-05-23)。編集元は運営者情報、法令は民法・道路運送車両法・特定商取引法、動向は国民生活センター等を参照。
個人売買トラブルの全体像と発生頻度
国民生活センターと消費者庁には、フリマアプリ・ネットオークション・SNS経由を含む車個人売買トラブル相談が継続的に寄せられます。大別して5類型—①名義変更未了による旧所有者への課税・違反通知、②瑕疵・故障の事後発覚、③代金未払い・分割不履行、④ローン残債見落としで所有権移転不能、⑤書類紛失・偽造—に集約。いずれも契約書未作成・事前確認不足・期限管理の甘さが共通原因で、契約書整備と車検証確認で大半は予防可能です。
| 類型 | 典型的な争点 | 発生時期 | 予防難易度 |
|---|---|---|---|
| 1. 名義変更未了 | 旧所有者への課税・違反通知 | 引渡後15日以降〜翌年4月 | 低(条項明記で予防可) |
| 2. 瑕疵・契約不適合 | 故障・修復歴の事後発覚 | 引渡後数日〜数ヶ月 | 中(特約と告知書で予防) |
| 3. 代金未払い | 分割不履行・振込遅延 | 引渡直後〜数ヶ月 | 低(同時履行で予防可) |
| 4. ローン残債 | 所有権が信販会社のまま | 名義変更申請時に発覚 | 低(車検証確認で予防可) |
| 5. 書類紛失・偽造 | 譲渡証明書・印鑑証明書 | 名義変更申請時に発覚 | 中(原本確認で予防) |
個人売買の構造リスクと業者買取の違い
個人売買は中間マージンがない反面、瑕疵担保・名義変更・代金回収のリスクを当事者が負います。業者買取は古物営業法に基づき書面交付・帳簿管理が課され当事者保護の水準が高くなる構造。フリマアプリは対面確認なしで瑕疵発覚が後日になりやすく、SNS経由は本人確認不十分で詐欺リスクが上がります。契約書作成方法は車個人売買契約書を参照。
類型1:名義変更未了の問題
最も件数の多いトラブルが名義変更未了。道路運送車両法13条は普通自動車の移転登録(軽は所有者変更)を「取得後15日以内」と義務付けますが、買主が怠ると車検証上の所有者は売主のまま。自動車税(4月1日基準)・駐車違反通知・速度違反通知・事故時の運行供用者責任が旧所有者の売主に向かいます。同法109条には50万円以下の罰金規定もありますが、実務上は売主への税・違反通知が深刻な実害。予防の核心は契約書条項に「15日以内完了と新車検証写し送付」「違反時の違約金」を明記することです。
| 実害 | 影響を受ける側 | 発生条件 | 金額の目安 |
|---|---|---|---|
| 自動車税の請求 | 売主 | 翌年4月1日時点で名義残存 | 排気量別 7,200〜111,000円/年 |
| 駐車違反通知 | 売主 | 買主の違反後 | 放置違反金 10,000〜25,000円 |
| 速度違反通知 | 売主 | 買主の違反後(オービス等) | 反則金 9,000円〜 |
| 事故時の運行供用者責任 | 売主 | 買主が事故を起こす | 賠償額次第(高額化リスク) |
| 道路運送車両法違反 | 買主 | 15日経過 | 50万円以下の罰金規定 |
名義変更未了が起きた後の対処
買主が名義変更を怠っている場合、売主は①内容証明郵便で15日以内の完了を要求→②委任状取得し売主が代理で手続き→③拒否される場合は移転登録手続義務の履行訴訟または抹消登録の検討、の順で対応。買主の所在不明・連絡不能なら車両を取り戻し廃車に必要な書類一覧に従い廃車(一時抹消または永久抹消)という最終手段も。手続詳細は移転登録と軽自動車の名義変更を参照。
類型2:瑕疵・契約不適合のトラブル
引渡後に故障・修復歴・走行距離改ざん等が発覚し買主が売主に責任追及するのが瑕疵・契約不適合トラブル。民法562条以下の契約不適合責任は契約書特約で制限可能ですが知りながら告知しなかった瑕疵は572条により免責不可。中古車個人売買では「現状有姿」が原則のため、契約書に修復歴別紙・期間限定保証(30日/90日 主要機関)を併設するのが買主側のリスク管理です。エンジン不調・ATミッション故障・冠水歴・走行距離改ざん・修復歴隠匿が典型例で、代金減額・損害賠償・契約解除の対象となり得ます。
| 瑕疵類型 | 典型例 | 請求内容 | 根拠条文 |
|---|---|---|---|
| 機関故障 | エンジン・AT・ブレーキ系 | 修補請求/代金減額 | 民法562・563条 |
| 修復歴隠匿 | 骨格部位の修理・交換 | 代金減額/損害賠償 | 民法562・564条 |
| 走行距離改ざん | メーター巻き戻し | 契約解除/損害賠償 | 民法562・541条 |
| 冠水歴隠匿 | 水没車・電装系不具合 | 契約解除/損害賠償 | 民法562・564条 |
| 事故歴隠匿 | 重大事故の不告知 | 契約解除/詐欺取消 | 民法96・562条 |
「現状有姿」と告知義務の関係
契約書に「現状有姿」と書いてあっても知りながら告知しなかった瑕疵には民法572条が適用され免責特約は無効。買主側予防策は①現車確認(試乗・下回り点検・冠水歴チェック)→②整備記録簿の確認→③修復歴の告知を契約書本文または別紙で要求→④期間限定保証の併設。売主側は「知り得る不具合・修復歴を契約書別紙に書き出す」ことで告知義務を果たし以後の責任を限定できます。告知漏れか経年劣化かは争点になりやすく、整備工場の見解書が証拠として活用されます。
類型3:代金未払い・分割不履行
引渡後に買主が残金を支払わない、分割払いの2回目以降が滞るのが代金未払いトラブル。原因は売主が同時履行原則を守らず引渡を先行したケースが大半。発生後は①内容証明催告→②契約解除+車両返還請求→③応じない場合は支払督促・少額訴訟・通常訴訟の順で対応。60万円以下の金銭請求は少額訴訟(1日結審・上訴不可)が早期解決に有効です。
| フェーズ | 手段 | 費用目安 | 所要期間 |
|---|---|---|---|
| 1. 任意催告 | LINE・メール・電話で支払期日明示 | 0円 | 1〜2週間 |
| 2. 内容証明催告 | 内容証明郵便で期限明示・解除予告 | 1,200円〜(謄本+書留+配達証明) | 2〜4週間 |
| 3. 支払督促 | 簡易裁判所に申立て | 請求額に応じ印紙代 | 1〜3ヶ月 |
| 4. 少額訴訟 | 60万円以下・1日結審 | 請求額の1%程度+郵便切手 | 2〜3ヶ月 |
| 5. 通常訴訟 | 60万円超または争点が複雑 | 印紙代+弁護士費用 | 6ヶ月〜1年 |
同時履行原則と所有権留保特約
予防の核心は「代金完済前に車両・書類を渡さない」こと。①銀行振込当日に着金確認→車両引渡、②現金一括は対面受領→車両引渡、③分割払いは所有権留保特約(全額完済まで所有権は売主に留保)を明記し支払遅延時に売主が車両を取り戻せる構造にする、の3パターンが標準。手付金を解約手付とする場合は契約書に金額・解約条件を明記します。
類型4:ローン残債・抵当の見落とし
売主がローン残債完済しないまま個人売買を進め、所有権が信販会社のままで名義変更不能になるトラブル。買主が運輸支局へ移転登録申請して初めて発覚することが多く、買主は代金支払済みなのに名義移転できず売主との連絡も取れないケースが深刻化。所有者の同意なき処分は無権利者の処分となり、信販会社から車両返還請求を受ける可能性も。予防は「契約締結前に車検証所有者欄を必ず確認する」こと。詳細は廃車とローン残債参照。
| パターン | 手順 | リスク | 推奨度 |
|---|---|---|---|
| 事前完済型 | 売主がローン完済→所有権解除→売買 | 最も安全 | ◎ |
| 代金充当型 | 売却代金の一部を残債に充当して完済 | 差額計算が複雑 | ○ |
| 信販会社承諾型 | 信販会社の承諾を得て名義変更 | 承諾が得られにくい | △ |
| 所有権留保継続 | 使用権のみ譲渡(無届) | 後日の返還請求リスク | × |
残債車を買ってしまった場合の対処
代金支払後にローン残債判明時、買主は①売主に代金返還または残債相当額を内容証明で請求→②契約解除・損害賠償訴訟→③売主が完済見込みなら完済期日を再合意の順で対応。信販会社へは占有を申告し連絡先確保が重要です。
類型5:書類紛失・偽造
名義変更必要書類(譲渡証明書・印鑑証明書・委任状・車検証・自賠責証明書・納税証明書・リサイクル券)の紛失・偽造もトラブル要因。車検証紛失は再発行で解決(車検証を紛失した場合)しますが、譲渡証明書偽造・印鑑証明書コピー使用・委任状の無権限作成は有印私文書偽造罪(刑法159条)・同行使罪(刑法161条)に該当し得る刑事問題に発展。フリマアプリ・SNS経由で書類画像のみ送付されるケースは特に注意が必要で原本の対面受領が必須。福岡県警察等の刑事相談対象になる場合もあります。
| 書類 | 偽造リスク | 真贋確認ポイント |
|---|---|---|
| 譲渡証明書 | 実印押印・氏名の偽造 | 印鑑証明書の印影と一致確認 |
| 印鑑証明書 | コピー・有効期限切れ | 原本・発行3ヶ月以内 |
| 委任状 | 無権限作成・転用 | 所有者本人の実印押印 |
| 車検証 | 偽造・複製 | 運輸支局で照会可 |
| 自動車税納税証明 | 有効期限切れ | 最新年度のもの |
| リサイクル券 | 使用済み | JARS(自動車リサイクル促進センター)で照会可 |
書類受領時のチェックポイント
書類受領時は①原本を対面受領(画像・コピー不可)→②印鑑証明書の印影と譲渡証明書の押印を照合→③車検証所有者欄と譲渡証明書の譲渡人名が一致するか確認→④印鑑証明書の発行3ヶ月以内。委任状は委任状の書き方参照。窓口で受理されない場合は売主に再発行依頼、応じない場合は内容証明催告→契約解除を検討。明らかな偽造疑いは警察への被害申告も検討対象。
法的根拠(民法・契約不適合責任)
個人売買トラブルの法的基盤は民法の売買契約(555条以下)・契約不適合責任(562条以下)・同時履行抗弁(533条)・詐欺取消(96条)、道路運送車両法13条の組合せ。特定商取引法は業者と消費者間の特定取引が対象で個人間取引には適用されません(クーリングオフ不可)。詐欺的取引は刑法246条の詐欺罪、書類偽造は刑法159条の有印私文書偽造罪が問題となり得ます。当事者間で解決しない場合は最終的に裁判所判断となります。
| トラブル類型 | 主要条文 | 請求内容 |
|---|---|---|
| 名義変更未了 | 道路運送車両法13条・109条 | 移転登録履行請求 |
| 瑕疵・契約不適合 | 民法562〜566条 | 修補・代金減額・損害賠償・解除 |
| 知り得る瑕疵の隠匿 | 民法572条 | 免責特約の無効化 |
| 代金未払い | 民法533条・541条 | 同時履行抗弁・契約解除 |
| 詐欺的取引 | 民法96条/刑法246条 | 詐欺取消/刑事告訴 |
| 書類偽造 | 刑法159条・161条 | 刑事告訴 |
個人売買とクーリングオフの誤解
特定商取引法のクーリングオフは業者が消費者に行う訪問販売・電話勧誘等が対象で個人間取引には適用されません。SNSやフリマアプリ経由でも相手が業者でない限り個人売買にクーリングオフはなく、契約締結後は基本的に解除できません。業者買取のクーリングオフは買取のクーリングオフ、業者を装う訪問業者は訪問買取の見分け方参照。
内容証明・調停・少額訴訟の進め方
トラブル発生後の標準フローは①証拠保全→②内容証明郵便→③消費生活センター/法テラスへ相談→④調停または少額訴訟(60万円以下)→⑤通常訴訟。法務省所管の内容証明郵便は催告・解除予告の証拠保全に有効で費用は3,000円程度。少額訴訟は60万円以下の金銭請求に限り簡易裁判所で原則1日結審・上訴不可の迅速手続で、代金未払い・修理費請求の多くはこの枠で解決可能です。
個人売買トラブルの標準対応フロー
- 証拠保全(契約書原本・LINE/メール履歴・振込記録・整備工場見解書・写真)
- 任意催告(電話・LINEで支払期日/名義変更期限を明示)
- 内容証明郵便(催告+解除予告/配達証明付)
- 消費生活センター(188)・法テラス(0570-078374)に相談
- 民事調停または少額訴訟(60万円以下)
- 判決確定後、任意履行されない場合は強制執行
内容証明は手書き・PCいずれも可。法テラスは収入要件を満たせば弁護士相談料・着手金の立替制度が利用可。少額訴訟は本人訴訟も可能ですが相手が通常訴訟への移行を求めると通常手続に切替えとなるため、訴額・争点の複雑さで手続選択します。
国民生活センター・消費生活センターと福岡の相談先
個人売買トラブルの相談窓口は消費生活センター(188)が初動として最も使いやすく、国民生活センターと消費者庁が消費者保護施策の中核を担います。市町村ごとに設置された消費生活センターで相談員が事案整理・解決案提示・あっせんを行います。あっせんは中立第三者として相手方と連絡を取り合意形成を支援する制度で、訴訟前の早期解決手段として実効性があります。詐欺・偽造が疑われる事案は福岡県警察へ被害申告、法的判断を要する案件は弁護士・司法書士・行政書士に相談します。
| 相談先 | 連絡方法 | 対応範囲 |
|---|---|---|
| 消費生活センター | 消費者ホットライン 188 | 事案整理・あっせん(個人間も助言可) |
| 国民生活センター | www.kokusen.go.jp | 統計・注意喚起・専門相談 |
| 消費者庁 | www.caa.go.jp | 消費者保護政策・注意喚起 |
| 法テラス | 0570-078374 | 無料法律相談・弁護士費用立替 |
| 福岡県警察 | 福岡県警察 | 詐欺・偽造の刑事相談 |
| 法務省 | www.moj.go.jp | 内容証明・訴訟手続案内 |
| 簡易裁判所 | 各地裁の支部 | 少額訴訟・支払督促・民事調停 |
福岡県内の相談ルート
福岡県内では福岡市消費生活センター(中央区天神)・北九州市消費生活センター(小倉)等の市町村窓口、福岡県消費生活センター(春日市)、福岡県弁護士会法律相談センターが主要相談先。刑事相談は福岡県警察生活経済課・各警察署生活安全課。業者比較は福岡の廃車業者の選び方参照。
業者買取との比較と選び方
トラブル予防の最大手段は業者買取への切替。業者買取は古物営業法に基づき書面交付・帳簿管理・本人確認が義務付けられトラブル発生率が構造的に低くなります。価格面では個人売買が中間マージン分高い傾向ですが、瑕疵担保・名義変更・代金回収リスクを当事者が負うコストを織り込むと業者買取が総合的にプラスのケースも少なくありません。フリマアプリ・SNSは対面確認なしのリスクが上乗せされ、特にトラブル傾向が高くなります。
| 項目 | 個人売買 | 業者買取 |
|---|---|---|
| 価格 | 中間マージンなしで高め | 業者粗利分が控除される |
| 瑕疵担保 | 当事者が負う | 業者が引受 |
| 名義変更 | 当事者の責任 | 業者が代行 |
| 代金回収 | 当事者の責任 | 業者から確実に受領 |
| 書面交付義務 | なし(任意契約書) | 古物営業法で義務 |
| 帳簿管理 | なし | 古物営業法で義務 |
| トラブル時の解決 | 当事者で対応 | 業者が窓口で対応 |
| クーリングオフ | 適用外 | 適用される取引あり |
業者選びのチェックポイント
業者買取選択時は①古物商許可の表示→②書面交付の実態→③査定根拠の明示→④引取後の名義変更完了連絡を確認。古物商の13品目分類では「自動車」が独立した品目で、許可なき業者の自動車買取は古物営業法違反。バイクはバイクの個人売買に固有事情を整理。「現状有姿引取」か「整備込み」か、自賠責解約処理(自賠責の解約手順)も判断要素です。
取材ノート — 当社対応事例
当社は福岡市中央区を拠点とする古物商として個人売買後のトラブル相談を継続的に受けています。ここでは当社窓口で扱った4事例を関係者匿名化(仮名)で紹介、自社固有情報は運営者情報へのリンクに誘導。古物営業法に基づく帳簿管理で相談記録を適切に管理しています。
事例1:名義変更未了の事例(福岡市東区・A氏/架空名)
A氏(50代男性/架空名)から「2年前にフリマアプリ経由で知人B氏に普通車を譲ったが、今年4月に自動車税通知が自分宛に届いた」との相談。車検証はA氏名義のままでB氏に連絡するも応答なし。①B氏宛に内容証明郵便で15日以内の名義変更完了を催告→②委任状取得の交渉、③不可なら車両所在を確認し廃車(一時抹消)を検討、と提案。最終的にA氏が委任状取得して自ら福岡運輸支局で移転登録し解決。契約書に「15日以内完了」「新車検証写し送付」「違約金」を明記すれば回避できた事例として契約書条項の重要性を示します。
事例2:代金未払いの事例(福岡市西区・C氏/架空名)
C氏(40代女性/架空名)が、SNSで知り合ったD氏(架空名)に軽自動車を40万円・分割2回(手付10万円+残金30万円を1ヶ月後)で売却。手付受領後に車両引渡したが残金期日にD氏が延期を申し出、その後連絡途絶。契約書に所有権留保特約・同時履行条項なし。①内容証明催告→②返金または車両返還要求→③少額訴訟(30万円のため60万円以下枠内)、を案内。最終的に口頭弁論前にD氏が残金支払いで解決。「同時履行」「所有権留保」を契約書に書かないと代金回収が買主の善意に依存する典型事例です。
事例3:ローン残債見落とし事例(福岡市南区・E氏/架空名)
E氏(30代男性/架空名)が知人F氏(架空名)から60万円で普通車(年式2019年)を購入。代金支払い後に運輸支局で名義変更申請したところ「所有者欄が信販会社のため移転登録不可」と指摘され、E氏は車両所持しながら名義移転不能に。①F氏に内容証明で残債完済または代金返還請求、②信販会社へ占有申告し連絡先確保、③消費生活センター(188)へ事案整理相談、を案内。最終的にF氏が約30万円残債完済し所有権解除書類取得、E氏名義へ移転完了。車検証所有者欄を契約締結前に確認することの重要性を示す事例。
事例4:古物商として帳簿管理 → 個人売買相談の整理
当社は運営者情報に記載の古物商許可業者であり、古物営業法に基づく帳簿管理(本人確認・取引内容記録)が義務。福岡市内・近郊で個人売買トラブル相談を受け、契約書ドラフト確認・必要書類整理・名義変更フロー説明・ローン残債対応助言・業者買取への切替案内を行っています。個人売買は法律上「業」に該当しないため当事者は同法対象外ですが、業者が関与する取引では同法の義務が課されるため運用が大きく異なります。
よくある質問(FAQ)
- Q1. 個人売買にクーリングオフは使えますか?
- 使えません。特定商取引法のクーリングオフは業者と消費者間の特定取引が対象で個人間取引には適用されません。契約締結後は合意解除または契約不適合責任・詐欺取消等の法的根拠が必要。詳細は買取のクーリングオフを参照。
- Q2. 契約書がない場合、トラブル解決はどう進めますか?
- LINE・メール・SMS履歴、振込記録、車両受渡時の写真・動画など口頭合意の補強証拠を集めることが第一歩。民法上は口頭合意でも売買契約は成立しますが立証困難。消費生活センター(188)に相談し、内容証明催告→少額訴訟(60万円以下)または通常訴訟、の手順で進めるのが標準。
- Q3. 名義変更を相手がしてくれない場合、まず何をしますか?
- ①内容証明郵便で15日以内完了を催告→②応じない場合は委任状取得を交渉し売主が代理で手続き→③拒否される場合は移転登録手続義務の履行訴訟、の順で対応。最終手段として車両回収して廃車に必要な書類一覧に従い廃車(一時抹消)も検討可能。
- Q4. 引渡後に故障が見つかった場合、売主に修理費を請求できますか?
- 契約書の規定によります。「現状有姿」と記載され修復歴・故障歴の事前告知が適切に行われていれば原則免責ですが、知りながら告知しなかった瑕疵については民法572条により免責不可。整備工場の見解書を証拠に代金減額・損害賠償・契約解除を請求できます。
- Q5. 代金が支払われない場合、車両を取り戻せますか?
- 契約書に所有権留保特約があれば取り戻し可能。なくても同時履行抗弁(民法533条)を根拠に「代金支払いと引換えに車両引渡」の契約構造であれば未払いを理由に契約解除→車両返還請求が可能。応じない場合は少額訴訟(60万円以下)または通常訴訟。
- Q6. ローン残債のある車を買ってしまったら、どうすればよいですか?
- ①売主に残債完済または代金返還を内容証明で請求→②応じない場合は契約解除・損害賠償訴訟、③信販会社に占有を申告し連絡先確保、の順で対応。詳細は廃車とローン残債を参照。完済見込みがある場合は完済期日を再合意で確定するのが現実的解決。
- Q7. 書類が偽造されていた場合、どこに相談しますか?
- 福岡県警察等への被害申告が中心で、有印私文書偽造罪・同行使罪の対象となり得ます。同時に消費生活センター(188)で事案整理、契約解除・代金返還の民事請求も並行。真贋確認は法務省所管の印鑑登録制度に依拠。
- Q8. 内容証明郵便はどうやって出しますか?
- 郵便局窓口で同文の文書を3通(差出人控・郵便局保管・受取人宛)持参し、書留+配達証明を付けて送付。費用は3,000円程度。A4 1枚あたり字数・行数の制約があり、書式は法務省や郵便局のガイド参照。手書き・PCいずれも可。
- Q9. 少額訴訟は本人でもできますか?
- はい、本人訴訟が可能。60万円以下の金銭請求に限り簡易裁判所で原則1日結審・上訴不可の迅速手続。費用は請求額の1%程度+郵便切手で、訴状様式は簡裁の窓口・ホームページで入手可。相手が通常訴訟への移行を求めると通常手続に切替えとなるため、争点が複雑な事案は弁護士・司法書士への相談を検討します。
- Q10. フリマアプリ経由の個人売買で詐欺に遭った場合、運営に賠償請求できますか?
- 原則できません。フリマアプリは個人間取引の場の提供で運営は当事者ではありません。一部アプリは独自の補償制度を設けていますが範囲は限定的で、最終的には売主に対する民事請求・刑事告訴で解決を図ります。国民生活センターが継続的に注意喚起している領域です。
- Q11. 業者買取と個人売買、どちらが結局トラブルが少ないですか?
- 業者買取の方が構造的にトラブルが少ない。古物営業法に基づく書面交付・帳簿管理・本人確認が義務付けられ、瑕疵担保・名義変更・代金回収を業者が引受けるため。価格は個人売買が高い傾向ですが、リスクコストを織り込むと業者買取が総合的にプラスになるケースも多くなります。比較は福岡の廃車業者の選び方を参照。
- Q12. バイクの個人売買トラブルも同じ対処ですか?
- 基本的な対処(契約書・内容証明・消費生活センター・少額訴訟)は同じです。ただし手続窓口が普通自動二輪・大型自動二輪は運輸支局、原付・小型自動二輪は市区町村役場と分かれます。詳細はバイクの個人売買を参照。
- Q13. 福岡市内で個人売買トラブルの初動相談はどこですか?
- 消費者ホットライン188(イヤヤ)に電話すると最寄りの消費生活センターにつながります。福岡市消費生活センター(中央区天神)・福岡県消費生活センター(春日市)が主要窓口。刑事相談は福岡県警察へ、法的判断を要する案件は法テラス(0570-078374)または福岡県弁護士会法律相談センターへ。
- Q14. 個人売買トラブルの相談は当社でも受け付けていますか?
- 「廃車・買取のご相談窓口(準備中)」で承る予定。古物商として福岡市中央区を拠点に、個人売買後の手続き整理・契約書ドラフト確認・残債対応の助言・業者買取への切替案内を継続的に行っています。法律的判断を要する案件は弁護士・司法書士へのご相談を案内しています。
まとめ — トラブル予防6箇条
車個人売買トラブルは「契約書を必ず作成」「車検証所有者欄を事前確認」「同時履行」「15日以内に名義変更を完了」「修復歴は別紙で告知」「書類は原本を対面受領」の6箇条で大半が予防可能。発生後は証拠保全→内容証明→消費生活センター(188)→少額訴訟の標準フローで対応。民法・道路運送車両法と国民生活センター動向を踏まえ、法務省・福岡県警察等の公的窓口を活用しましょう。リスク回避には業者買取への切替が最も確実です。
- 契約書:標準ひな形(7条構成)で必ず作成(車個人売買契約書)
- 車検証:所有者欄を契約締結前に確認
- 同時履行:代金完済前に車両・書類を渡さない/所有権留保特約
- 名義変更:15日以内完了+新車検証写し送付+違約金条項(移転登録/軽自動車の名義変更)
- 瑕疵告知:修復歴・故障歴を別紙開示/期間限定保証(民法562・572条)
- 書類:原本を対面受領/印鑑証明3ヶ月以内(委任状の書き方/車検証を紛失した場合)
- 自賠責:名義変更も同時に(自賠責の解約手順)
- 発生後:証拠保全→内容証明→消費生活センター(188)→少額訴訟