車の個人売買 契約書|ひな形と必須6項目・名義変更

車の個人売買で契約書は法律上の義務ではありません。ですが「代金が振り込まれない」「名義変更してもらえず翌年の自動車税が自分に来た」「引渡し後の故障を押し付けられた」というトラブルは、ほとんどが契約書と状態告知の不備から起きます。要点は「入金確認 → 車と書類の引渡し → 買主が15日以内に名義変更」の順番を崩さないこと、知っている不具合を別紙で正直に告知すること、そして譲渡証明書を必ず交付することです。純粋な個人間の自動車売買契約書に収入印紙は不要です。

結論から。友人・家族間でも、「売買契約書(全14条)+車両状態告知書+譲渡証明書」の3点をそろえれば十分に機能します。以下、そのまま写せる全条文と項目別の記入例、普通車と軽自動車で根拠条文も罰則も窓口も違うという見落とされやすい分岐、2026年4月に改定された登録手数料の実額まで、公的な正本にあたって整理しました(2026年8月時点の情報です)。

まず押さえる早見表

迷いやすい論点の結論を先に示します。契約書は義務ではないが作るべき、収入印紙は純粋な売買なら不要、名義変更は普通車が道路運送車両法第13条第1項・軽自動車が同法第67条第1項でいずれも15日以内、罰則は普通車50万円以下・軽30万円以下の罰金、手数料は2026年4月1日改定で移転登録が窓口700円・OSS600円(軽の変更記録は無料)、支払いは必ず入金確認が先。譲渡証明書の交付は売主の法的義務です。この7点を外さなければ大きな失敗は避けられます。

車の個人売買・5つの疑問への結論(2026年8月時点)
疑問 結論
契約書は必須? 義務ではない。ただし国民生活センターは個人間売買のリスクとして「車の不具合が生じた際の責任の所在が分からない」「名義変更をしてくれない」「代金や税金の未払い」の3つを挙げており、いずれも契約書で防げる
収入印紙は必要? 純粋な自動車売買契約書は不課税=不要。自動車は印紙税法別表第一の課税物件表に掲げられていない
名義変更の期限は? 普通車は新所有者が15日以内に移転登録(道路運送車両法第13条第1項)。軽自動車は使用者が15日以内に自動車検査証の変更記録(同法第67条第1項)。根拠条文が違う
手数料はいくら? 移転登録=窓口申請700円・OSS申請600円(2026年4月1日改定。改定前は一律500円)。軽自動車の変更記録は無料
支払いと引渡しの順番は? 入金確認 → 車・書類の引渡し → 買主が15日以内に名義変更。所有権は代金完済時、危険負担は引渡し時に移す条項を入れる

ここが一番の落とし穴:ネット上の記事や古い案内PDFに載っている移転登録手数料「500円」は、2026年4月1日の改定前の額です。国土交通省の「自動車の登録・検査の法定手数料変更について(令和8年4月1日)」で、移転登録は窓口申請700円・OSS申請600円に改められました。変更登録・一時抹消登録は窓口500円・OSS450円、永久抹消登録と一時抹消後の所有者変更は無料です。

契約書に必ず入れる項目と記入例

契約書として機能させるには、当事者・車両の特定・代金・支払・引渡し・所有権と危険の移転時期・名義変更の期限・税と預託金の精算・契約不適合責任・権利の表明保証の10要素が要ります。車両の特定は「自動車検査証の記載どおりに書き写す」のが原則で、車名・型式・車台番号・原動機の型式の4つは、道路運送車両法第33条第1項が譲渡証明書の法定記載事項として定める項目と必ず一致させます。ここがずれると窓口で書類の作り直しになります。当事者の住所氏名は印鑑登録証明書のとおりに書きます。

本件自動車の表示欄・何をどこから書き写すか
記入欄 どこを見て書くか 記入例
自動車登録番号 自動車検査証の「自動車登録番号/車両番号」欄 福岡300あ12-34
車名 検査証の「車名」欄(メーカー名が入る。車種名ではない) トヨタ
型式 検査証の「型式」欄をハイフンまで正確に DBA-〇〇〇〇〇
車台番号 検査証の「車台番号」欄。ハイフンの位置まで一致させる 〇〇〇〇-〇〇〇〇〇〇〇
原動機の型式 検査証の「原動機の型式」欄 〇〇〇
初度登録年月 検査証の「初度登録年月」欄 令和〇年〇月
走行距離 契約日にメーターを実見して記録。「契約日時点」と明記 82,340km(契約日時点)
車検の満了日 検査証の「有効期間の満了する日」欄 令和〇年〇月〇日
自賠責の満了日 自賠責保険証明書の保険期間の満了日と証明書番号 令和〇年〇月〇日/証明書番号〇〇〇
リサイクル券 預託証明書(リサイクル券A券)の番号 〇〇〇〇〇〇〇〇〇

当事者欄の書き方:住所・氏名は印鑑登録証明書の記載どおりに書きます。検査証上の住所と現住所が違う場合は、印鑑証明書の側に合わせたうえで、つながりを示す住民票や戸籍の附票を用意します。法人が当事者になるときは、近畿運輸局の譲渡証明書記入例が示すとおり、名称だけでなく代表者の役職・氏名まで記入します。

そのまま使えるひな形(全14条)

下の全文を書き写し、〇〇部分を検査証と印鑑証明書のとおりに埋めれば使えます。パソコン作成でも有効です。2部作り、記名押印のうえ各1通を保管します。第5条で所有権を代金完済時に・危険負担を引渡し時に移すこと、第6条で15日以内の名義変更と検査証写しの返送を義務づけること、第8条で自動車税の精算方法を数字で決めること、第12条でローン残債・所有権留保がないことを表明させることの4点が、口約束との決定的な差になります。空欄は必ず埋めてください。

自動車売買契約書ひな形(全14条)

自動車売買契約書

売主〇〇〇〇(以下「甲」という。)と買主〇〇〇〇(以下「乙」という。)は、後記表示の自動車(以下「本件自動車」という。)の売買について、次のとおり契約を締結する。

第1条(売買の合意) 甲は乙に対し、本件自動車を現状有姿にて売り渡し、乙はこれを買い受ける。

第2条(売買代金) 本件自動車の売買代金は、金〇〇〇,〇〇〇円とする。当該代金には、リサイクル預託金相当額金〇〇,〇〇〇円を含む/含まない(いずれかを抹消する)。

第3条(支払方法・期日) 乙は、〇年〇月〇日までに、前条の売買代金全額を、甲の指定する下記金融機関口座に振込送金の方法により支払う。振込手数料は乙の負担とする。
金融機関名〇〇銀行〇〇支店/普通預金/口座番号〇〇〇〇〇〇〇/口座名義〇〇〇〇

第4条(引渡し) 甲は、前条の代金全額の入金を確認した後ただちに、〇年〇月〇日、〇〇〇〇において、本件自動車ならびに次の書類および付属品を乙に引き渡す。
①自動車検査証(原本)②自賠責保険証明書(原本)③預託証明書(リサイクル券)④自動車税(種別割)納税証明書⑤譲渡証明書(甲の実印を押印したもの)⑥甲の印鑑登録証明書(発行から3か月以内のもの)⑦甲の委任状(甲の実印を押印したもの)⑧鍵〇本(スペアキーを含む)⑨取扱説明書・整備記録簿

第5条(所有権の移転および危険の移転) 本件自動車の所有権は、第3条の代金全額の支払が完了した時に甲から乙に移転する。本件自動車の滅失・毀損の危険は、前条の引渡しが完了した時に乙に移転する。

第6条(移転登録・変更記録) 乙は、自己の費用と責任において、引渡しの日から15日以内に、本件自動車について移転登録(軽自動車の場合は自動車検査証の変更記録)の手続を完了し、完了後ただちに新しい自動車検査証の写しを甲に交付する。乙が正当な理由なくこの期限を徒過したときは、甲は乙に対し、期間を定めて履行を催告することができる。

第7条(自賠責保険の名義変更) 乙は、引渡し後すみやかに、本件自動車に係る自賠責保険(共済)の契約者名義の変更手続を、保険会社(共済組合)の窓口において行う。

第8条(自動車税等の精算) 自動車税(種別割)は毎年4月1日現在の登録名義人に年額が課され、年度の途中に移転登録がされても月割による還付および新所有者への月割課税は行われない。そこで甲乙は、〇年度分の自動車税(種別割)年額金〇〇,〇〇〇円のうち、引渡し日の属する月の翌月から翌年3月までの〇か月分に相当する金〇〇,〇〇〇円を、乙が甲に対して支払うことにより精算する(精算を行わない場合はその旨を記載する)。自賠責保険料および自動車重量税の未経過分については、精算する/精算しない(いずれかを抹消する)。

第9条(リサイクル預託金) 本件自動車についてすでに預託されているリサイクル料金(預託金)は、本件自動車とともに乙に承継される。ただし資金管理料金は最初にリサイクル料金を支払った者の負担であり、精算の対象としない。甲は、預託証明書(リサイクル券)を第4条の引渡しの際に乙に交付する。

第10条(引渡し後の事故・違反等の責任分界) 引渡し以後に本件自動車の運行によって生じた事故、交通違反、駐車違反、有料道路等の未払料金その他一切の責任および費用は、移転登録が完了しているか否かにかかわらず乙が負担する。乙は、甲が第三者から請求を受けたときは、甲を免責し、甲に生じた損害を賠償する。

第11条(甲の告知および契約不適合責任) 1 甲は、本件自動車について現に知っている事項を別紙「車両状態告知書」に記載し、乙はこれを確認のうえ本契約を締結した。
2 乙は、本件自動車が種類または品質に関して契約の内容に適合しないことを知ったときは、その時から〇か月以内に甲にその旨を通知するものとし、この期間内に通知しないときは、履行の追完の請求、代金の減額の請求、損害賠償の請求および契約の解除をすることができない。
3 前項にかかわらず、甲は、別紙「車両状態告知書」に記載した事項および経年による通常の摩耗・劣化については、契約不適合責任を負わない。
4 前2項の定めにかかわらず、甲が知りながら告げなかった事実、および甲が自ら第三者のために設定しまたは第三者に譲り渡した権利については、甲は責任を免れない。

第12条(権利の瑕疵がないことの表明) 甲は、本件自動車について、所有権留保、譲渡担保、質権その他一切の担保権および第三者の権利が付着していないこと、ならびに差押え・仮差押えを受けていないことを表明し、保証する。

第13条(契約の解除) 甲または乙が本契約に定める義務に違反し、相手方が相当の期間を定めて催告してもなお是正されないときは、相手方は本契約を解除することができる。

第14条(協議・合意管轄) 本契約に定めのない事項および本契約の解釈について疑義が生じたときは、民法その他の法令に従い、甲乙誠意をもって協議して解決する。本契約に関して訴訟の必要が生じたときは、〇〇簡易裁判所または〇〇地方裁判所を第一審の専属的合意管轄裁判所とする。

本契約の成立を証するため本書2通を作成し、甲乙記名押印のうえ、各自1通を保有する。

〇年〇月〇日
売主(甲) 住所〇〇〇〇 氏名〇〇〇〇 印
買主(乙) 住所〇〇〇〇 氏名〇〇〇〇 印

本件自動車の表示 自動車登録番号〇〇/車名〇〇/型式〇〇/車台番号〇〇/原動機の型式〇〇/初度登録年月〇〇/走行距離〇〇km(契約日時点)/車検満了日〇〇/自賠責満了日〇〇/リサイクル券番号〇〇

印刷前に埋める空欄の一覧:第2条=売買代金の金額とリサイクル預託金相当額、「含む/含まない」の一方を抹消。第3条=支払期日と振込先の金融機関・口座番号・口座名義。第4条=引渡しの日・場所・鍵の本数。第8条=年度、自動車税(種別割)の年額、精算する月数と金額(精算しないならその旨を記載)、自賠責保険料・自動車重量税の「精算する/しない」の一方を抹消。第11条第2項=通知期間の月数(民法第566条の法定の期間制限は「不適合を知った時から1年」です。これと異なる期間を書くときは、甲乙双方が内容を理解したうえで記載してください)。第14条=合意管轄の裁判所名。末尾=契約の年月日と甲乙の住所・氏名(印鑑登録証明書の記載どおり)。本件自動車の表示=自動車検査証からの転記。埋まらない項目は空欄のままにせず「なし」と書きます。

各条が効いてくる場面と根拠
入れる理由 根拠
第5条 代金未払いのまま車だけ渡すと所有権が移ってしまう事態を防ぐ。逆に引渡し後の傷・盗難は買主負担と明確化 当事者間の取決め
第6条 15日の起算日を「引渡しの日」と定義しておく。法律上の起算日は「その事由があつた日」なので、契約書で日を確定させる意味がある 道路運送車両法第13条第1項/第67条第1項
第8条 自動車税は月割還付も新所有者への月割課税もない。精算したいなら契約で決めるしかない 東京都主税局・大阪府・福岡県の各案内
第9条 リサイクル預託金は車とともに承継される。資金管理料金は移転しないことまで書いて争いを断つ 自動車リサイクル促進センター(JARC)
第11条4項 「現状有姿・ノークレーム」と書いても、知りながら告げなかった事実は免責されない。この限界を最初から明記する 民法第572条
第12条 ローン残債・所有権留保を隠して売られた場合、買主は民法565条により追完・減額・解除・損害賠償を主張できる 民法第565条・第572条後段

譲渡証明書は法律上の義務(第21号様式)

売買契約書と対で必ず必要になるのが譲渡証明書です。道路運送車両法第33条第1項は、自動車を譲渡する者に対し、譲渡の年月日・車名及び型式・車台番号及び原動機の型式・譲渡人及び譲受人の氏名又は名称及び住所を記載した譲渡証明書の交付を義務づけています。様式は同法施行規則第64条の第21号様式(日本産業規格A列5番)。1台につき2通以上交付してはならず(同法第33条第2項)、書き損じは旧所有者の実印で訂正します。普通車は旧所有者の実印が必須で、譲受人の押印は不要。軽自動車には不要な書類です。

譲渡証明書・項目別の書き方と注意
記載事項(法定) 何を書くか 間違えやすい点
譲渡の年月日 売買等で譲り受けた日付 作成日ではなく譲渡日。契約書の引渡日と食い違わせない
車名及び型式 自動車検査証のとおり 車名はメーカー名。車種名を書かない
車台番号及び原動機の型式 自動車検査証のとおり ハイフンの位置まで一致させる
譲渡人の氏名又は名称及び住所 印鑑登録証明書のとおり 検査証上の住所氏名が変わっている場合は印鑑証明書どおりに書く。法人は代表者の役職・氏名まで
譲受人の氏名又は名称及び住所 買主の住所・氏名
押印 普通車は旧所有者(譲渡人)の実印 新所有者(譲受人)の実印は不要

訂正のしかた:近畿運輸局の記入例は「譲渡証明書を書き損じた場合、旧所有者の実印で訂正が必要です」「新所有者(譲受人)の実印は不要です」と明記しています。訂正印も旧所有者の実印です。2通以上交付してはならないため、書き損じたからといって予備をもう1通渡すことはできません。また、旧所有者が前の持ち主から譲渡証明書の交付を受けている場合は、それも譲受人に交付します(同法第33条第3項)。軽自動車の名義変更には譲渡証明書も実印も印鑑証明書も不要です。様式は国土交通省サイトからダウンロードできます(譲渡証明書・第21号様式委任状)。

車両状態告知書と引渡証

契約書第11条を機能させる要が、別紙「車両状態告知書」です。ここに書いた事実は告知済みとして免責の対象になり、隠した事実は民法第572条により免責されません。修復歴は国民生活センターの整理では骨格部位(クロスメンバー、サイドメンバー、ピラー、ルーフ、フロアパネル等)に損傷があれば修理・交換の有無を問わずすべて修復歴。冠水歴・事故歴・修復歴・メーター交換歴を申告しないと減額や解除、損害賠償を求められる可能性があります。

車両状態告知書チェックリスト(各項目を「あり/なし/不明」で記録し、「あり」は具体的に書く)
区分 確認項目 書き方の例
履歴 修復歴(骨格部位の損傷)/事故歴/冠水歴・水没歴/メーター交換歴・走行距離不明の期間 「あり:右フロントピラーに修正歴、令和〇年〇月修理」
機関 警告灯の点灯(エンジン・ABS・エアバッグ・SRS・充電・油圧)/エンジン・ミッションの異音/オイル漏れ・にじみ 「あり:エンジン警告灯が冷間時のみ点灯」
装備 エアコンの冷暖房/パワーウインドウ/ナビ・バックカメラ/キーレス 「あり:助手席パワーウインドウが動作しない」
外装・内装 キズ・凹み・サビ・塗装の劣化(位置と程度、写真添付)/内装の汚れ・破れ/喫煙歴・ペット同乗歴 「あり:左リアドアに10cm程度の凹み(写真1)」
消耗・整備 タイヤ残溝(4輪それぞれ)・製造年/バッテリー交換時期/直近の点検整備の時期と内容/整備記録簿の有無 「タイヤ前4mm・後3mm、2023年製」
法定・権利 車検満了日/自賠責満了日/リコール未実施の有無/改造・社外品の装着(車検適合の可否)/所有権留保・ローン残債の有無 「所有権留保:なし(完済済み・検査証所有者欄は本人)」
付属品 スペアキーの本数/取扱説明書/整備記録簿/純正部品の有無 「鍵2本(うちスペア1本)」

もう1枚、引渡証を作る:国民生活センターは、引渡し後の責任の所在が明確に分かる「車両受領(引渡)証」などを交付してもらうよう勧めています。日付・場所・引き渡した書類と鍵の本数・走行距離・双方の署名を書いた1枚で足ります。いつ引き渡したかが確定すると、契約書第6条の「引渡しの日から15日以内」の起算日も、第5条の危険負担の移転時期も動かせなくなります。

正しい順番と名義変更の期限

トラブルは支払いと引渡しの順番が崩れたときに起きます。契約書2部への記名押印 → 買主が振込で支払い → 入金確認後に売主が車と書類を引渡し → 買主が15日以内に名義変更 → 自賠責の名義変更、の順です。期限の根拠は普通車が道路運送車両法第13条第1項(新所有者が、その事由があつた日から15日以内に移転登録を申請)、軽自動車は同法第67条第1項(使用者が15日以内に自動車検査証の変更記録を受ける)で、条文も義務者も異なります。起算日は条文上「その事由があつた日」なので、契約書で引渡日を確定させておきます。

取引の正しい順番
手順 やること つまずきポイント
1 車両とメーターを実見し、車両状態告知書を作成。契約書2部に記名押印 走行距離は「契約日時点」と明記。告知書は必ず添付して割印か双方署名
2 買主が代金を振込で支払う 記録が残る方法で。手渡しなら領収書を必ず作る
3 売主が入金確認後、車・書類・鍵を引き渡し、引渡証を作成 譲渡証明書(実印)・印鑑証明書(3か月以内)・委任状(実印)・リサイクル券・自賠責証明書・納税証明書の渡し漏れ
4 買主が引渡しから15日以内に名義変更 普通車=運輸支局で移転登録/軽=軽自動車検査協会で変更記録。窓口も書類も別
5 自賠責保険の契約者名義を買主へ変更 自動車損害賠償保障法第7条第2項の法定手続。保険会社・共済組合の窓口で行う
6 買主が新しい検査証の写しを売主へ送る 契約書第6条に書いておくと、名義変更が完了したことを売主が確認できる

起算日は「事由があつた日」:第13条第1項の文言は「その事由があつた日から十五日以内」であり、条文上「引渡し日」とは書かれていません。だからこそ契約書第5条・第6条で所有権移転時期と引渡日を明示し、起算日を確定させておく実益があります。なお、売買がまとまらず廃車に切り替える場合の永久抹消登録・一時抹消登録の申請期限も15日以内です(同法第15条第1項)。

名義変更を怠るとどうなるか

名義変更の放置で困るのは多くの場合売主です。自動車税(種別割)は毎年4月1日時点の検査証上の所有者に1年分課されるため、売ったのに名義がそのままだと翌年度の税が売主に届きます。罰則もあり、移転登録の申請を怠った場合は50万円以下の罰金(道路運送車両法第109条第2号)、軽自動車の変更記録を受けなかった場合は30万円以下の罰金(同法第110条第1号)と、額が異なります。しかも売主は名義が変わっていないことに自力では気づけず、翌年度の納税通知書で初めて判明します。だから契約書で期限と責任者を固定します。

名義変更を放置したときに起きること
項目 普通車(登録自動車) 軽自動車
手続の名称 移転登録 自動車検査証の変更記録
根拠条文 道路運送車両法第13条第1項 道路運送車両法第67条第1項
義務者 新所有者(買主) 使用者
期限 その事由があつた日から15日以内 その事由があつた日から15日以内
罰則 50万円以下の罰金(第109条第2号) 30万円以下の罰金(第110条第1号)
税の負担 4月1日時点の登録名義人に自動車税(種別割)年額。年度途中の名義変更で還付なし 4月1日時点の所有者に軽自動車税(種別割)年額。月割課税・月割還付の制度そのものが無い
気づきにくさ 売主は名義が変わっていないことに自力では気づけない。翌年度の納税通知書で初めて判明することが多い

4月1日をまたぐ売買は最優先で処理する:3月に売買して名義変更が4月に食い込むと、その年度の自動車税は売主に請求されます。年度末の取引では、契約書第6条の期限を「15日以内」ではなく「〇年3月〇日まで」と日付で切ってしまうのが確実です。国民生活センターも、自動車税を完納しなければ車は売却できないこと、未納のまま売却する場合は誰が未納分を支払うのかを明確にすることが大切だと指摘しています。

自動車税・リサイクル預託金・自賠責の精算

個人売買で最ももめるのがお金の端数です。自動車税は名義変更では月割精算されません。年度途中に移転登録しても旧所有者に還付はなく、新所有者に月割課税もされない(翌年度分から課税)。つまり精算したいなら契約書で決めるしかありません。リサイクル預託金は車とともに承継され、買主が相当額を売主に支払うのが原則ですが、資金管理料金は移転せず最初に支払った人の負担のままです(JARC)。軽自動車税には月割課税・月割還付の制度そのものがなく、4月1日時点の所有者が年額を全額負担します。

3つのお金・誰が負担し、どう決めるか
項目 制度上の扱い 契約書での決め方
自動車税(種別割)/普通車 4月1日時点の登録名義人に年額課税。年度途中の移転登録では月割還付も新所有者への月割課税も行われない 第8条で「年額のうち〇か月分を乙が甲に支払う」または「精算しない」と明記。金額を空欄のままにしない
軽自動車税(種別割) 市町村税。月割課税・月割還付の制度が無いため、年度途中の譲渡でも通知書記載額を全額納付し、還付もない 同上。ただし取扱いは市町村ごとに確認する
リサイクル料金(預託金) 中古車として譲渡するとき、預託金相当額は新所有者から旧所有者へ支払う。ただし資金管理料金は除く(最初に支払った人の負担) 第2条で「代金に含む/含まない」を選択し、第9条で承継と資金管理料金の扱いを明記。預託証明書は引渡書類に入れる
自賠責保険料・自動車重量税 未経過分の扱いは保険会社・制度により異なる 第8条後段で「精算する/しない」を選択。争いを避けるなら「精算しない」と書き切る

精算額の決め方の一例:自動車税を月割で減額する制度が働くのは抹消登録(廃車)をした場合だけで、福岡県は「月割税額(100円未満の端数を切り捨て)=年税額×登録月の翌月から3月までの月数÷12」という式を示しています。名義変更ではこの制度は使えませんが、当事者間の精算額を決める計算方法としてこの式を借りるのが分かりやすい方法です。10月に引き渡すなら11月〜3月の5か月分、という形で第8条に数字を入れます。

自賠責は法定の名義変更手続:自賠責保険は全ての自動車・バイク(電動キックボードやモペットを含む)に加入が義務づけられた強制保険で(自動車損害賠償保障法第5条)、証明書の記載事項に変更があったときは保険契約者が変更の記入を受けなければなりません(同法第7条第2項)。手続きは保険会社の営業所窓口等で行います。名義が異なると保険金請求時に手続きが煩雑化し、被害者への支払いが遅延する恐れがあります。また未加入での運行は1年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金、違反点数6点引渡し時に自賠責の満了日を必ず確認してください。買った直後に切れて無保険運行になる事故が起こり得ます。

収入印紙の要否と例外

一般の個人が自家用車を売る場合、自動車売買契約書にも領収書にも収入印紙は不要です。印紙税法別表第一の第1号の1文書は「不動産、鉱業権、無体財産権、船舶若しくは航空機又は営業の譲渡に関する契約書」で、自動車を含む一般の動産は含まれないため課税文書に当たりません。領収書も、商人以外の個人が作るものは「営業に関しない受取書」として非課税です(国税庁No.7105)。売上代金に係る受取書は記載金額5万円未満も非課税です。ただし反復継続して売買している場合や、請負を含む内容・リサイクル預託金額を書き込む場合は判断が変わり得ます。

収入印紙が必要/不要のケース
ケース 収入印紙 根拠
一般個人による純粋な自動車売買契約書 不要 自動車は印紙税法別表第一の課税物件表に掲げられていない(第1号の1文書の対象外)
一般個人が自家用車を売った代金の領収書 不要 「営業に関しない受取書」として非課税(国税庁No.7105)。売上代金に係る受取書は記載金額5万円未満も非課税
反復継続して車を売買している個人が作る領収書 要確認 「営業」とは営利を目的として同種の行為を反復継続して行うことをいうため、非課税の対象外となり得る
塗装・部品取付など請負を含む内容を書き込む場合 要確認 請負に関する契約書に当たり得る。所轄の税務署で確認
契約書にリサイクル預託金の金額を書いた場合 要確認 第15号文書(債権譲渡等)に当たるかどうかは国税庁の明示的な記述が確認できない。所轄の税務署で確認

「1万円以上なら200円」の正体:第15号文書(債権譲渡または債務引受けに関する契約書)の印紙税額は、記載された契約金額1万円未満が非課税、1万円以上が200円、契約金額の記載のないものが200円です。ただし、自動車売買契約書にリサイクル預託金額を書いた場合がこれに当たるかは国税庁が明示していません。不安なら第2条の預託金額欄を空欄にせず「代金に含む」とだけ書いて金額を分けない、あるいは所轄の税務署に確認するのが確実です。課税文書かどうかは①別表第1の20種類の文書により証されるべき課税事項が記載されているか②当事者間で課税事項を証明する目的で作成された文書か③非課税文書でないか、の3要件で判断されます。

名義変更に必要な書類(普通車・軽)

普通車と軽自動車で書類がまったく違います。普通車は新旧所有者双方の印鑑登録証明書(原本・発行から3か月以内)・実印・譲渡証明書が必須ですが、軽自動車はいずれも不要。もう一つの分岐が車庫証明で、必要なのは「使用の本拠の位置が変わり、かつ証明が必要な地域」の場合だけ。有効期間も証明の日からおおむね1か月以内で、印鑑証明書の3か月と混同しやすい部分です。車検証は原本かつ有効期間内であること、軽の車検証はコピー不可であることも見落とされがちです。

普通車(移転登録)の必要書類・原本/写しと期限
書類 誰が用意 原本/写し 期限・注意
移転登録申請書(OCR申請書第1号様式) 申請者 原本 OCR部分は鉛筆で枠内に記入。住所は住所コードで記入。本人が申請する場合は新旧所有者の実印を押印、代理人申請なら実印を押した委任状があれば申請書への押印は不要
手数料納付書 申請者 原本 自動車検査登録印紙を貼付(またはキャッシュレス記載)。窓口700円・OSS600円
譲渡証明書(第21号様式) 旧所有者 原本 旧所有者の実印必須。1台につき2通以上交付不可。譲受人の押印は不要
印鑑(登録)証明書 新所有者・旧所有者それぞれ 原本 発行から3か月以内。海外転出者・外国人・未成年は代替書類あり
自動車検査証 旧所有者 原本 有効期間内であること。車検切れの車はそのままでは移転登録できない
委任状(新旧所有者) 新所有者・旧所有者 原本 代理人が申請する場合のみ。実印を押印
自動車保管場所証明書(車庫証明) 新使用者 原本 証明の日からおおむね1か月以内。使用の本拠の位置が変わり、かつ証明が必要な地域の場合のみ。抹消登録の同時申請なら不要
使用の本拠の位置を証するに足りる書面 新使用者 写し可 発行から3か月以内。使用の本拠に変更があり、かつ車庫証明が不要な地域の場合のみ(例:事業証明書、課税証明書、公共料金領収書)
使用者の住所を証するに足りる書面 新使用者 写し可 発行から3か月以内(例:住民票、印鑑証明書)。新旧所有者が同一の場合等は不要
旧所有者の氏名・名称・住所の変更を証する書面 旧所有者 原本(住居表示変更証明は写し可) 検査証の記載と印鑑証明書が一致しない場合のみ。引越しを複数回している場合は連続してつながる書面(戸籍の附票等)が必要
ナンバープレート 旧所有者→運輸支局へ返納 現物 管轄が変わる場合のみ返納・再交付。盗難・遺失の場合は返納不可理由書
軽自動車(自動車検査証の変更記録)の必要書類
書類 誰が用意 原本/写し 期限・注意
自動車検査証 現所有者 原本のみ(コピー不可)
新使用者の住所を証する書面 新使用者 原本またはコピー可 発行後3か月以内。個人は住民票の写し(マイナンバーの記載がないもの)または印鑑登録証明書のいずれか1点。法人は商業登記簿謄(抄)本・登記事項証明書・印鑑(登録)証明書のいずれか1点
自動車検査証変更記録申請書(軽第1号様式) 申請者 原本 軽自動車検査協会のサイトからダウンロードまたは窓口で入手
申請依頼書 使用者 原本 使用者以外が手続きする場合のみ。実印・印鑑証明書は不要(普通車の委任状との最大の違い)
ナンバープレート 現所有者 現物 管轄変更を伴う場合のみ。紛失時は「車両番号標未処分理由書」
条件付きで必要なもの 希望番号予約済証(希望ナンバー時)/字光式車両番号指示願/戸籍謄(抄)本(改姓時)/戸籍謄本または法定相続情報一覧図(相続時)/事業用自動車等連絡書

登録手続には使わないが、車と一緒に必ず渡すもの:預託証明書(リサイクル券A券)、自賠責保険証明書(原本)、自動車税(種別割)納税証明書の3点です。国民生活センターも売却時にそろえる書類として挙げています。契約書第4条の引渡書類リストに入れておけば渡し漏れが防げます。

車庫証明の実務:申請先は保管場所の位置を管轄する警察署の交通課です。標準的な書類は①自動車保管場所証明申請書②保管場所の所在図・配置図③保管場所使用権原疎明書面(自己所有の土地なら自認書、他人所有なら保管場所使用承諾証明書または賃貸借契約書の写し等)。手数料は各都道府県の手数料条例により異なり、統一値はありません。福岡県の場合は自動車保管場所証明手数料2,200円を福岡県領収証紙で納付します。福岡県内でも証明が不要な地域(宗像市のうち旧大島村、朝倉郡東峰村、築上郡上毛町、田川郡赤村、八女市のうち旧星野村および旧矢部村)があります。申請から交付までの日数は警察署により異なるため、管轄の警察署で確認してください。

窓口での順路と手数料・OSS

普通車は使用の本拠の位置を管轄する運輸支局、軽自動車は軽自動車検査協会の事務所・支所・分室が窓口です。移転登録の手数料は2026年4月1日改定で窓口申請700円・OSS申請600円、軽自動車の変更記録は無料(管轄変更に伴うナンバープレート代は別途)。移転登録はOSSでオンライン申請できますが、相続・贈与・合併・分割・判決による譲渡は対象外、軽四輪も対象外です。手数料は自動車検査登録印紙を手数料納付書に貼って納めます。受付時間は支局ごとに異なるので事前確認が必須です。

登録手数料(2026年4月1日改定後)
手続 窓口申請 OSS申請
移転登録(名義変更) 700円 600円
変更登録(住所・氏名変更) 500円 450円
一時抹消登録 500円 450円
永久抹消登録 無料 無料
一時抹消後の所有者変更 無料 無料
登録事項等証明書(現在証明) 400円(詳細証明は1枚目1,200円・2枚目以降1枚400円)
軽自動車 自動車検査証記録事項の変更 無料(ナンバープレート代は管轄変更時に別途)

窓口での回り方(長野運輸支局の案内による一例):①申請書棚でOCR申請書第1号様式と手数料納付書を入手して記入 →②手数料印紙を購入して納付書に貼付 →③登録部門の窓口へ提出 →④(ナンバー変更を伴う場合)旧ナンバーを返納し新ナンバーの交付を受ける →⑤構内の県税事務所で自動車税の申告、という順路です。同支局の登録業務受付時間は午前8時45分〜11時45分/午後1時〜4時で、土曜・日曜・祝日・年末年始は取り扱っていません。受付時間も窓口の配置も運輸支局ごとに異なるため、行く前に管轄支局の案内で必ず確認してください。所要時間の目安は公表資料で確認できなかったため、午前の早い時間に行くのが安全です。

ナンバープレート代は書けない金額:交付手数料は地域・ペイント式/字光式・大きさで異なり、全国統一の金額はありません。運輸支局構内の自動車標板協会が交付主体なので、金額はそこで確認してください。軽自動車検査協会も「別途必要」とするのみで金額を掲げていません。軽自動車の名義変更に伴う軽自動車税(種別割)の申告の要否・期限は市区町村の条例により異なるため、主たる定置場のある市区町村に確認してください。

福岡の軽自動車の窓口:軽自動車検査協会 福岡主管事務所は福岡市東区みなと香椎四丁目3-37(令和6年2月13日に福岡市東区箱崎ふ頭から移転)、電話050-3816-1750(検査予約050-3146-2586)。移転前の住所を載せている情報がまだ多く出回っているので注意してください。休業日は土・日・祝日および12月29日〜1月3日です。県内には北九州支所・久留米支所・筑豊支所があります。普通車の窓口は福岡の陸運局・窓口まとめ、軽の手続きは軽自動車の名義変更もあわせてどうぞ。

相手が名義変更しないときの打ち手

買主が名義変更をしないと、翌年度の自動車税の納税通知書が売主に届きます。まずは契約書第6条を根拠に催告し、応じなければ内容証明郵便で期限を切って督促します。それでも動かない場合、請求額が60万円以下の金銭の支払であれば簡易裁判所の少額訴訟という手段があります(民事訴訟法第368条第1項)。同一の簡易裁判所で同一年に利用できる回数には最高裁判所規則による制限があります。立て替えた税金の請求根拠になるのも、契約書第8条・第10条です。

段階別の対応
段階 やること ポイント
1 契約書第6条を示して連絡し、期限を定めて催告する メール・SMSなど記録の残る方法で。第13条の解除の前提にもなる
2 内容証明郵便で督促する いつ・どんな内容を通知したかが公的に残る
3 立て替えた自動車税等を請求する 第8条・第10条の精算・責任分界条項が請求の根拠になる
4 60万円以下の金銭請求なら少額訴訟を検討 民事訴訟法第368条第1項。簡易裁判所に申し立てる
5 消費生活センター(消費者ホットライン188)や弁護士に相談 事件性がある場合は警察へ

予防が最も効きます。国民生活センターは、個人間売買では契約書や細かい契約条件を取り交わしていないことで「車の不具合が生じた際の責任の所在が分からない」「名義変更をしてくれない」「代金や税金の未払い」といったトラブルが生じるリスクがあるとしています。第6条で「完了後ただちに新しい自動車検査証の写しを甲に交付する」と書いておけば、名義変更が済んだかどうかを売主が自分で確認できます。詳しくは車の個人売買トラブルの対処法にまとめています。

自分でやる? 買取に切り替える?

個人売買は手間とリスクのバランスで決めます。相手と連絡が取れて信頼でき、ローンが完済済みで、平日の午前中に窓口へ行く時間があるなら自力で問題ありません。逆に、車検証の所有者欄が信販会社・ディーラーのままだと所有権解除をしないと移転登録できず、車検が切れている車もそのままでは移転登録できません。動かない車・事故車は、そもそも売買の相手を見つけること自体が難しくなります。この場合は買取や廃車登録に切り替えたほうが早く確実なことがあります。廃車(永久抹消登録・一時抹消登録)の申請期限も15日以内です。

自分でやる/プロに任せるの判断
自分でやれる場合 買取・廃車登録を検討すべき場合
相手と信頼関係があり連絡が取れる 相手が遠方・連絡が不安定で名義変更が滞りそう
車検証の所有者欄が本人で、担保権が付いていない 所有権留保・ローン残債があり所有権解除が必要
平日の受付時間内に窓口へ行ける(例:午前8時45分〜11時45分/午後1時〜4時) 平日に窓口へ行く時間が取れない
車の状態を正直に告知でき、告知書を作れる 動かない・車検切れ・事故車で売買自体が難しい
車検が有効期間内である 車検が切れており、そのままでは移転登録できない

判断に迷いやすい4つの論点と、その確認先:ローン残債が残る車を売れるか— 所有権解除の可否と手順は、自動車検査証の所有者欄に記載された信販会社・ディーラーが確認先です。残債を隠して売ると、民法第565条・第572条後段により免責されません。②必要書類と費用の総額— 普通車は使用の本拠の位置を管轄する運輸支局、軽自動車は軽自動車検査協会が窓口で、ナンバープレート代など地域差のある部分はここで最終確認します。③自動車税をどちらが負担するか— 月割還付の制度が無いことは全国共通ですが、納税証明や軽自動車税の取扱いは都道府県の自動車税担当窓口・市区町村の課税課で確認し、精算方法は契約書第8条に書き込みます。④引渡し後に不具合が判明したときの扱い— 民法第562条〜第566条・第572条の解釈が絡むため、消費生活センター(消費者ホットライン188)や弁護士が確認先です。なお、個人売買がまとまらず買取や廃車登録に切り替える場合、価格は業者ごとに幅が出やすいため、同じ条件で複数社の見積もりを比べてから決めると相場の幅が把握できます。当サイトの運営方針は運営者情報に記載しています。

よくある質問

実際に窓口や取引の場で迷いやすい12問に、根拠つきで答えます。特に問い合わせが多いのは「手数料はいくらか」(普通車の移転登録は窓口700円・OSS600円、軽の変更記録は無料)、「軽も13条か」(軽は第67条第1項で罰則も30万円以下と別)、「譲渡証明書は省略できるか」(第33条第1項の法定義務なので不可)、「車庫証明は必ず要るか」(使用の本拠が変わり、かつ証明が必要な地域のみ)の4点です。

Q. 契約書はパソコンで作っても有効ですか?
有効です。同じものを2部作り、記名押印のうえ双方が1通ずつ保管します。空欄は残さず、埋まらない項目は「なし」と書きます。ひな形の第2条・第8条・第11条第2項のように「〇か月」「含む/含まない」を選ぶ欄は、必ず埋めるか一方を抹消してください。
Q. 名義変更の手数料はいくらですか?
普通車の移転登録は窓口申請700円・OSS申請600円です(2026年4月1日改定。改定前は一律500円だったため、古い情報にご注意ください)。自動車検査登録印紙を手数料納付書に貼付して納付します。軽自動車の自動車検査証記録事項の変更は無料です。ナンバープレート代は管轄変更を伴う場合に別途かかり、金額は地域・様式で異なるため窓口で確認してください。
Q. 軽自動車も「道路運送車両法13条・15日以内」ですか?
期限は同じ15日以内ですが、根拠条文が違います。第13条第1項は「新規登録を受けた自動車」が対象なので軽自動車には適用されません。軽自動車は同法第67条第1項の「自動車検査証の変更記録」を、その事由があつた日から15日以内に受けます。罰則も、普通車が50万円以下の罰金(第109条第2号)、軽自動車が30万円以下の罰金(第110条第1号)と異なります。
Q. 譲渡証明書は契約書があれば省略できますか?
できません。道路運送車両法第33条第1項は、自動車を譲渡する者に譲渡証明書の交付を義務づけています。様式は施行規則第64条の第21号様式で、譲渡の年月日・車名及び型式・車台番号及び原動機の型式・譲渡人及び譲受人の氏名又は名称及び住所が法定の記載事項です。1台につき2通以上交付してはならず、普通車は旧所有者の実印を押印します(譲受人の押印は不要)。ただし軽自動車の名義変更には譲渡証明書は不要です。
Q. 車庫証明は必ず要りますか?
いいえ。必要なのは使用の本拠の位置が変わり、かつ証明が必要な地域の場合だけです。買主の使用の本拠が旧所有者と同じなら不要で、証明が不要な地域もあります。有効期間は証明の日からおおむね1か月以内と短いので、取得のタイミングに注意してください(印鑑証明書の3か月と混同しやすい点です)。手数料は都道府県の手数料条例により異なります。
Q. 収入印紙は貼る必要がありますか?
一般個人の純粋な自動車売買契約書は不課税で不要です。自動車は印紙税法別表第一の課税物件表に掲げられていないためです。領収書も「営業に関しない受取書」として非課税です。ただし、反復継続して売買している場合、塗装・部品取付など請負を含む内容を書き込む場合、契約書にリサイクル預託金額を記載する場合は判断が変わり得るため、所轄の税務署で確認してください。
Q. 現状渡し・ノークレームと書けば一切責任を負いませんか?
いいえ。免責の特約をしていても、売主が知りながら告げなかった事実および自ら第三者のために設定し、または第三者に譲り渡した権利については責任を免れられません(民法第572条)。後段は、ローン残債や所有権留保を隠して売った場合に効きます。なお買主は、不適合を知った時から1年以内に売主へ通知しないと、追完請求・代金減額請求・損害賠償請求・解除ができなくなります(民法第566条。売主が引渡し時に不適合を知り、または重大な過失で知らなかったときを除く)。
Q. 引渡し後に不具合が見つかったら、買主は何を請求できますか?
民法上、①修補・代替物の引渡し等の追完請求(第562条)②相当の期間を定めて催告してもなお追完がないときの代金減額請求(第563条。追完不能や売主が追完を拒絶する意思を明確に表示したときは催告なく直ちに請求可)③損害賠償請求および契約の解除(第564条)の3系統です。ローン残債・所有権留保など移転した権利が契約内容に適合しない場合にもこれらが準用されます(第565条)。不適合が買主の責めに帰すべき事由による場合は請求できません。
Q. ローンが残っている車は売れますか?
自動車検査証の所有者欄が信販会社・ディーラーのままだと、原則として残債を完済し所有権解除をしてからでないと移転登録できません。契約書第12条で「所有権留保・譲渡担保・質権その他の担保権が付着していない」ことを売主に表明・保証させておくと、隠して売られた場合の請求根拠が明確になります。
Q. オンライン(OSS)で名義変更できますか?
移転登録はOSS(自動車保有関係手続のワンストップサービス)で申請でき、手数料も窓口700円に対し600円と安くなります。ただし相続・贈与・合併・分割・判決による譲渡は対象外で、軽四輪も対象外です(軽二輪のみ限定対応)。個人でも利用できますが電子証明書が必要です。
Q. 自賠責保険はどうなりますか?
自賠責は車に付いてくるため取引で引き継がれますが、契約者名義の変更は法定の手続です(自動車損害賠償保障法第7条第2項)。保険会社・共済組合の窓口で行います(インターネットで手続可能な場合があります)。名義が異なると保険金請求時に手続きが煩雑化し、被害者への支払いが遅延する恐れがあります。引渡し時に満了日を必ず確認してください。未加入での運行は1年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金、違反点数6点です。
Q. リサイクル料金はどう扱いますか?
中古車として譲渡するとき、預託金相当額は車両価値とは別に新所有者から旧所有者へ支払うのが原則です。ただし資金管理料金は除き、最初にリサイクル料金を支払った人の負担のままです。預託証明書(リサイクル券A券)は車と一緒に買主へ渡します。なお国内で売買しただけでは返還されず次の所有者に承継されますが、中古車として輸出した場合は所定の手続きで返還を受けられます(取戻しの申請期間は輸出した日から2年間)。

参考(公的・信頼できる外部情報):国土交通省 自動車検査登録総合ポータルサイト(名義変更に必要な書類)国土交通省「自動車の登録・検査の法定手数料変更について(令和8年4月1日)」関東運輸局「登録・検査手数料一覧表(令和8年4月1日現在)」近畿運輸局「譲渡証明書 記入例」長野運輸支局「移転登録(名義変更)のご案内」国土交通省 自動車保有関係手続のワンストップサービス(OSS)国土交通省「売買等によりクルマを譲り受けた皆様へ(自賠責保険の名義変更)」軽自動車検査協会「名義変更(売買・譲渡・その他)」警察庁「自動車の保管場所証明申請」福岡県警察「自動車保管場所(車庫)証明の申請手続」国税庁 印紙税法基本通達 別表第一国税庁 No.7105「金銭又は有価証券の受取書、領収書」自動車リサイクル促進センター「リサイクル料金の支払い・受け取りの流れ」国民生活センター「国民生活」2023年4月号(契約の基礎知識─自動車編─)福岡県「自動車税(種別割)の概要」東京都主税局「自動車税|自動車と税金」

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