産業廃棄物マニフェストの書き方|A票の記入と保存・要否判定

産業廃棄物マニフェスト(管理票)で排出事業者がペンを入れるのは、原則A票だけです。仕事の順序は①書面の委託契約 → ②引渡しと同時にA票を記入して交付 → ③控えを保存 → ④返ってきたB2・D・E票を照合して保存。ここで多くの記事が取り違えているのが期限で、業者の返送期限は運搬・処分の終了日から10日以内(施行規則第8条の23・第8条の25)、よく見る90日・60日・180日は「交付の日から数えて写しが届かないときに排出事業者の措置義務が発動する期間」(同第8条の28)です。まったく別物なので、この記事では分けて説明します。金属くずのように「専ら再生利用の目的となる産業廃棄物」を、それのみを扱う業者へ委託する場合は交付そのものが不要です。

※このページは記入の考え方と欄ごとの書き方を解説するものです。マニフェストの交付は、環境省令の様式(施行規則 様式第二号の十五)に沿った複写式の伝票か、電子マニフェスト(JWNET)でしか行えません。Web上で作った書面を印刷して交付することはできません。数値・条番号は2026年8月時点の法令原文で確認しています。

そもそも交付が要るのか|廃棄物か有価物かの判断5要素

マニフェストの交付義務は、事業活動に伴い産業廃棄物を生ずる事業者(中間処理業者を含む)が、その運搬又は処分を他人に委託する場合に生じます(廃棄物処理法第12条の3第1項)。つまり出発点は「その金属くずが廃棄物か有価物か」。ここを「お金の向き」だけで決めるのは危険です。環境省の行政処分の指針は、物の性状/排出の状況/通常の取扱い形態/取引価値の有無/占有者の意思の5要素を総合的に勘案して判断するとし、有償譲渡契約があるだけで直ちに有価物と判断してはならないと明記しています。判断は行為ごとに、その着手時点の客観的状況で行います。

環境省「行政処分の指針について(通知)」(令和3年4月14日 環循規発第2104141号)は、廃棄物を「占有者が自ら利用し、又は他人に有償で譲渡することができないために不要となったもの」と定義したうえで、該当性は上記5要素の総合判断によるとしています(環境省・行政処分の指針について(通知))。

取引価値の有無を見るときの確認事項(行政処分の指針 第1の4(2)①エ)
確認すること 意味
名目を問わず、処理料金に相当する金品の受領がないこと 「買取代金」と称していても、実質的に処理費を受け取っていないか
譲渡価格が、競合する製品や運送費等の諸経費を勘案しても双方にとって営利活動として合理的な額であること 運搬費を差し引くと実質マイナス(逆有償)になっていないか
当該相手方以外の者に対する有償譲渡の実績があること その相手だけが特別に「買っている」形になっていないか

同指針は「占有者が自ら利用し、又は他人に有償で譲渡できるものだと認識しているか否かは、決定的な要素ではない」とも述べています。売れると思っていた、という主張だけでは有価物になりません。また廃棄物該当性は収集運搬・中間処理・最終処分といった規制対象行為ごとに、その着手時点の客観的状況から判断され、都道府県間で判断が異なる場合は連絡調整・統一化を図るとされています。裏を返せば、自治体で判断が割れうることを国も前提にしているということです。

金属くず等|取扱いとマニフェストの要否
状況 扱い マニフェスト
5要素の総合判断で有価物と評価される金属くずを売却 産業廃棄物ではない 不要
処理費を払って引き取ってもらう金属くず・廃材 産業廃棄物(施行令第2条第6号「金属くず」は業種限定なし) 必要
運搬費を差し引くと実質マイナスになる(逆有償) 上表の3点を含む5要素で判断。管轄自治体の判断が分かれうる 要確認
くず鉄等を「専ら再生利用の目的となる産業廃棄物のみ」を扱う業者へ委託 廃棄物だが例外扱い 不要(下の章)
解体現場のがれき・廃プラなど売値がつかないもの 産業廃棄物 必要
家庭から出た不用品を個人が売る 事業活動に伴うものではない 産業廃棄物制度の対象外

※逆有償の考え方は有価物と産業廃棄物の違い|逆有償の落とし穴と判定フローでも整理しています。最終的な該当性判断は、事業場を管轄する都道府県・政令市・中核市の産業廃棄物担当窓口で確認してください。

くず鉄は「専ら物」|交付が不要になる場合の一覧

スクラップの現場で最も効くのがこの例外です。環境省通知(昭和46年10月16日 環整第43号)は、「専ら再生利用の目的となる産業廃棄物」=古紙/くず鉄(古銅等を含む)/あきびん類/古繊維の4品目と明示しています。そして施行規則第8条の19第3号により、これらのみの収集運搬・処分を業として行う者に、その産業廃棄物のみの運搬又は処分を委託する場合はマニフェストの交付を要しません。条件は品目ではなく委託先の業態にかかっている点が重要で、くず鉄というだけで自動的に不要になるわけではありません。

令和5年2月3日の環境省通知(環循適発第2302031号・環循規発第2302031号)は、専ら物の取扱いを次のように整理しています(環境省・専ら再生利用の目的となる廃棄物の取扱いについて(通知))。

  • 専ら再生利用の目的となる廃棄物のみの収集運搬・処分を業として行う者には、廃棄物処理業の許可を要しない(法第7条第1項・第6項ただし書、第14条第1項・第6項ただし書)。
  • 事業者はこれらの者に委託でき(法第6条の2第6項、第12条第5項)、この場合には産業廃棄物管理票の交付を要しない(法第12条の3第1項)。
  • 専ら再生利用の目的となる廃棄物以外の廃棄物の処分等を主たる業として行っている者であっても同様である。
  • ただし、専ら再生利用の目的となる廃棄物であっても、それが再生利用されないと認められる場合には許可が必要である。

誤解しやすいのは、専ら物は「有価物」ではなく、あくまで廃棄物処理法上の廃棄物だという点です。処理業の許可とマニフェスト交付が例外的に免除されているにすぎず、廃棄物としての位置づけは残ります。さらに同通知は、法の規制を越える要綱等による自治体運用について「必要な見直しを行うことにより適切に対応されたい」と述べています。逆に言えば、実務ではマニフェストの交付や書類の提出を求める上乗せ運用が残っている自治体があり得るということです。専ら物として交付を省く前に、必ず管轄窓口で運用を確認してください。

マニフェストの交付が不要な場合は、施行規則第8条の19に第1号から第13号まで列挙されています(廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行規則(e-Gov法令検索))。主なものは次のとおりです。

  • 市町村・都道府県に運搬又は処分を委託する場合
  • 港湾管理者等に廃油の処分を委託する場合
  • 専ら再生利用の目的となる産業廃棄物のみの収集若しくは運搬又は処分を業として行う者に、当該産業廃棄物のみの運搬又は処分を委託する場合(第3号)
  • 広域認定・再生利用認定を受けた者に委託する場合(金属に係る再生利用認定を除く)
  • 施行規則第9条第2号・第10条の3第2号の指定を受けた者に委託する場合
  • 国に委託する場合/運搬用パイプラインによる場合/輸出に係る運搬/外国船舶の廃油
  • 再資源化事業等高度化法第11条第1項の認定、資源有効利用促進法第54条第1項の認定に係る場合

交付の前提|書面の委託契約と許可証の確認

マニフェストは委託契約の代わりにはなりません。産業廃棄物の処理を委託するときは、施行令第6条の2第4号により書面で契約し、法定の記載事項を含め、許可証の写し等を添付する必要があります。しかも罰則はマニフェストより重く、委託基準違反は3年以下の拘禁刑若しくは300万円以下の罰金(併科あり/法第26条第1号)、無許可業者への委託は5年以下の拘禁刑若しくは1000万円以下の罰金(併科あり/法第25条第1項第6号)です。契約書と添付書面は契約の終了の日から5年保存します(施行規則第8条の4の3)。

委託契約書の必須記載事項
根拠 記載すべき事項
施行令第6条の2第4号 委託する産業廃棄物の種類及び数量/運搬の最終目的地の所在地/処分・再生の場所の所在地、方法、施設の処理能力/中間処理を委託する場合は最終処分の場所の所在地・方法・施設の処理能力 ほか
施行規則第8条の4の2 契約の有効期間/支払う料金/受託者の許可の事業の範囲/積替保管を行う場合はその場所・保管できる種類・積替保管の上限/廃棄物の性状・荷姿・変化・混合の支障・石綿含有等の情報/情報に変更があった場合の伝達方法/受託業務終了時の報告/契約解除時の未処理廃棄物の取扱い
施行規則第8条の4 添付書面=産業廃棄物収集運搬業許可証の写し、産業廃棄物処分業許可証の写し 等

運搬と処分を別の業者に委託するなら、それぞれと二者間で契約します。許可証の写しを受け取ったら、委託する産業廃棄物の種類が「事業の範囲」に含まれているかを必ず確認してください。ここを飛ばすと、マニフェストを正しく書いていても無許可委託になり得ます。

加えて、法第12条第7項は排出事業者に「委託後も処理状況の確認を行い、最終処分終了までの一連の処理が適正に行われるために必要な措置を講ずる」努力義務を課しています。行政処分の指針は、この注意義務を果たしていない場合、委託基準やマニフェストの義務に形式上は違反していなくても、排出事業者が措置命令(法第19条の6)の対象になり得るとしています。

排出事業者がやることは4ステップ

契約が整ったら、日々の運用は「交付 → 控えの保存 → 照合 → 保存・報告」の4ステップです。交付は産業廃棄物の引渡しと同時(法第12条の3第1項)で、交付年月日は必ず引き渡した当日になります。交付先は運搬受託者、ただし自社運搬で処分だけを委託する場合は処分受託者に交付します。返ってきたB2・D・E票は綴じるだけでは足りず、法第12条の3第6項が「写しにより運搬又は処分が終了したことを確認すること」まで義務づけています。照合は法律上の義務です。

紙マニフェスト|排出事業者の4ステップ
ステップ やること タイミング・根拠
1. 交付 A票に記入し、種類・数量・受託者名が記載と相違ないことを確認したうえで運搬受託者へ渡す 引渡しと同時(法第12条の3第1項、施行規則第8条の20第3号)
2. 控えの保存 複写されたA票を抜き取り保存 交付した日から5年(施行規則第8条の21の2)
3. 照合 返送されたB2・D・E票の記載を控えのA票と照合し、終了を確認する 送付を受けたとき(法第12条の3第6項)
4. 保存・報告 返送された写しを保存し、紙で交付した分を年1回報告する 送付を受けた日から5年(第8条の26)/毎年6月30日まで(第8条の27)

A・B1・B2・C1・C2・D・E票は誰が持つのか

紙マニフェストの各票はA・B1・B2・C1・C2・D・Eで、それぞれ役割が決まっており、排出事業者の手元に最終的に残るのはA・B2・D・Eの4枚です。時系列では「A票(交付時)→ B2票(運搬終了)→ D票(処分終了)→ E票(最終処分終了)」の順に集まり、この4枚がそろって初めて最終処分までの流れを確認できたことになります。B1・C1票は各業者の控え、C2票は処分業者から運搬業者への通知で、排出事業者には戻りません。紙マニフェストには直行用と積替用(区間委託用)の2種類があり、積替保管を伴う委託では積替用を使います。

各票の役割と最終的な保管者
誰が記入・返送 最終的な保管者 意味
A票 排出事業者が記入 排出事業者 交付した記録(控え)
B1票 収集運搬業者 収集運搬業者 運搬業者の控え
B2票 収集運搬業者が排出事業者へ返送 排出事業者 運搬終了の確認
C1票 処分業者 処分業者 処分業者の控え
C2票 処分業者が運搬業者へ返送 収集運搬業者 運搬業者向けの処分終了確認
D票 処分業者が排出事業者へ返送 排出事業者 処分終了の確認
E票 処分業者が排出事業者へ返送 排出事業者 最終処分終了の確認

排出事業者・収集運搬業者・処分業者の間でやりとりするものを一次マニフェスト、中間処理業者が処分委託者となってやりとりするものを二次マニフェストと呼びます(全国産業資源循環連合会・マニフェストの流れ)。

伝票の入手先は、全国の都道府県産業資源循環協会です。有償配布で、価格・1冊の枚数・購入条件は各協会に確認してください(全国産業資源循環連合会・マニフェストの購入)。建設廃棄物については、建設六団体副産物対策協議会が発行する建設系廃棄物マニフェストが市販されています。なお東京都は、省令様式以外の様式を行政と調整せずに作成した場合、適正に使用していても不交付とみなされることがあると注意喚起しています。自作様式は使わないでください。

A票の欄ごとの記入例と、よくある誤り

A票の記載事項は施行規則第8条の21第1項に12号にわたって定められています。誤りが集中するのは「事業者」欄と「事業場」欄の取り違え、交付担当者に会社名を書くこと、種類欄に俗称を書くこと、数量の単位落ち、最終処分の場所を空欄にすることの5つです。交付年月日は引き渡した当日で、契約日や請求書の日付ではありません。交付番号は、その事業者がマニフェストを特定できる任意の番号で構いません(市販伝票に打刻済みの番号があるときはそれを使い、二重管理にしないこと)。

A票|欄ごとに何を書くか・よくある誤り
何を書くか よくある誤り
交付年月日 産業廃棄物を実際に引き渡した当日の日付 契約日・請求書の日付を書く/後日まとめて記入する
交付番号 その事業者がそのマニフェストを特定できる任意の番号(例:立川1・2・3…) 打刻済み番号があるのに別番号を上書きして二重管理になる
交付担当者 氏名 実際に立ち会って引渡しを担当した従業員の氏名 会社名や代表者名を書く/空欄のまま渡す
事業者(氏名又は名称・住所・電話番号) 委託した者=排出事業者の登記上の名称・所在地・電話番号 現場名を書いてしまう(現場は下の「事業場」欄)
事業場(名称・所在地・電話番号) 産業廃棄物を実際に排出した工場・現場の名称と所在地 本社住所と同じにして、交付等状況報告書の事業場単位集計と食い違う
産業廃棄物 種類 法第2条第4項第1号・施行令第2条に定める法定の区分名(金属くず、廃プラスチック類、がれき類 等)。石綿含有産業廃棄物・水銀使用製品産業廃棄物・水銀含有ばいじん等が含まれる場合はその旨も記載 「ゴミ」「産廃」「廃材」等の俗称を書く/石綿含有の旨を書き忘れる
種類(混合の場合) 品目ごとの分別がそれ以上不可能な場合は混合廃棄物として扱い、含まれる種類とともに具体的な品名(シュレッダーダスト、ロッカー、OA机など)を記入(東京都の解説) 分別できるのに混合としてまとめ、1枚で済ませる
数量 省令様式の記載上の注意は「重量又は体積を単位とともに記載すること」 数字だけ書いて単位を書かない/自治体の運用と違う単位で通し、年次報告のときに換算できなくなる
荷姿 コンテナ、バラ、ドラム缶、ポリ容器、フレコンバッグなど具体的な荷姿 空欄/「その他」だけ
運搬受託者(名称・住所・電話番号) 収集運搬業者の名称・住所。委託契約書および収集運搬業許可証の記載と一致させる 屋号や略称で書く/許可の事業の範囲に当該種類が入っているか確認しない
運搬先の事業場(名称・所在地・電話番号) 廃棄物が運び込まれる施設の名称と所在地 処分業者の本社住所を書いてしまう
積替え又は保管(所在地・電話番号) 収集運搬業者が積替え・保管を行う場合のみ、その場所の所在地(規則第8条の21第1項第6号)。行わない場合は空欄のうえ余白に斜線 積替保管があるのに空欄のまま(本来は積替用マニフェストを使う場面)
処分受託者(名称・住所・電話番号) 処分業者の名称・住所。委託契約書および処分業許可証と一致させる 収集運搬業者と処分業者が同一の場合に片方だけ書く
最終処分の場所(所在地) 当該産業廃棄物に係る最終処分を行う場所の所在地(規則第8条の21第1項第8号)。委託契約書の記載(令第6条の2第4号)と一致させる 中間処理施設の住所を書く/「委託契約書のとおり」とだけ書いて所在地を書かない
中間処理産業廃棄物/管理票交付者の氏名又は名称及び交付番号 中間処理業者が二次マニフェストを交付するときだけ記入(規則第8条の21第1項第9号・第10号)。一次マニフェストの交付者名と交付番号(電子の場合は登録番号) 排出事業者が自分の情報を書き込んでしまう
管理票を交付した理由 電子マニフェストの使用義務対象者が例外的に紙で交付する場合、規則第8条の31の4のどの事由に当たるかを記載(規則第8条の21第1項第12号) 義務対象なのに理由を書かずに紙で交付する

※「有価物拾集量」欄は排出事業者が書く欄ではありません。積替え・保管の場所で受託した産業廃棄物に混入していた有償譲渡可能な物を拾集した場合に、運搬受託者が記入する欄です(施行規則第8条の22第4号)。B2票が返ってきたときに確認します。

返送されてきた票のどこを見るかも決まっています。運搬受託者が記載するのは、氏名又は名称/運搬を担当した者の氏名/運搬を終了した年月日/有価物拾集量(規則第8条の22)。処分受託者が記載するのは、氏名又は名称/処分を担当した者の氏名/処分を終了した年月日/その処分が最終処分である場合は最終処分を行った場所の所在地(規則第8条の24)です。E票では、A票に自分で書いた「最終処分の場所」と、実際に記載された場所が一致しているかを必ず突き合わせてください。

交付の単位と、省令様式の「記載上の注意」

交付の単位は施行規則第8条の20が定めており、①産業廃棄物の種類ごと ②運搬先が2以上ある場合は運搬先ごとの2つです。「運搬車ごとに1枚」という交付単位の定めは規則にありません。同条第3号は、種類(石綿含有産業廃棄物等が含まれる場合はその旨を含む)・数量・受託者の氏名又は名称が管理票の記載と相違ないことを確認したうえで交付することも求めています。加えて省令様式には「記載上の注意」があり、記入しない欄・余白には斜線を引くことが求められています。現場で指摘されやすい項目です。

省令様式の「記載上の注意」(東京都 産業廃棄物ガイドブック 資料5-1)
項目 内容
文字の大きさ 日本工業規格Z8305に規定する8ポイント以上の大きさの文字及び数字を用いる
余白 余白には斜線を引く
数量・有価物拾集量 重量又は体積を単位とともに記載する
荷姿 バラ、ドラム缶、ポリ容器等、具体的な荷姿を記載する
石綿含有産業廃棄物・水銀使用製品産業廃棄物・水銀含有ばいじん等 含まれる場合は「種類」の欄にその旨、「数量」の欄にその数量を記載する

数量の単位について。省令様式の記載上の注意は「重量又は体積を単位とともに記載すること」としています。一方で東京都の解説は、重量(kg・t)、容量(m³・L)、個数(個・本)などが用いられ、単位そのものは規定されていないとしています。両者に幅があるため、この記事では「個数だけは不可」とは断定しません。ただし行政の各種調査は重量を基本とする場合が多く、たとえば大阪府は交付等状況報告書についてトン単位・小数点第2位(10kg)までの記載を求めています。年次報告で換算に困らないよう、自治体の指導に合わせた単位で統一するのが実務的です。

複数種類が排出段階で一体不可分に混合している場合の扱いは、大阪府のFAQが「原則は種類ごとに1通、一体不可分の混合物は例外的に1通」と説明しています(大阪府・マニフェスト制度に関するFAQ)。これは法令上の明文ではなく自治体の運用解説なので、判断は管轄自治体に確認してください。

記入ミスに気づいたときの考え方

先に事実関係を明確にします。廃棄物処理法・同施行規則・環境省の通知には、マニフェストの訂正方法を定めた規定が見当たりません(2026年8月時点で法令原文を確認)。したがって「二重線と訂正印なら必ず有効」「修正液は必ず不可」と断定できる公的根拠はありません。実務上確実なのは、交付前なら書き直すこと、交付後は複写された全票の整合が崩れるため、まず委託先と管轄自治体に確認することです。虚偽記載は法第27条の2第1号の罰則対象になり得るため、放置だけは避けてください。

  1. 渡す前に気づいた場合…そのマニフェストを使わず書き直すのが最も確実。余白に斜線が引けているか、種類・数量・受託者名が契約書と一致しているかを最終確認する。
  2. 渡した後に気づいた場合…A票だけを直しても、業者が持つB1・C1票との整合が崩れる。まず委託先(収集運搬業者・処分業者)へ連絡し、どの票をどう扱うかを揃える。
  3. そのうえで、事業場を管轄する都道府県・政令市・中核市の産業廃棄物担当窓口に処理方法を確認する。自治体によって指導が異なるため、ここを飛ばさない。
  4. 返送されたB2・D・E票の記載に欠落や虚偽があった場合は訂正の話ではなく、次章の措置内容等報告書の対象になる。

返送期限は10日|90日・180日は別の意味

この記事で最も訂正したい点です。法令上の返送期限は、運搬受託者が「運搬を終了した日から10日以内」(施行規則第8条の23)、処分受託者が「処分を終了した日から10日以内」(同第8条の25)。一方で広く引用される90日・60日・180日は、施行規則第8条の28が定める別の期間で、管理票の交付の日から数えて、その期間内に写しの送付を受けないときに排出事業者側の措置義務(法第12条の3第8項)が発動する起点です。業者の返送期限ではありません。起算日も「終了日」と「交付日」で違います。

2つの期間を分けて理解する
区分 期間 起算日 誰の義務か 根拠
B2票の送付 10日 運搬を終了した日 運搬受託者 施行規則第8条の23
D票・E票の送付 10日 処分を終了した日 処分受託者 施行規則第8条の25
運搬終了・処分終了の写しが未着 90日(特別管理産業廃棄物は60日 管理票の交付の日 排出事業者(措置義務の発動) 施行規則第8条の28
最終処分終了の写しが未着 180日 管理票の交付の日 排出事業者(措置義務の発動) 施行規則第8条の28

※最終処分終了の写し(E票相当)については、特別管理産業廃棄物であっても180日で同じです。90日を「特管は60日」と読み替えるのは、運搬終了・処分終了の写しについてだけです。

実務上の意味はこうです。運搬が終わって10日を過ぎてもB2票が来ないなら、その時点で業者側の義務違反が疑われるので確認の連絡を入れる。交付から90日を過ぎても来ないなら、今度は排出事業者自身に法律上の義務が発生する、という二段構えです。90日まで何もしないでよい、という意味ではありません。

措置内容等報告書(様式第四号)が必要な4つの場面

法第12条の3第8項の措置義務は「票が返ってこないとき」だけではありません。施行規則第8条の29により、①期間内に写しの送付を受けないとき ②規定事項が記載されていない写しの送付を受けたとき ③虚偽の記載のある写しの送付を受けたとき ④処理業者から処理困難通知を受けた場合で写しが未着のときの4つが対象で、起算日がそれぞれ違います。いずれも生活環境保全上の支障の除去・発生防止に必要な措置を講じたうえで、30日以内に様式第四号の「措置内容等報告書」を都道府県知事(政令市・中核市は市長)へ提出します。

措置内容等報告書|トリガーと起算日(施行規則第8条の29)
きっかけ 提出期限
期間(交付日から90日/特管60日/最終処分180日)内に写しの送付を受けない その期間を経過した日から30日以内
規定する事項が記載されていない写しの送付を受けた その送付を受けた日から30日以内
虚偽の記載のある写しの送付を受けた 虚偽記載を知った日から30日以内
処理業者から処理困難通知(法第14条第13項等)を受けた場合で写しが未着 通知を受けた日から30日以内

「処理困難通知」は、委託先が事業を継続できなくなったときに排出事業者へ送られる通知です。自分の書類に不備がなくても、委託先の事情で排出事業者側が動かなければならない場面があるということです。届いたら期限を意識してください。手順としては、①まず運搬又は処分の状況を把握する ②生活環境保全上の支障の除去・発生防止に必要な措置を講じる ③様式第四号で報告する、の順になります。

保存期間5年|起算日は票によって違う

保存期間はいずれも5年ですが、起算日が票によって違います。自分が交付した管理票の写し(A票)は交付をした日から5年(施行規則第8条の21の2、法第12条の3第2項)。返送を受けた写し(B2・D・E票)は送付を受けた日から5年(同第8条の26、法第12条の3第6項)。「全部まとめて返送日から5年」ではありません。さらに委託契約書と添付書面は契約の終了の日から5年(同第8条の4の3)で、3系統の起算日を別々に管理する必要があります。

保存対象と起算日
保存するもの 期間 起算日 根拠
A票(交付した管理票の写し) 5年 交付をした日 施行規則第8条の21の2
B2票・D票・E票(返送を受けた写し) 5年 送付を受けた日 施行規則第8条の26
委託契約書とその添付書面(許可証の写し等) 5年 契約の終了の日 施行規則第8条の4の3

なお法第12条の3第6項は保存だけでなく「当該運搬又は処分が終了したことを写しにより確認すること」も義務としています。届いた票を開封せずにファイルへ入れるだけでは、この確認義務を果たしたことになりません。A票の控えと並べて、種類・数量・受託者名・終了年月日・最終処分の場所を突き合わせる運用にしてください。

交付等状況報告書(様式第三号)の中身と提出先

紙マニフェストを交付した排出事業者は、産業廃棄物を排出する事業場ごとに、毎年6月30日までに、その年の3月31日以前の1年間(前年4月1日〜3月31日)に交付した管理票の状況を様式第三号で作成し、事業場の所在地を管轄する都道府県知事に提出します(施行規則第8条の27、法第12条の3第7項)。政令市・中核市では市長が権限を持ちます。ポイントは提出単位が会社単位ではなく事業場単位であること、提出先が本社ではなく事業場の所在地を管轄する行政庁であることです。

様式第三号に記入する内容と備考
項目 内容
対象期間 前年4月1日〜3月31日に交付した分
提出期限 毎年6月30日
記入単位 産業廃棄物の種類ごと・委託先ごと
記入する数値 排出量(t)/管理票の交付枚数
運搬受託者 許可の番号と氏名又は名称/運搬先の事業場の名称・所在地
処分受託者 許可の番号と氏名又は名称/処分場所の名称・所在地(運搬先と同じなら記入不要)
業種 日本標準産業分類の中分類
石綿含有産業廃棄物 含まれる場合は種類欄にその旨を記載
区間委託・再委託 区間ごとにすべて記入
事業場のまとめ方 同一都道府県(指定都市・中核市は市)の区域内に、設置が短期間で所在地が一定しない事業場が2以上ある場合は、それらを1事業場としてまとめる

A票の「事業場」欄をいい加減に書いていると、この報告のときに集計単位が合わなくなります。交付の時点で事業場を正確に書いておくことが、6月の作業を軽くする最大のコツです。

電子マニフェストで登録した分は、この報告書の提出が不要です。情報処理センターが法第12条の5第9項に基づき都道府県知事へ報告するためです。紙と電子を併用している場合は、紙で交付した分だけを報告します。

提出先の例(福岡県)。福岡県では、事業場の所在地を管轄する保健福祉環境事務所(環境指導課・環境課)が提出先で、北九州市・福岡市・久留米市に事業場がある場合はそれぞれの市の担当課に提出します。様式は施行規則様式第三号(PDF・Word・Excel)が公開されており、インターネット電子申請と紙提出のいずれも可能です(福岡県・産業廃棄物管理票交付等状況報告書について)。提出先と提出方法は自治体ごとに異なるため、事業場の所在地の自治体ページで必ず確認してください。

※交付等状況報告書の未提出に直接の罰条はありませんが、法第12条の6により都道府県知事は管理票に関する義務を遵守していない事業者に勧告でき、従わなければ公表、なお従わなければ命令ができます。命令違反は1年以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金(法第27条の2第11号)です。

紙と電子|JWNETの料金と、義務対象になる事業場

電子マニフェスト(JWNET)は、排出事業者・収集運搬業者・処分業者の三者が加入していないと使えません。費用は排出事業者向けでB料金が基本料1,980円/年+90件まで無料(91件目から22円/件)、団体加入のC料金が基本料110円/年+5件まで無料(6件目から22円/件)、A料金が基本料26,400円/年+11円/件(無料枠なし)(いずれも税込・2026年8月時点、2027年4月1日から改定予定)。年間の交付が数十件なら、費用は紙伝票の購入費と大きく変わらない可能性があります。「少量なら紙」と決めつける前に件数で比べてください。

JWNET利用料金(税込・2026年8月時点/2027年3月31日まで)
区分 基本料 使用料
排出事業者 A料金 26,400円/年 11円/件(無料枠なし)
排出事業者 B料金 1,980円/年 90件まで無料、91件目から22円/件
排出事業者 C料金(団体加入) 110円/年 5件まで無料、6件目から22円/件
収集運搬業者 13,200円/年 なし
処分業者(報告機能のみ) 13,200円/年 なし
処分業者(報告+2次登録A料金) 26,400円/年 11円/件
処分業者(報告+2次登録B料金) 13,200円/年 90件まで無料、91件目から22円/件

※基本料は年度(4月〜翌年3月末)単位です。2027年4月1日から料金改定が予定されているため、加入前に最新の金額を確認してください(JWNET・利用料金)。

紙マニフェストと電子マニフェストの違い
比較項目 紙マニフェスト 電子マニフェスト(JWNET)
入手・導入 都道府県産業資源循環協会で伝票を購入 排出事業者・収集運搬業者・処分業者の三者の加入が必要
保存義務 A票=交付日から5年、返送分=送付を受けた日から5年 排出事業者の保存義務なし(法第12条の5第8項で情報処理センターが保存)
交付等状況報告書 必要(毎年6月30日まで) 不要(センターが都道府県知事へ報告)
費用 伝票購入費(価格は各協会へ) 上表のとおり

使用が義務づけられるのは誰か。施行規則第8条の31の2・第8条の31の3により、対象は当該年度の前々年度において特別管理産業廃棄物(施行令第2条の4第5号イからハまでに掲げるもの、いわゆるPCB関係を除く)の発生量が50トン以上である事業場を設置している事業者が、その事業場から生ずる当該産業廃棄物の運搬又は処分を他人に委託する場合です(2020年4月1日施行)。「多量排出事業者だから義務」ではありません。産業廃棄物1000トン以上等を基準とする多量排出事業者の処理計画(法第12条第9項)は、これとは別制度です。義務対象は年度ごとに判定され、発生量が50トン未満となった年度の翌々年度から対象を外れます。義務対象事業場でも、普通の産業廃棄物やPCB廃棄物の委託には紙マニフェストを使えます(環境省・電子マニフェスト使用の一部義務化等についてのQ&A)。

義務対象でも紙で交付できる例外は、施行規則第8条の31の4に3つあります。①電気通信回線の故障、天災その他やむを得ない事由があるとき ②電子マニフェストに接続している者への委託が困難と認められるとき ③常勤の役員又は職員の年齢が平成31年3月31日においていずれも65歳以上で、入出力装置が情報処理センターと接続されていないとき。この場合は、マニフェストに「管理票を交付した理由」を記載しなければなりません(規則第8条の21第1項第12号)。

罰則|マニフェスト違反より重い委託違反

刑法改正により「懲役」は「拘禁刑」に一本化されています。マニフェストの不交付・記載義務違反・虚偽記載、写しの保存義務違反、交付を受けずに産業廃棄物の引渡しを受けること、勧告後の命令違反は、いずれも1年以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金(法第27条の2)。一方で、書面契約なしなどの委託基準違反は3年以下の拘禁刑若しくは300万円以下の罰金(併科あり)、無許可業者への委託は5年以下の拘禁刑若しくは1000万円以下の罰金(併科あり)と、マニフェスト違反より重く設定されています。

廃棄物処理法の主な罰則
違反 法定刑 条文
管理票の不交付・記載義務違反・虚偽記載 1年以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金 第27条の2第1号
管理票又はその写しの保存義務違反(A・B2・D・E票) 1年以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金 第27条の2第5号
管理票の交付を受けずに産業廃棄物の引渡しを受けた(受託者側) 1年以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金 第27条の2第7号
第12条の6第3項の命令に違反 1年以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金 第27条の2第11号
委託基準違反(書面契約なし等) 3年以下の拘禁刑若しくは300万円以下の罰金、又は併科 第26条第1号
無許可業者への委託 5年以下の拘禁刑若しくは1000万円以下の罰金、又は併科 第25条第1項第6号

受け取った業者にも罰則があります。マニフェストの交付を受けずに産業廃棄物の引渡しを受けた運搬・処分受託者も第27条の2第7号の対象です。「業者が受け取ってくれたから大丈夫」は成り立ちません。

会社も罰せられます。法第32条第1項の両罰規定により、法人の代表者・代理人・使用人その他の従業者が業務に関して違反行為をしたときは、行為者を罰するほか法人にも罰金刑が科されます。第27条の2の違反は各本条の罰金刑、不法投棄等(第25条第1項第1号〜第4号・第12号・第14号・第15号)は法人に3億円以下の罰金刑です。「担当者が勝手にやった」では会社は免責されません。条文は廃棄物の処理及び清掃に関する法律(e-Gov法令検索)で確認できます。

有価物でも規制はある|有害使用済機器の届出

「有価物だからマニフェスト不要=何の規制もない」は誤りです。法第17条の2第1項により、使用を終了し収集された機器のうち廃棄物に該当しないもので政令で定めるもの(有害使用済機器)について、その保管又は処分を業として行おうとする者は、あらかじめ都道府県知事に届け出る必要があります。対象は施行令第16条の2で32分類が指定され、エアコン、電気冷蔵庫・冷凍庫、洗濯機・衣類乾燥機、テレビ、電動工具、事務用電気機械器具、パソコン、携帯電話端末等が含まれます。無届・虚偽届出で業として行った場合は30万円以下の罰金(法第30条第6号)です。

対象機器は「一般消費者が通常生活の用に供する機器及びこれと同様の構造を有するもの」に限られます。いわゆる雑品スクラップを扱う現場では、マニフェストの要否とは別に、この届出制度の対象になっていないかを確認してください。判断に迷う場合は、事業場を管轄する都道府県・政令市・中核市の産業廃棄物担当窓口が相談先になります。

よくある質問

現場で質問が集中する点をまとめます。要点は、交付は引渡しと同時・交付単位は種類ごと(運搬先が2以上なら運搬先ごと)・返送期限は終了日から10日・90日と180日は措置義務の起点・保存はA票が交付日から5年で返送分は送付を受けた日から5年の5つです。以下は法令と公的資料に基づく一般的な整理で、様式の運用・専ら物の取扱い・逆有償の判断には自治体差があります。最終的な取扱いは事業場を管轄する自治体窓口で確認してください。

Q. 1台のトラックに2種類の廃棄物を載せました。マニフェストは1枚でいいですか?
A. 施行規則第8条の20は交付単位を「産業廃棄物の種類ごと」「運搬先が2以上ある場合は運搬先ごと」と定めているため、廃プラスチック類とがれき類なら2枚になります。なお同条に「運搬車ごとに1枚」という定めはありません。排出段階で品目ごとの分別がそれ以上不可能な混合物については、混合廃棄物として1通で交付する運用が自治体の解説で示されていますが、法令上の明文ではないため管轄自治体に確認してください。
Q. 数量は個数で書いてもいいですか?
A. 省令様式の記載上の注意は「重量又は体積を単位とともに記載すること」としています。一方で東京都の解説は、重量(kg・t)、容量(m³・L)、個数(個・本)などが用いられ単位そのものは規定されていないとしており、幅があります。年次報告(様式第三号)では排出量をトンで集計するため、換算できる単位に統一しておくのが安全です。大阪府はトン単位・小数点第2位までの記載を求めています。
Q. B2票が返ってきません。何日待てばいいですか?
A. 運搬受託者の送付期限は「運搬を終了した日から10日以内」(施行規則第8条の23)なので、その時点で確認の連絡を入れて構いません。そのうえで、管理票の交付の日から90日(特別管理産業廃棄物は60日、最終処分終了の写しは180日)を経過しても写しの送付を受けないときは、生活環境保全上の措置を講じたうえで経過した日から30日以内に様式第四号の措置内容等報告書を都道府県知事に提出する義務が生じます(施行規則第8条の28・第8条の29)。
Q. 返ってきたD票の記載が一部空欄でした。放置していいですか?
A. いけません。規定する事項が記載されていない写しの送付を受けたときも措置義務の対象で、その送付を受けた日から30日以内に措置内容等報告書の提出が必要です(施行規則第8条の29)。虚偽記載の場合は「虚偽記載を知った日から30日以内」です。
Q. 記入を間違えました。二重線と訂正印で直せますか?
A. 廃棄物処理法・同施行規則・環境省通知に訂正方法を定めた規定は見当たりません(2026年8月時点で確認)。したがって「これで必ず有効」と言える公的な手順はありません。交付前なら書き直すのが確実です。交付後は複写された全票の整合が崩れるため、まず委託先に連絡し、そのうえで管轄自治体に取扱いを確認してください。
Q. くず鉄をスクラップ業者に引き渡します。マニフェストは要りますか?
A. まずその金属くずが廃棄物か有価物かを、性状・排出の状況・通常の取扱い形態・取引価値の有無・占有者の意思の5要素で判断します。廃棄物にあたる場合でも、くず鉄(古銅等を含む)は「専ら再生利用の目的となる産業廃棄物」の4品目に含まれ、専ら再生利用の目的となる産業廃棄物のみの収集運搬又は処分を業として行う者に、それのみを委託する場合は交付不要です(施行規則第8条の19第3号)。条件は品目ではなく委託先の業態にかかっています。自治体に上乗せ運用が残っている場合があるため、管轄窓口で確認してください。
Q. マニフェストさえ交付していれば大丈夫ですか?
A. いいえ。前提として書面の委託契約(施行令第6条の2第4号)が必要で、その違反は3年以下の拘禁刑若しくは300万円以下の罰金(併科あり)、無許可業者への委託は5年以下の拘禁刑若しくは1000万円以下の罰金(併科あり)と、マニフェスト違反(1年以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金)より重く定められています。さらに法第12条第7項は、委託後も処理状況を確認し必要な措置を講ずる努力義務を定めています。
Q. 電子マニフェストは義務ですか?
A. 義務となるのは、当該年度の前々年度において特別管理産業廃棄物(PCB関係を除く)の発生量が50トン以上である事業場を設置している事業者が、その事業場から生ずる当該産業廃棄物の運搬又は処分を委託する場合です(施行規則第8条の31の2・第8条の31の3、2020年4月1日施行)。それ以外は任意です。ただし三者(排出事業者・収集運搬業者・処分業者)が加入していないと利用できません。

まとめ|期限の意味を取り違えないことが最大の分岐

この記事で押さえるべきは、交付は引渡しと同時(交付年月日=当日)/交付単位は種類ごと・運搬先が2以上なら運搬先ごとで「運搬車ごと」は規定なし/業者の返送期限は終了日から10日/90日・60日・180日は交付日起算の措置義務発動期間/保存はA票が交付日から5年・返送分は送付を受けた日から5年・契約書は契約終了日から5年の5点です。そして手前で、その取引に交付義務があるのか(有価物か、専ら物か)を確認すること。判断に自治体差がある部分は管轄窓口で確認してください。

  • 交付義務の判断は5要素の総合判断。有償譲渡契約があるだけでは有価物にならない。
  • くず鉄等の専ら物は、それのみを扱う業者へ委託する場合に限り交付不要(施行規則第8条の19第3号)。自治体の上乗せ運用に注意。
  • マニフェストの前に書面の委託契約と許可証の事業の範囲の確認。罰則はこちらの方が重い。
  • 返送期限は10日、措置義務の発動は交付日から90日/特管60日/最終処分180日。混同しない。
  • 票が返らない・記載が欠けている・虚偽・処理困難通知の4場面で様式第四号を30日以内に提出。
  • 保存の起算日はA票=交付日、返送分=送付を受けた日、契約書=契約終了日で別々。
  • 紙で交付した分は毎年6月30日までに様式第三号を事業場所在地の自治体へ。電子分は不要。

「これは産業廃棄物として処理費を払うものか、それとも有価物として売れるのか」は、材質・付着物の有無・量・その時点の相場で変わります。判断材料を揃えるなら、産業廃棄物処理業者の処理費見積りと、金属スクラップを扱う買取業者の提示額を、同じ品目・重量・同じ時期の条件で並べて比較すると差が見えやすくなります。金属の価格は品目・重量・その日の建値で動くため、提示額に有効期限が付くのが一般的です。持ち込みか出張回収か、荷降ろしや運搬の手間まで含めた総額で見比べるのが実務的です。ただし価格が付いたからといって自動的に有価物になるわけではない点は、この記事の最初に書いたとおりです。

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