車の個人売買契約書|必須記載項目・ひな形・トラブル予防

結論を先に。車の個人売買で契約書は法律上の義務ではありませんが、「代金未払い」「名義変更してもらえない」「引渡し後の故障の押し付け合い」という3大トラブルは、ほぼすべて契約書の不備から起きます。下のひな形に6つの必須項目を埋め、「入金 → 引渡し → 名義変更(15日以内)」の順番を守れば、当事者が友人同士でも安全に取引できます。収入印紙は個人間なら不要です。

まず押さえる3秒サマリー

疑問 答え(先に結論)
契約書は必須? 義務ではないが、トラブルの大半は契約書不備が原因。友人間でも作るべき
収入印紙は必要? 個人間の売買契約書は不課税=不要(営業=事業者が作る場合のみ課税の可能性)
名義変更の期限は? 引渡しから15日以内(道路運送車両法)。放置すると売主に税金・反則金が来る
支払いと引渡しの順番は? 入金確認 → 車・書類の引渡し → 買主が15日以内に名義変更
ローン残債がある車は? 残債を完済し所有権解除をしないと名義変更できない。原則は完済が先

契約書に必ず入れる6つの必須項目(コピペ文例つき)

難しい条文は不要です。次の6点が漏れなく書いてあれば、契約書として機能します。各項目の右に、そのまま書き写せる文例を添えました。

必須項目 書く内容 そのまま使える文例
1. 当事者 売主・買主の住所・氏名(契約書末尾に署名・押印) 「売主(甲)と買主(乙)は、下記自動車の売買について次のとおり契約する。」
2. 車両の特定 車検証どおりに登録番号・車台番号・車名・型式・年式・走行距離 「登録番号〇〇/車台番号〇〇/走行距離〇〇km(契約日時点)」
3. 売買代金 1円単位まで正確に。総額か内訳かを明記 「売買代金を金〇〇円(消費税込み)とする。」
4. 支払い・引渡し 支払方法・期日と、車・書類を渡す日時・場所 「乙は本契約日に甲指定口座へ全額を振り込み、甲は入金確認後ただちに自動車と必要書類を引き渡す。」
5. 名義変更 誰が・いつまでに行うか(買主・15日以内が原則) 「名義変更は乙の負担と責任で、引渡し日から15日以内に完了する。」
6. 契約不適合(旧・瑕疵担保) 把握している不具合を正直に記載し、責任範囲を明記 「甲は別紙記載の状態を告知済みとし、引渡し後に発見された不具合について責任を負わない(現状有姿)。ただし告知しなかった重大な欠陥はこの限りでない。」

福岡の現場メモ:当社が個人売買のご相談で最も多く見るのが「6番の状態告知があいまい」なケースです。「現状渡し」と一言だけ書いても、売主が知っていて隠した不具合は免責されません。修復歴・水没歴・警告灯の点灯・エアコン不調などは別紙に箇条書きで残し、双方が署名しておくと後の言い争いを防げます。

そのまま使える契約書ひな形

下の本文を書き写し、〇〇部分を埋めるだけで使えます。同じものを2部作り、売主・買主が1部ずつ保管します。

自動車売買契約書

売主(以下「甲」)と買主(以下「乙」)は、下記自動車の売買について次のとおり契約する。

第1条(目的物) 甲は乙に対し、下記自動車を売り渡し、乙はこれを買い受ける。
登録番号〇〇/車名〇〇/型式〇〇/車台番号〇〇/年式〇〇/走行距離〇〇km(契約日時点)

第2条(売買代金) 売買代金は金〇〇円(消費税込み)とする。

第3条(支払い) 乙は〇年〇月〇日までに、甲指定の方法で全額を支払う。

第4条(引渡し) 甲は代金全額の入金を確認後、自動車および名義変更に必要な書類を乙に引き渡す。

第5条(名義変更) 名義変更は乙の負担と責任で、引渡し日から15日以内に完了する。

第6条(契約不適合責任) 甲は別紙に記載の状態を告知済みとし、引渡し後に判明した不具合について責任を負わない(現状有姿)。ただし、甲が知りながら告知しなかった重大な欠陥はこの限りでない。

第7条(協議) 本契約に定めのない事項は、民法その他法令に従い甲乙協議のうえ解決する。

本契約の成立を証するため本書2通を作成し、甲乙署名押印のうえ各1通を保有する。

〇年〇月〇日
甲(売主)住所・氏名      印
乙(買主)住所・氏名      印

別紙(車両状態告知書)には、修復歴・キズ・凹み・警告灯・装備の不具合などを箇条書きで列挙し、双方が署名します。これが第6条の前提になります。

取引の正しい順番 ―「入金 → 引渡し → 名義変更」

個人売買のトラブルは、この順番が崩れたときに起きます。番号どおりに進めてください。

ステップ やること つまずきポイント
1 車両を確認し、契約書2部に署名・押印 状態告知の別紙を必ず添付
2 買主が代金を支払う(振込が記録に残り安全) 「車を先に渡したら入金されない」を防ぐため入金確認が先
3 売主が入金確認後、車と必要書類を引き渡す 書類の渡し漏れに注意(下の書類表で確認)
4 買主が引渡しから15日以内に運輸支局で名義変更 放置すると税金・反則金・事故責任が売主に残る
5 自賠責保険の名義も買主側へ変更 名義そのままだと事故時の補償でもめる

名義変更に必要な書類(売主・買主それぞれ)

普通車と軽自動車で必要書類が違います。先にそろえておくと、当日その場で名義変更まで進められます。

区分 普通車 軽自動車
売主が用意 車検証/自賠責保険証明書/納税証明書/譲渡証明書/委任状/印鑑証明書(3か月以内)/実印 車検証/自賠責保険証明書/申請依頼書(実印・印鑑証明は不要)
買主が用意 車庫証明書/印鑑証明書(3か月以内)/実印 住民票(印鑑証明・実印は不要)。地域により車庫の届出
手続き先 使用の本拠地を管轄する運輸支局 軽自動車検査協会

福岡市・春日・大野城・朝倉エリアの普通車は福岡運輸支局、軽自動車は軽自動車検査協会 福岡主管事務所が窓口です。住所変更を伴う場合は住民票や戸籍の附票が追加で必要になることがあります。費用は移転登録手数料+ナンバー代等でおおむね数百円〜数千円が目安ですが、車庫証明の取得費用や状況により変動するため、窓口で最終確認してください。

契約書がないと何が起きるか(3大トラブル)

「友人だから」「身内だから」と口約束で済ませた取引ほど、後でこじれます。よくある3類型と、契約書での防ぎ方を並べます。

トラブル 何が起きる 契約書での防ぎ方
代金未払い 車を渡したのに残金が振り込まれない 「入金確認後に引渡し」を第3〜4条で明記し、振込で記録を残す
名義変更されない 売主に翌年の自動車税・反則金・事故責任が来る 第5条で「買主が15日以内に完了」と期限と責任者を固定する
故障の押し付け合い 引渡し後の不具合を「聞いていない」と主張される 第6条+別紙の状態告知で、把握している不具合を先に共有・署名

判断の分かれ目 ―自分でやる? プロに任せる?

個人売買は手間とリスクのバランスで決めます。次に1つでも当てはまるなら、自力での個人売買は慎重に検討してください。

自分でやれる場合 プロ(買取・廃車登録)を検討すべき場合
相手と信頼関係があり連絡が取れる 相手が遠方・連絡が不安定で名義変更が滞りそう
ローンが完済済みで所有権がついていない ローン残債があり所有権解除が必要
書類集めと運輸支局での手続きに時間が取れる 平日に窓口へ行く時間が取れない
車の状態を正直に告知でき、相場も把握している 動かない・車検切れ・事故車で売買自体が難しい

当社(福岡市拠点)は車の買取・廃車登録・スクラップ買取を行っています。「個人売買がまとまらない」「名義変更だけ進まない」「動かない車を手放したい」といった状況は、買取や廃車登録に切り替えたほうが早く確実な場合があります。判断に迷う段階で構いませんので、運営者情報(/about/)をご確認のうえ、お問い合わせフォームからご相談ください。

よくある質問

Q. 契約書はパソコンで作っても有効ですか?
A. 有効です。ただし署名(自署)と押印は手書きで行い、空欄を残さないようにします。同じものを2部作って双方が保管します。
Q. 収入印紙は貼る必要がありますか?
A. 個人間の自動車売買契約書は不課税で不要です。事業者が営業として作成する場合は課税される可能性があるため、その場合は税務署や税理士に確認してください。
Q. 名義変更を相手がしてくれません。どうすれば?
A. まず契約書(第5条の期限)を根拠に書面で督促します。それでも応じない場合は、消費生活センターや弁護士など公的・専門窓口への相談を検討してください。
Q. ローンが残っている車は売れますか?
A. ローン会社や信販会社の所有権が付いているため、原則として残債を完済し所有権解除をしてからでないと名義変更できません。完済が難しい場合は買取での精算を含めて検討します。
Q. 自賠責保険はどうなりますか?
A. 自賠責は車に紐づくため取引で引き継げますが、名義変更が必要です。買主が保険会社で手続きします。名義をそのままにすると事故時の対応でもめる原因になります。

参考(外部の公的・信頼できる情報):国土交通省・自動車登録ポータルサイト(名義変更に必要な書類)

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