スクラップ相場の見方は、難しい計算を覚えることではありません。「①国際相場(LME・鉄輸出価格)×②為替 → ③国内建値 → ④あなたの品物のグレード」という上から下へ降りてくる流れを押さえれば、提示された買取単価が高いのか安いのかを自分で判断できます。大もとの指標(LMEや建値)は毎日公表されますが、あなたの手取りは、そこに純度・付着物・形状(歩留まり)と処理コストを反映した「業者の当日単価」で確定します。だから建値がそのまま手取りになることはなく、素材や日によって単価が動くのは仕組み上あたりまえです。この記事では、その仕組みと売り時の考え方を、買う側の理屈まで含めて解説します。
※本記事の単価は目安(2026年6月時点)で、LME・国内建値の変動により日々上下します。確定額は現地査定によります(買取保証ではありません)。福岡での品目別の実勢レンジは 福岡のスクラップ相場一覧 にまとめています。
相場は「4つを上から見る」だけ|値決めの流れ
スクラップ相場は、上から順に4段階で降りてきます。①国際相場(非鉄はLME=ロンドン金属取引所、鉄はスクラップ輸出価格)が世界の需給で動く大もと。②為替(ドル円)はLMEがドル建てのため円換算に効き、円安だと国内価格は上がりやすくなります。③国内建値はJX金属などが公表する公式の参考価格で、銅建値は月に数回改訂されます。最後に④あなたの品物のグレード(歩留まり)で純度・付着物・形状が反映され、実際の買取単価が確定します。つまり指標だけでは手取りは出ず、①②→③→④の順に見るのが「相場の見方」です。
非鉄=LME/鉄=スクラップ輸出価格。世界の需給で動く大もと。
ドル建て相場を円換算。円安=国内価格は上がりやすい。
JX金属などが公表する参考価格。銅建値は月に数回改訂。
純度・付着物・形状で加減算。ここで買取単価が確定。
ポイントは「上ほど自分で動かせない(世界の相場)/下ほど自分で改善できる(仕分け・異物除去)」こと。だから相場の見方を知ると、待つ判断と手を加える判断の両方ができるようになります。
なぜスクラップ相場は毎日変わるのか
スクラップ相場が日々動くのは、大もとの国際相場と為替がリアルタイムで変動するからです。銅・アルミなど非鉄はLMEが平日ほぼ連続で値を刻み、鉄スクラップは輸出価格と国内需給で上下します。これがドル円の動き(円安・円高)で円換算され、国内建値に反映されます。銅建値は月に数回改訂されるため、同じ品物でも「先週と今週で単価が違う」ことは普通に起こります。加えて、中国など海外の需要・在庫、製造や建設の稼働、災害後の一時的な混乱なども需給を通じて価格を揺らします。相場が変わるのは業者の都合ではなく、世界の需給と為替が反映された結果——これが日々変動の正体です。
「昨日はこの値段だったのに」と感じるのは自然なことですが、それは業者が値を操作しているのではなく、上流の指標が動いたためです。逆に言えば、大きく下げた翌日にあわてて手放す必要はなく、数日の値動きを見てから判断できる余地があるということでもあります。
相場を自分で確認できる無料の情報源
「業者に聞く前に自分でも数字を見たい」なら、無料で確認できる代表的な指標があります。非鉄は国内建値(JX金属などが公表)とLME、鉄はH2などの国内・輸出価格がベースの目安です。建値やLMEは毎営業日または改訂時に公表され、為替(ドル円)は経済情報サイトでリアルタイムに見られます。ただし、これらはあくまで「大もとの基準」で、あなたの手取りそのものではありません。最終単価は各業者の当日価格にグレード・歩留まりが反映されて決まるため、指標で桁感をつかんだうえで、確定額は現地査定で確認するのが確実です。
| 見たい数字 | 主な確認先(出典名) | 更新の目安 |
|---|---|---|
| 銅・亜鉛などの国内建値 | JX金属などの公式建値 | 毎営業日/改訂時 |
| LME(非鉄の国際相場) | LME(ロンドン金属取引所) | ほぼリアルタイム |
| 鉄スクラップH2の国内・輸出価格 | 業界紙(日刊産業新聞 ほか) | ほぼ毎日 |
| 為替(ドル円) | 金融・経済情報サイト | リアルタイム |
| 実際の買取単価 | 各買取業者の当日価格 | 毎日更新が多い |
建値・LMEは「基準」、手取りは「業者の当日単価×あなたの品物のグレード」。この2段を分けて見ると、提示額が妥当かを落ち着いて判断できます。
建値と買取価格はなぜ違う?「歩留まり」で決まる手取り
「建値が出ているのに、なぜ買取単価はそれより低いの?」——理由は、建値が純度100%を前提にした基準価格であるのに対し、実際の品物には付着物・被覆・他金属の混入があり、歩留まり(実質の純度・回収率)と処理コストが差し引かれるからです。たとえば銅建値2,000円/kgの品でも、被覆や付着物で実質純度が8割相当なら、ベースは2,000円×80%=約1,600円/kg。さらに運搬・選別・処理の手間分が引かれて当日単価になります。だから「建値=手取り」にはならず、同じ銅でもグレードで単価が大きく変わります。逆に、異物を除き種類ごとに分けておくほど歩留まりが上がり、手取りは建値に近づきます。
手取りをざっくり逆算する考え方(例)
銅建値 2,000円/kg ×(実質純度80%)= ベース約1,600円/kg
→ ここから運搬・選別などの処理コスト分を控除 = 実際の買取単価
数値は仕組みを示すための例です。実際の歩留まり・控除は品物の状態と業者で変わり、確定額は現地査定によります。
素材でこれだけ単価が違う理由(銅・真鍮・アルミ・SUS・鉄)
同じ「金属」でも単価が大きく違うのは、素材そのものの国際相場と、リサイクルでの価値が異なるからです。目安(円/kg・上物グレード・2026年6月時点)は、銅 約1,900〜2,100/真鍮 約1,050〜1,200/アルミ 約150〜500/ステンレス(SUS) 約150〜190/鉄 約40〜55。非鉄(銅・真鍮)が高く、鉄が最も安いのは相場と需給の差によるものです。ただしこれは付着物・被覆の少ない上物の目安で、被覆線・込銅・異物混入品はここから下がります。いずれもLME・建値連動で日々変動し、確定額は現地査定によります(買取保証ではありません)。
| 素材 | 単価の目安(円/kg) | 単価を左右する主な要素 |
|---|---|---|
| 銅(ピカ線・1号銅などの上物) | 約1,900〜2,100 | 純度・被覆の有無・付着物 |
| 真鍮(黄銅) | 約1,050〜1,200 | メッキ・他金属の混入 |
| アルミ | 約150〜500 | サッシ/ガラ/合金など種類差が大 |
| ステンレス(SUS304系) | 約150〜190 | ニッケル含有・磁性の有無 |
| 鉄スクラップ(H2 など) | 約40〜55 | サイズ・厚み・異物混入 |
目安・2026年6月時点。LME・国内建値の変動で上下し、被覆線・込銅・異物混入品は上記より下がります。確定額は現地査定によります(買取保証ではありません)。福岡での品目別の実勢レンジは 福岡のスクラップ相場一覧 をご覧ください。
相場より安く買われないための査定チェックポイント
「相場より安く買い叩かれたくない」なら、提示単価の根拠を分けて確認するのが有効です。ポイントは3つ。第一に、当日の建値・指標が反映された単価か(古い相場のまま提示されていないか)。第二に、グレード判定の内訳——被覆・付着物・混入をどう見て何%減額したかを説明できるか。第三に、運搬・処理などの費用が単価に含まれるのか別途なのか。これらを説明できる業者ほど、値決めが透明です。逆に「一式いくら」で内訳が曖昧なときは、種類ごとに分けて査定してもらうと差が見えます。自分で異物を除き、素材別に仕分けておくだけでも歩留まりが上がり、提示単価は相場に近づきます。
提示額が妥当か迷ったときは、素材別に分けたうえで単価の根拠を尋ねるのが近道です。買取単価は業者ごとに幅が出やすいため、同じ仕分け・同じ日付という条件をそろえて2〜3社の見積もりを比べると、相場の幅と各社の控除の考え方が見えてきます。比較するときは「kgあたりの単価」「グレード判定の内訳」「運搬・処理費が単価に含まれるか別途か」の3点を同じ基準で並べると、合計金額だけでは分からない差を判断できます(いずれも相場変動があり、確定額は現地査定によります)。
いつ売るのが得?売り時の考え方
「いつ売れば一番高い?」に完璧な正解は誰にも出せません(将来の相場は断定できません)。ただし損を避けるための判断軸はあります。一般に、円安局面は国内価格が上がりやすく、建設・製造の需要期は堅調になりやすい傾向があります。反対に、災害直後などは一時的に値動きが激しくなりがちです。保管に費用や手間がかかるなら「待つコスト」も相場と両にらみで考えます。大きく下げた直後に焦って手放すより、数日〜1週間の値動きを見てから判断するほうが安全です。相場そのものは読み切れなくても、この軸で「今動くか・待つか」は整理できます。
| 状況 | 一般的な傾向 | 考え方の目安 |
|---|---|---|
| 円安が進んでいる | 国内価格は上がりやすい | 売却を前向きに検討しやすい |
| 建設・製造の需要期 | 需要増で堅調になりやすい | タイミングとして有利なことが多い |
| 災害直後などの乱高下 | 一時的に上下が激しい | 数日〜1週間ようすを見てから |
| 保管に費用・手間がかかる | 待つほど機会損失も発生 | 「待ちのコスト」と相場を両にらみ |
少量でも相場どおりに売れる?
少量や混合品は、選別の手間がかかる分、相場満額とはいきにくい傾向があります。理由は歩留まりと同じで、種類が混ざっていたり異物(水・油・プラスチック)が付いていると、仕分けコストが単価に反映されるためです。逆に言えば、個人・少量でも、素材ごとに分けて異物を除いておけば評価は上がりやすいということ。銅なら被覆を外す、鉄と非鉄を分ける、アルミはサッシ・ガラなど種類で分ける、といった下ごしらえが効きます。量がまとまらないうちは、複数素材をためて種類別に持ち込むのも一案です。少量だから相場が見られない、ということはありません。
個人での持ち込みや少量の扱い、当日の流れは 個人のスクラップ持ち込み、業者の見極め方は スクラップ業者の選び方 も参考にしてください。
よくある質問
- Q. 相場が一番分かりやすい指標はどれですか?
- A. 非鉄(銅・アルミなど)はLMEと国内建値、鉄はH2の国内・輸出価格が代表的です。まずこの2系統を押さえれば全体の流れが読めます。ただし手取りは、これに為替と品物のグレードが反映された業者の当日単価で決まります。
- Q. 建値とスクラップ買取価格はどう違いますか?
- A. 建値は「国内の公式な参考価格(基準)」で、純度100%を前提にした基準です。実際の買取単価は、そこから純度・付着物・形状(歩留まり)と処理コストを反映して決まるため、通常は建値より低くなります。異物を除き素材別に分けるほど建値に近づきます。
- Q. なぜ相場は毎日変わるのですか?
- A. 大もとの国際相場(LME・鉄輸出価格)と為替がリアルタイムで動き、それが国内建値に反映されるためです。銅建値は月に数回改訂されるので、同じ品物でも週が変われば単価が違うことは普通に起こります。業者が値を操作しているわけではありません。
- Q. 円高になったらスクラップは下がりますか?
- A. 一般に円高はドル建て相場の円換算額を押し下げるため、国内価格は下がりやすくなります。ただし国際相場や国内需要の強さで打ち消されることもあるので、為替だけで判断しないのが安全です(将来の相場は断定できません)。
- Q. 個人の少量でも相場どおりに売れますか?
- A. 少量・混合品は選別の手間がかかるため相場満額とはいきにくい傾向です。種類ごとに分け、異物を除いておくと評価が上がりやすくなります。福岡での持ち込みの流れは、上の内部リンクにある解説をご覧ください。
関連ページ・内部リンク
- 福岡のスクラップ相場一覧(品目別の実勢レンジ)
- 個人のスクラップ持ち込み(少量・当日の流れ)
- スクラップ業者の選び方
- スクラップ買取・回収の記事一覧
- 運営者情報(運営者・古物商許可について)