賃貸の古物商 使用承諾書は必要?書式・記載例と大家への頼み方

賃貸の自宅で古物商許可を取るとき、「使用承諾書」という書類の警察への提出は、いまの福岡県警では原則いりません(2026年6月時点・出典:福岡県警察「古物商等の許可申請について」)。ただし提出が不要でも、大家さん(貸主)の承諾そのものは引き続き必要です。このページは「承諾書が要るのか/どんなときに求められるのか/書式と記載例/大家・管理会社への頼み方/書いてもらえないときの代替」に絞って、賃貸で申請する人がつまずかない順番で整理します。自宅を営業所にできるかどうかの可否判断そのものは古物商の営業所は自宅でOK?で扱います。

結論:使用承諾書は「警察への提出は原則不要」でも「大家の承諾を得ておくこと」は必要。用途が居住用の物件や分譲マンションでは書面や規約確認を求められることがあるので、承諾の事実を一文でも記録に残しておくのが安全です。

提出は原則不要、でも「承諾」は要る理由

かつては多くの都道府県警で、賃貸を営業所にする際に大家の使用承諾書が添付必須とされていました。令和2年施行の改正古物営業法の運用以降、警視庁など各地で公開様式から使用承諾書が外れ、福岡県警の古物商許可申請ページの提出書類にも、使用承諾書・賃貸借契約書は明記されていません(2026年6月時点・出典:福岡県警察)。これは「警察への提出書類として要件から外れた」という運用上の話で、「大家に黙って営業所にしてよい」という意味ではありません。承諾そのものは引き続き必要と考えてください。

ポイントは、「書類の提出」と「大家の承諾」を分けて考えることです。多くの人がここを混同し、不要な書類探しに時間をかけたり、逆に無断で申請してしまったりします。整理すると次のとおりです。

  • 警察への提出:福岡県警のページでは使用承諾書は必須書類に挙げられていない(=原則、提出は求められない)。
  • 大家の承諾:賃貸借契約の用途が「居住用」のまま事業に使うと契約違反になり得る。許可申請後に警察の現地確認もあるため、実態と契約のズレは放置できない。

つまり「提出は原則不要」だが「承諾は要る」。この一文を押さえると、以降の判断がぶれません。なお、そもそも自宅を営業所として使えるかどうかの条件(独立性・営業所の実体など)は自宅を営業所にできるかの解説にまとめています。

あなたのケースで承諾書は求められる?(判定表)

承諾書(または承諾の記録)がどこまで要るかは、物件の種類と契約書の「用途」でほぼ決まります。賃貸借契約書の用途が「事業可/店舗・事務所」なら、大家へひと声入れて記録を残せば足りることが多く、用途が「居住用/住居専用」のままだと管轄署が承諾書を求める場合があります。分譲マンションは管理規約の用途制限が判断の起点です。取扱いは管轄署ごとに差があるため、申請前に管轄の警察署(生活安全課・防犯係)へ「賃貸の自宅を営業所にしたいが提出書類は何か」を確認するのが最短です。

賃貸・分譲別|承諾書の「提出」と「やるべきこと」の目安(2026年6月時点・最終判断は管轄署)
あなたの状況 承諾書の「提出」 やるべきこと
賃貸借契約の用途が「事業可」「店舗・事務所」 原則不要 大家へひと声入れて、口頭〜メールで承諾を記録に残す
用途が「居住用/住居専用」のまま 署によって求められることあり 大家の承諾を文書(承諾書・メール)で確保しておく
分譲マンション(持ち家・賃借どちらも) 管理規約しだい 規約の用途制限を確認。必要なら管理組合・管理会社へ相談
大家・管理会社が承諾してくれない 営業所を別に用意(実家・事業用物件・シェアオフィス等)

大事なのは順番です。「書類を集める」前に「自分のケースで承諾が要るか」を判定し、必要なら承諾を確保してから申請へ進みます。許可申請の全体の流れは古物商許可の申請手続きで確認できます。

承諾書の書式と記載例(そのまま使える最小構成)

使用承諾書に国が定めた決まった様式はありません。大家や管理会社が独自の書式を持っていればそれを使い、なければ自作でかまいません。最低限、①物件の所在地 ②使用者(申請者)の氏名 ③「古物商の営業所として使用することを承諾する」旨 ④承諾日 ⑤所有者(貸主)または管理会社の氏名があれば承諾の記録として機能します。押印は必須ではなく、署名やメール本文でも承諾の事実を示せます。管轄署が独自様式を用意している場合はそれに従ってください。

下記は、承諾書を求められたとき、または承諾の記録を残したいときの最小構成の記載例です。〇〇部分をあなたの情報に置き換えて使ってください。

使用承諾書の記載項目と記載例(様式自由・押印は任意)
記載項目 記載例
表題 使用承諾書
物件の所在地・名称 福岡県〇〇市〇〇 〇丁目〇番〇号 〇〇マンション〇〇号室
使用者 氏名(古物商許可の申請者本人)
使用目的 古物商の営業所として使用すること
承諾文 上記物件を、貸主として古物商の営業所として使用することを承諾します。
承諾日 2026年〇月〇日
貸主(または管理会社) 住所/氏名(署名または記名。押印は任意)

文章にすると、たとえば次の一文で足ります。
「所在地〔物件の住所・部屋番号〕の物件について、〔申請者氏名〕が古物商の営業所として使用することを承諾します。〔承諾日〕/貸主〔氏名〕」
これをA4一枚に印刷して署名をもらう、あるいは同じ趣旨をメール本文でやり取りして記録に残せば、署から書面提出を求められた際にもスムーズです。

大家・管理会社への頼み方(送れる依頼文つき)

大家や管理会社が承諾に慎重になる主な理由は「店舗営業で近隣に迷惑がかかるのでは」という不安です。そこで依頼のときは①不特定多数の来客がないこと ②在庫は少量で搬入・騒音・臭気がないこと ③看板を出さず退去時は原状回復すること ④用途変更を理由にした賃料交渉の意図はないことを先に伝えると、承諾が得やすくなります。ネット販売・買取中心で「静かな在宅事務」であることが伝われば、抵抗はぐっと下がります。口頭で了承をもらったら、必ずメール一通でも記録を残しておきましょう。

そのまま貸主・管理会社へ送れる依頼文の例です(メール・書面どちらでも)。

  • 件名:〔物件名・部屋番号〕の使用目的についてのご確認のお願い(〔氏名〕)
  • 本文:いつもお世話になっております。〔物件名〕〔号室〕を賃借しております〔氏名〕です。このたび古物商許可の取得を予定しており、当該住戸を古物商の営業所(届出上の所在地)として使用したく、ご連絡いたしました。営業はインターネットを介した売買・買取が中心で、不特定多数のお客様が住戸を訪れることはなく、在庫も少量で搬入・騒音・臭気を伴うものではありません。看板や表札の掲出は行わず、退去時は原状に回復いたします。用途変更を理由とした条件変更を求める意図はございません。つきましては、当該住戸を営業所として使用することにご承諾いただけますでしょうか。書面での承諾(使用承諾書)が必要な場合は、こちらで簡単な様式をご用意いたします。ご検討のほど、よろしくお願いいたします。

賃貸物件は多くの場合、日常の窓口が管理会社です。まず管理会社へ相談し、管理会社から貸主へ確認してもらう流れが通りやすいことが多いです。分譲マンションでは、規約の用途制限しだいで管理組合への確認が必要になることもあります。営業所の管理責任や管理者の考え方は古物商の管理者の役割もあわせてご確認ください。

書いてもらえない・断られたときの代替策

大家・管理会社・管理組合が承諾しない場合は、営業所そのものを別に用意します。選択肢は主に、実家を営業所にする(ほぼ無料だが所有者=親などの承諾が必要)、事業用物件を借りる(賃料は高めだが用途が事業可で承諾の壁がない)、シェアオフィス等を使う(月数千〜1万円台。「営業所として登録可」と明記された物件を選ぶ)の3つ。住所貸しだけのバーチャルオフィスは、実体のある営業所と認められず許可が下りない・後で問題になることがあるため、安さだけで選ばないでください。営業所には「独立して管理でき、実際に古物の取引・保管ができる場所」であることが求められます。

承諾が得られないときの代替策と選び方(費用は一般的な目安・2026年6月時点)
代替策 費用の目安 向いている人・注意点
実家を営業所にする ほぼ無料(家族の承諾が必要) 実際に活動拠点にできること。所有者(親など)の承諾を記録に残す
事業用物件を借りる 賃料相応(高め) 在庫を持って本格的に営む人。用途が事業可なので承諾の壁がない
シェアオフィス等 月数千〜1万円台 「営業所として登録可」と明記された物件を選ぶ。可否は要確認

どの代替策でも、営業所として認められるかは最終的に管轄署の判断です。迷ったら、営業所の要件そのものを整理した自宅・営業所の可否解説を先に読み、そのうえで管轄の警察署に相談すると遠回りしません。

よくある質問

Q. 承諾書の書式が分かりません。決まったフォーマットはありますか?
A. 国が定めた統一様式はありません。物件の所在地・使用者名・「古物商の営業所として使用することを承諾する」旨・承諾日・貸主(または管理会社)の氏名があれば、A4一枚の自作書面でもメール本文でも記録として機能します。管轄署が独自様式を配布している場合はそれに従ってください。
Q. 分譲マンション(持ち家)でも承諾や確認は要りますか?
A. 所有者であっても、管理規約で「専ら住宅」と用途が制限されている場合があります。まず規約の用途条項を確認し、制限があれば管理組合・管理会社へ確認を取ってください。所有権があることと、規約上その用途で使えることは別の問題です。
Q. 家族名義の賃貸でも申請できますか?
A. 契約名義人(親・配偶者など)の承諾を得たうえで、実際にそこで営業する実態があれば可能なケースがあります。名義人が申請者と異なる場合は、その承諾の記録(承諾書やメール)を残しておくと安心です。詳しい可否は管轄署に確認してください。
Q. 承諾を得ずに申請したらどうなりますか?
A. 申請後に警察の現地確認があり、契約違反や規約違反が判明すれば、大家とのトラブルや許可取得後の取消リスクにつながり得ます。書類提出が不要な場合でも、承諾の事実そのものは必ず押さえてください。
Q. 大家ではなく管理会社に頼めばよいですか?
A. 賃貸では日常窓口が管理会社であることが多く、まず管理会社に相談し、そこから貸主へ確認してもらう流れが通りやすい傾向です。最終的な承諾の権限が貸主にある点は変わりません。

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