モーターの解体は「やれば必ず得」ではありません。銅の巻線を取り出すと単価は上がりますが、割に合うのは大型・重い・銅が多い・数がまとまっているモーターだけ。小型を1個ずつ手で割ると、増える金額より手間(時給換算)のほうが大きくなりがちです。福岡・北九州の目安(2026年6月時点)は、無解体の「黒モーター」で約80〜150円/kg、銅を露出させた「モーターコア」で約140〜180円/kg。金額は銅相場と為替で毎日動くため、確定は現地計量です。
結論:解体するのは「大型・重い・銅が多い・数がまとまっている」時だけ。小型1〜2個はそのまま黒モーターで売るほうが合理的で、被覆を焼く“バーン処理”は違法かつ減額の二重NGです。
この記事は、金属スクラップの「相場一覧」ではなく、モーター1品目に絞って「解体して銅を取り出すべきか/そのまま売るべきか」を重さと種類で判断することに特化しています。金属全体の相場感は金属スクラップ相場の目安、福岡の品目別相場は福岡のスクラップ相場一覧を参照してください。ここでは福岡市で金属スクラップの買取・再資源化をしている実務目線で、モーター特有の着眼点だけを深掘りします。
いまモーターはいくら?種類別の買取目安(福岡・北九州 2026年6月)
モーターの値段は「中の銅をどれだけ取り出せているか」で階段状に変わります。無解体の黒モーターがいちばん安く、銅を鉄と分けるほど単価が上がります。福岡・北九州の目安は、黒モーター約80〜150円/kg、モーターコア(込銅・雑銅)約140〜180円/kg、小型モーター約40〜90円/kg。むき身のきれいな銅(ピカ銅)は約1,900〜2,100円/kgが目安ですが、被覆付きの取り出し巻線は等級が一段下がります。いずれも2026年6月の地場業者公開値をもとにした目安で、銅相場(LME)と為替で毎日変動し、確定は持ち込み当日の計量です(買取保証ではありません)。
| 状態・種類 | どんな物か | 目安単価(円/kg) |
|---|---|---|
| 黒モーター(無解体) | 家電・ポンプ等から外しただけ。中身そのまま | 約80〜150 |
| モーターコア(込銅・雑銅) | カバーや鉄を外し、銅巻線を露出させた状態 | 約140〜180 |
| 水中ポンプ用モーター | 油・水分を含み、銅比率が低め | 約60〜100 |
| 小型モーター | 家電・玩具等の小さい物。銅が少なく手間が大 | 約40〜90 |
| 三相モーター・工業用(大型) | 工場設備の大型。銅量が多く高評価 | 条件により1,000超の取引事例も |
| 取り出した銅巻線(被覆付き・込銅) | エナメル被覆や他金属が混じる巻線 | ピカ銅(むき身)約1,900〜2,100が上限目安/被覆付きは一段減額 |
上の金額は一定時点の目安で、業者・状態・時期により変わります。金額を保証するものではありません。
大事なのは「黒モーターとモーターコアの差=解体で増える分」を先に把握することです。差はおおむね1kgあたり+60〜80円。この一段分の差が、後述する「解体すべきか」の損得計算のカギになります。
解体する/しないを、重さと種類で決める判断表
「解体すれば高くなる」は本当ですが、増える金額は黒モーター→モーターコアで1kgあたり+60〜80円程度。10kgのモーターを解体しても増えるのは+600〜800円ほどです。1個の解体に30分かかれば時給換算は約1,000〜1,600円。したがって割に合うのは「大型・重い・銅が多い・同型を数まとめて流れ作業できる」時だけ。形の違う小型を1個ずつ割るのは効率が悪く、そのまま黒モーターで売るほうが合理的です。
| あなたのモーター | 判断 | 理由 |
|---|---|---|
| 三相・工業用など5kg超の大型 | 解体する価値あり | 銅量が多く、単価上昇分が手間を上回りやすい |
| 中型(1〜5kg)が数十個まとまっている | 解体する価値あり | 同じ作業を繰り返すので効率が出る |
| 小型・1〜2個だけ | そのまま黒モーターで売る | 分解の手間(時給換算)が差額に見合わない |
| 水中ポンプ・油や水分が多い物 | そのまま売る | 分解しても銅比率が低く、油抜きの手間も大きい |
| 大量にあって運搬・分別が大変 | 分解せず重量まとめで売る | ヤードで一括処理するほうが早く確実 |
簡単な計算式にすると、増額の目安=重量(kg) ×(+60〜80円)。この額が「自分がその作業に使う時間の価値」を上回るかどうかだけを見れば、迷いません。数十kg以上まとまるなら、自分で割らずに重量のまま複数の業者へ同じ条件を伝えて単価を出してもらうほうが、手間をかけずに金額の幅を把握できます。
モーターの中で「銅」はどこにあるか(解体前に知る)
モーターで価値がある金属は主に3つ。最も高いのは巻線(コイル)の銅で、鉄心(けい素鋼板)の溝に巻き付いています。解体とは要するに「鉄心から銅の巻線を切り出す・引き抜く」作業です。鉄と銅が混ざったままだと安い黒モーター評価になるため、分けるほど単価が活きます。外側のケースや端子にアルミ・真鍮が使われていることもあり、これらも分ければ別単価がつきます。構造を知っておくと、価値の低い部分を無駄に割らずに済みます。
| 部位 | 主な金属 | 価値の考え方 |
|---|---|---|
| 巻線(コイル) | 銅(エナメル被覆あり) | 最も高い。これを取り出すのが目的 |
| ステーター・ローターの鉄心 | 鉄(けい素鋼板) | 安い。銅と分けることで銅の単価が活きる |
| 外側のケース・端子 | アルミ・鉄・真鍮など | アルミ・真鍮は分ければ別途値が付く |
安全に解体する手順(やるなら大型・まとめ作業で)
解体すると決めたら、ケガと事故を避けて進めます。鉄心の切り口は鋭く、巻線は硬く張っているため、厚手の革手袋と保護メガネは必須。基本の流れは「保護具→外装・端子を外す→ローターを抜く→巻線を鉄心から切り出す→銅・鉄・アルミに分別」の5ステップです。小型を大量に手作業で割るのは時間がかかるため、まとまった量を継続処理する見込みがなければ、無理に分解せず黒モーターのまま出すほうが合理的です。
- 保護具を着ける:厚手の革手袋・保護メガネ。切り口とコイルの跳ね返りでケガをしやすい。
- 外側のカバー・端子を外す:アルミ・真鍮は別に分けておく(後で別単価)。
- ローター(回転子)を抜く:軸ごと引き抜く。固ければ当て木をして打ち抜く。
- 巻線を鉄心から切り出す:コイルの両端を切り、束を引き抜く。ディスクグラインダーや剥線機があると速い。
- 銅・鉄・アルミに分ける:混ぜると全体が安い評価になる。種類別に分別する。
継続的に量が出るなら剥線機(電線・巻線の皮むき機)の導入も選択肢ですが、月にまとまった量(目安100kg超)を処理する見込みがなければ投資は回収しにくいのが実情です。少量なら、手間を機械や自分の時間に置き換えるより、そのまま計量に出すほうが結果的に得なことが多くなります。
絶対NG:焼いて被覆を取る「バーン処理」は違法・減額の二重NG
銅巻線のエナメル・ワニス被覆を「焼けば手っ取り早く銅だけ残る」と考えるのは厳禁です。屋外や野焼きでの焼却は廃棄物処理法(廃棄物の処理及び清掃に関する法律)の焼却禁止に該当し、罰則の対象になり得ます。燃焼で有害な煙が出るうえ、焼けた銅(焼け銅)は等級が落ちてかえって安く買われます。被覆は焼かず、剥線機や手作業で物理的にむくのが正解で、「焼いたほうが高く売れる」は誤りです。
| 問題 | 内容 |
|---|---|
| 法律違反 | 廃棄物処理法の焼却(野焼き)禁止に該当。罰則の対象になり得る |
| 有害な煙 | 被覆の燃焼で有害な煙が発生し、近隣トラブルの原因にもなる |
| 買値が下がる | 焼けた銅(焼け銅)は等級が落ち、むしろ安く買われる |
「値段がつかない・引き取ってもらえない・無料回収でいい?」への答え
モーターは中に銅・鉄・アルミを含む「有価物」なので、基本的に値段がつかない・引き取ってもらえないという物ではありません。値がつきにくいのは、油や水分でひどく汚れている・他ゴミと混ざっている・少量すぎて運搬コストに埋もれる、といったケースです。逆に、こうした物ほど「無料回収」をうたうチラシ・巡回トラックに渡すのは要注意で、無許可の回収は不法投棄や後日の高額請求につながることがあります。有価物のモーターは、処分費を払うのではなく買取ルートに出すのが原則です。
C4的な不安を1つずつ解消します。
- 「モーターは値段がつかないと言われた」:小型1〜2個・ひどい油汚れ・他ゴミ混在だと、運搬や選別のコストで買取額が相殺されることがあります。まとめて数量を確保する、油・水分をできる範囲で切る、鉄・銅・アルミを混ぜない、だけで評価は変わります。
- 「産廃として処分費がかかる?」:金属主体のモーターは通常、処分費を払う“廃棄物”ではなく買取対象の有価物です。処分費を請求される場合は、その内訳(付物の廃プラ・油の処理費など)を確認しましょう。
- 「銅が入っているのに安い?」:黒モーターのままだと銅が鉄と一体で評価されるため単価は上がりません。銅を露出させる(モーターコアにする)か、大量なら重量で査定に出すのが近道です。
- 「無料回収は大丈夫?」:市区町村の許可なく金属・家電を無料回収する業者は、廃棄物処理法上の問題や高額請求トラブルの相談が消費者相談窓口(国民生活センター・消費者ホットライン188)にも寄せられています。処分に迷う物は、まず自治体案内(福岡市のごみ・資源の案内)か、許可を持つ買取業者に確認してください。
「値段がつかないと言われた」「処分費を請求されそう」「無料回収に出していいか不安」――こうした時こそ、自己判断で処分する前に、金属スクラップを扱う許可業者2〜3社へ同じ条件(種類・おおよその重量・油汚れの有無)を伝え、種類別の単価を出してもらうのが確実です。1社の回答だけでは、値がつかない理由が物の性質によるものか、その業者の取扱範囲の問題なのかを切り分けられません。単価は日々動くため、比較するなら同じ日にそろえて聞くのが基本です。
古い大型機・EV駆動モーターは別ルート――自己解体を避ける2種
すべてのモーターを同じに扱えない例外が2つあります。1つは古い電気設備で、トランス(変圧器)やコンデンサ、安定器を伴う古い機器はPCB(有害物質)を含む可能性があり、専門ルートでの適正処理が必要です。もう1つはEV・ハイブリッド車の駆動モーターで、強力な永久磁石(ネオジム等)が入っており、挟み込みや短絡の危険があります。いずれも買取以前に安全・法令の問題なので、判別がつかない古い大型機や車載モーターは、無理に分解せずそのままの状態で専門業者の判断を仰ぐのが安全です。
| 種類 | 注意点 | 対応 |
|---|---|---|
| 古いトランス・コンデンサ一体の大型電気設備(おおむね1990年代初頭以前) | 絶縁油等にPCB(有害物質)が含まれる可能性 | 自己解体・通常処分は不可。専門ルートで適正処理 |
| EV・ハイブリッドの駆動モーター | 強力な永久磁石(ネオジム等)入り。挟み込み・短絡の危険 | 個人解体は避け、専門のリサイクラー・査定へ |
福岡・北九州で売る・処理を任せるときの動き方
状況別の動き方はシンプルです。小型1〜2個は分解せず黒モーターのまま種類別に分けて持ち込み、中〜大型がまとまるなら解体するか重量のまま査定へ、量が多く運べない・分別が不安なら出張計量に対応する業者を選び、古い大型機・車載モーターは自己処理せず専門ルートへ――の4パターン。福岡市7区と近郊(春日・大野城・那珂川・筑紫野・太宰府・糸島・久留米ほか)は、出張計量に対応する業者が比較的見つけやすいエリアです。金額は現地計量で確定するのが一般的です。
| あなたの状況 | おすすめの動き |
|---|---|
| 小型が1〜2個 | 分解せず黒モーターのまま、種類別に分けて持ち込み |
| 中〜大型がまとまっている | 解体する価値あり。手間が惜しければ重量のまま査定へ |
| 量が多い・運べない・分別が不安 | 出張での計量・査定に対応する業者へまとめて依頼 |
| 古い大型機・車載モーターがある | 自己処理せず、取扱実績のある専門ルートへ |
「解体の手間をかけるべきか分からない」「種類の判別やランクに自信がない」「大量にあって運搬・分別が大変」――そんなときの業者選びは、①古物商許可や産業廃棄物収集運搬の許可番号を明示しているか、②単価を種類別に「円/kg」で示せるか、③計量方法(計量器と数量の示し方)を説明できるかの3点で見比べると外しにくくなります。単価は銅相場で日々動くので、同じ日に2〜3社へ同条件で確認して幅を把握するのが基本です。対応エリアの考え方は福岡エリア一覧も参考になります。
よくある質問
- Q. モーターは解体しないと買い取ってもらえませんか?
- いいえ。解体せずそのまま(黒モーター)でも買取対象になります。ただし単価は銅を取り出した状態より安く、福岡・北九州の目安で約80〜150円/kgです。小型1〜2個なら、手間を考えてそのまま売るほうが合理的な場合が多いです。
- Q. 解体すると本当に高くなりますか?
- なります。銅巻線を鉄から分けると単価が上がり、黒モーターからモーターコアで1kgあたりおおむね+60〜80円が目安です。ただし増える金額(10kgで+600〜800円程度)と分解の手間を比べ、大型・大量のときだけ解体する判断がおすすめです。
- Q. 被覆を焼いて銅だけにしてもいいですか?
- いけません。屋外での焼却は廃棄物処理法の焼却(野焼き)禁止に当たり違法で、有害な煙も出ます。さらに焼けた銅は等級が落ちて安く買われます。被覆は焼かず物理的にむいてください。
- Q. モーターは「値段がつかない」と言われました。処分費がかかりますか?
- 金属主体のモーターは通常、処分費を払う廃棄物ではなく買取対象の有価物です。値がつきにくいのは、少量すぎる・ひどい油汚れ・他ゴミ混在などのケース。数量をまとめ、鉄・銅・アルミを混ぜず、油をできる範囲で切るだけで評価が変わることがあります。処分費を求められたら内訳を確認しましょう。
- Q. 「無料回収」に出しても大丈夫ですか?
- 許可のない無料回収は、不法投棄や後日の高額請求のトラブルにつながることがあり、消費者相談窓口(188)にも相談が寄せられています。有価物のモーターは処分費を払うのではなく、許可を持つ買取業者に出すのが原則です。迷う物は自治体案内か買取業者に確認してください。
- Q. 価格はどこで確認すればいいですか?
- 固定の公定価格はありません。銅相場(LME)と為替が毎時動くため、持ち込み当日に単価を確認するのが最も正確です。本記事の単価は2026年6月の福岡・北九州の目安で、確定は現地計量、買取保証ではありません。
- Q. 古い大型モーターやEVのモーターも同じように解体できますか?
- できません。古いトランス・コンデンサ一体の設備はPCBを含む可能性があり、EV駆動モーターは強力な磁石が入っていて危険です。これらは自己解体せず、そのままの状態でPCB廃棄物やEV部品の取扱実績がある専門業者に判断を委ねてください。