古物商をやめるときは「廃業届」という独立した書類はありません。正式には許可証の返納=返納理由書(別記様式第9号)と古物商許可証を、事由が発生した日から10日以内に、主たる営業所を管轄する警察署へ提出する手続きです。手数料は無料。やることはこの1枚だけで、複雑な添付書類は要りません。
まず結論:あなたのケースで何をすればいいか
| あなたの状況 | やること | 期限の起算日 |
|---|---|---|
| 個人で営業をやめる | 返納理由書+許可証を返納 | 営業をやめた日 |
| 法人を解散する | 同上(代表者等が返納) | 解散した日 |
| 許可者本人が死亡した | 相続人等が返納(続柄・身分証を持参) | 死亡した日 |
| 許可後6か月以上営業しない/6か月以上休んだ | 返納が必要 | その事実が生じた日 |
| 許可を取り消された | 返納(取消通知を受けた) | 取消の日 |
| 営業所を1か所だけ閉じる(廃業ではない) | これは返納ではなく変更届。下の専用セクションへ | ― |
いずれも10日以内・無料・提出先は主たる営業所の管轄警察署(防犯係・生活安全課)。この3点は全ケース共通です。
「廃業届」で検索した人が一番つまずく点
多くの解説や旧情報では「廃業届」「別記様式第7号」と書かれていますが、現行の古物営業法の手続き名は「許可証の返納」です。提出する書類は返納理由書(古物営業法施行規則 別記様式第9号・第7条関係)。検索で「廃業届」と打って警察署で「そんな届出名はない」と言われて戸惑うのはこのためです。窓口では「古物商をやめるので許可証を返納したい」と伝えれば話が早く進みます。
手続きの流れ(個人・自分でやめる場合)
- 営業をやめる日を決める(在庫の売り切り・買取の停止を済ませておく)。
- 主たる営業所の管轄警察署に電話し、防犯係(生活安全課)へ来庁日を予約する。
- 各都道府県警のサイトから返納理由書(別記様式第9号)をダウンロードして記入する。
- やめた日から10日以内に、返納理由書と許可証の原本を警察署へ提出する。
- ホームページで取引する旨を届け出ていた場合は、そのURL届出(別記様式第6その3)も併せて取り下げる。
窓口での所要時間は通常10〜20分程度。手数料はかかりません。
返納理由書(別記様式第9号)の記入で間違えやすい欄
| 記入欄 | 書き方のポイント |
|---|---|
| 許可の種類 | 「古物商」を○で囲む |
| 許可証番号 | 許可証に記載の12桁を正確に転記 |
| 許可年月日 | 許可証の記載どおりに転記 |
| 氏名/名称 | 許可証の記載どおり(法人は法人名) |
| 返納理由の発生年月日 | やめた日・死亡日・解散日など事由が生じた日 |
| 返納理由 | 該当する番号(廃業・死亡・解散等)を○で囲む |
許可証をなくした・破棄してしまった場合
廃業のために返納するだけなら、再交付(手数料1,300円)を受ける必要はありません。返納理由書の余白に「許可証を紛失(または破棄)した」旨を記載して提出すれば足ります。ただし警察署によって運用が異なるため、来庁前の電話で「許可証がない場合の扱い」を必ず確認してください。
本人が亡くなったとき(相続人がやること)
- 相続人など本人以外が手続きする場合は、続柄が分かる書類と身分証明書を持参する。
- 返納の期限は死亡日から10日以内(提出先は同じく主たる営業所の管轄警察署)。
- 事業の税務関係(個人事業の廃業届・準確定申告など)は税務署側で別途必要になるため、税理士・税務署に確認する。
営業所を1か所だけ閉じるとき(これは廃業ではない)
複数の営業所のうち一部だけを閉じ、営業自体は続ける場合は返納ではなく変更届です。手続きが別なので注意してください。
| 区分 | 提出書類 | 期限 |
|---|---|---|
| 全廃業(主たる営業所も閉じる) | 返納理由書(第9号)+許可証 | 廃止日から10日以内 |
| その他の営業所を1か所閉じる | 変更届(別記様式第5号) | 廃止する3日前まで |
出さないとどうなる(罰則)
返納義務を怠った場合、古物営業法上の罰則の対象になり得ます。また、やめたのに許可をそのままにし、後で無許可のまま営業を続ければさらに重い処分につながります。「やめたら10日以内に返納」を徹底するのが安全です。条文の根拠は古物営業法第8条(許可証の返納)です。
古物商をやめた後に残る義務
- 古物台帳の保管:最終記載日から一定期間(一般に3年間)の保管義務が続くため、廃業後すぐに処分しない。
- 許可番号の表示撤去:店頭の標識やホームページ等に掲げた許可番号は、営業をやめたら表示を取り下げる。
- 税務手続き:個人事業の廃業届・準確定申告など、税務署側の手続きは別系統で必要。
よくある質問
- Q. 「廃業届」という書類はどこでもらえますか?
- A. 「廃業届」という名称の書類はありません。提出するのは返納理由書(別記様式第9号)で、各都道府県警のサイトからダウンロードできます。
- Q. 手数料はいくらですか?
- A. 返納手続きに手数料はかかりません(無料)。許可証を紛失して再交付を受ける場合のみ1,300円ですが、廃業目的なら再交付は不要です。
- Q. 郵送で出せますか?
- A. 許可証原本の返納が必要で、運用は警察署ごとに異なります。来庁が原則のため、郵送可否は事前に管轄署へ確認してください。
- Q. しばらく休むだけでも返納が必要ですか?
- A. 6か月以上営業を開始しない・休止する場合は返納事由になります。短期の休みと、やめる意思のある長期休止は扱いが分かれるため管轄署に相談してください。
古物の処分やリサイクルでお困りですか。廃業に伴う在庫・什器・買取済み品の整理など、古物の取り扱いについてのご相談は、お問い合わせフォームよりお気軽にどうぞ。
出典:古物営業法 第8条(e-Gov法令検索)/返納届出の様式・手続きは各都道府県警察の案内に基づく(例:警視庁「返納届出」)。最終更新:2026-06-15。具体的な様式・運用は必ず管轄警察署で最新の案内をご確認ください。